鍼灸師は病院で働ける?求人の実態・仕事内容・就職する方法を解説

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「鍼灸師として病院で働いてみたい」「医師と連携して、患者さんの回復に深く関わりたい」

そう考えて情報を探している鍼灸師の方は少なくありません。ただ、いざ求人を探すと病院の鍼灸師募集がなかなか見つからず、諦めてしまう方が大半です。結論からお伝えすると、鍼灸師が病院で働くことは可能です。

整形外科やリハビリテーション科、東洋医学科などで活躍している鍼灸師は実際にいます。一方で、鍼灸を導入している病院はまだ少なく、求人の数がごく限られているのも事実です。

この記事では、鍼灸師が病院で働ける診療科や仕事内容、給与の目安、そして数少ない病院求人にたどり着くための具体的な方法までを、公的データと最新の求人動向をもとに整理します。

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鍼灸師は病院で働ける可能性がある

総合病院・大学病院の綺麗な外観

鍼灸師が病院で働くことは、決して不可能ではありません。整形外科や東洋医学科を持つ病院・クリニックでは、はり師・きゅう師の免許を持つ人が施術者として在籍しているケースがあります。

鍼灸の施術を仕事として行えるのは、国家資格を持つ人だけです。そのため病院のなかでも、鍼灸師は「痛みや不調を専門的にケアする担い手」として位置づけられます。

近年は、医師による診断・投薬・手術といった西洋医学に、鍼灸による疼痛緩和や機能回復を組み合わせる「統合医療」の考え方が少しずつ広がっています。その流れのなかで、鍼灸師が医療チームの一員として関われる場面が生まれています。

統合医療における鍼灸の位置づけ
東洋医学(鍼灸) 西洋医学
主な役割 疼痛緩和・機能回復 診断・投薬・手術
得意な領域 慢性的な痛みや不調、体質・自然治癒力へのアプローチ 病気の原因特定、急性疾患や外科的治療
患者さんへの関わり 身体全体のバランスを整え、回復を後押しする 検査データに基づき、疾患を直接治療する

就業している鍼灸師の数自体は年々増えており、就業はり師は全国で13万人を超えています(令和6年時点)。

ただし、その多くが働くのは接骨院・整骨院や鍼灸院、訪問マッサージなどで、病院に勤める鍼灸師はごく一部にとどまります。憧れだけで飛び込むと現実とのギャップに戸惑うこともあるため、まずは「働ける可能性はあるが、求人は限られている」という前提を押さえておくことが大切です。

なお、鍼灸師が法律上どのような位置づけの医療職にあたるのかは、関連記事で詳しく解説しています。

参考:e-Gov法令検索「あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」厚生労働省「令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)」

鍼灸師の病院求人が少ない理由

パソコンの前で求人が見つからず悩む鍼灸師の男性

鍼灸師の病院求人が少ないのは、そもそも鍼灸を診療に取り入れている病院が限られているためです。日本の医療現場では、鍼灸が保険診療に組み込まれるケースが少なく、病院として鍼灸師を雇う必然性が高くありません。

その結果、鍼灸師の主な職場は接骨院・整骨院や鍼灸院、訪問マッサージなどに集中し、病院からの求人はごくわずかになります。

実際の数字を見ると、この傾向がはっきりと分かります。医療キャリアナビの掲載求人データ(2026年時点)では、鍼灸師の募集2,814件のうち、勤務先が病院の求人はわずか2件でした。整・接骨院が1,864件と大半を占め、訪問マッサージやデイサービス、鍼灸院が続きます。病院求人は全体の1%にも満たないのが実態です。

鍼灸師の求人 就業先別件数
05001,0001,5002,000
整・接骨院
1,864件
訪問マッサージ
415件
デイケア・デイサービス
282件
鍼灸院
90件
特別養護老人ホーム
61件
クリニック
50件
病院
2件

このため、求人サイトやハローワークを見ても、病院の鍼灸師募集が全く出てこない時期もあります。病院勤務を目指すのであれば、一般的な求人探しよりも根気強く情報を集め、後述するような工夫を重ねる姿勢が欠かせません。

「見つからないのは自分の探し方が悪いから」ではなく、そもそも母数が少ないという現実を知っておくと、焦らず動けます。

今のあなたの状況は?

参考:厚生労働省「令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者・施術所)」

鍼灸師が病院で働ける診療科・医療機関

青空を背景にした整形外科クリニックの外観

数は少ないものの、鍼灸師を受け入れている診療科や医療機関には一定の傾向があります。

共通するのは、機能回復・疼痛緩和・緩和ケアといった、鍼灸の得意分野を活かせる領域だという点です。

ここでは代表的な3つの分野を取り上げ、それぞれで鍼灸師がどのような役割を担うのかを見ていきます。

鍼灸師が活躍できる主な診療科
診療科・領域 対象となる主な症状 鍼灸師の主な役割
整形外科・リハビリ科 腰痛・肩こり・関節痛・スポーツによるけが 疼痛緩和や血流改善でリハビリを補助
ペインクリニック・緩和ケア 慢性的な痛み・がんに伴う痛みや倦怠感 痛みのコントロールや症状緩和で生活の質を支える
東洋医学科・大学病院 西洋医学で対応が難しい不調 東洋医学の視点で治療、研究・教育にも関与

整形外科・リハビリテーション科

整形外科やリハビリテーション科は、鍼灸師が比較的関わりやすい分野です。腰痛や肩こり、関節の痛み、スポーツによるけがなど、運動器の不調を抱える患者さんが多く、鍼灸による疼痛緩和や血流改善が役立つ場面があります。

理学療法士や作業療法士と連携しながら、リハビリの一環として鍼灸を提供するケースもあります。西洋医学的な治療と組み合わせることで、痛みをやわらげ、回復のペースを支える役割が期待されます。運動器の解剖や疾患への理解が求められるため、在学中から整形外科分野の知識を深めておくと役立ちます。

ペインクリニック・緩和ケア

ペインクリニックは、慢性的な痛みの緩和を専門とする診療科です。薬物療法や神経ブロックといった治療に加えて、鍼灸が痛みのコントロールに用いられることがあります。長引く痛みに悩む患者さんにとって、鍼灸は選択肢の一つとなります。

また、がん患者さんなどを支える緩和ケアの分野でも、鍼灸の役割が注目されています。痛みや倦怠感、吐き気といった症状をやわらげ、生活の質を保つサポートとして取り入れる医療機関があります。心身の両面に配慮しながら、患者さんに寄り添う姿勢が求められる領域です。

東洋医学科のある総合病院・大学病院

東洋医学科や漢方外来を設けている総合病院・大学病院では、鍼灸師が専門スタッフとして関わることがあります。西洋医学だけでは対応が難しい不調に対し、東洋医学の視点から治療を行う場です。

なかでも、大学病院に併設された鍼灸治療室は、鍼灸師にとって貴重な選択肢です。研究や教育と結びついた環境で、専門性を高めながら働けます。

数は非常に限られますが、医療の最前線で鍼灸に携わりたい方にとっては、目標にする価値のある職場だといえます。

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病院での鍼灸師の仕事内容

患者さんの背中に鍼を施術する鍼灸師

病院で働く鍼灸師は、「痛みのスペシャリスト」として、機能回復や疼痛緩和・緩和ケアの施術を担います。西洋医学を補完する立場で、医師や看護師、リハビリスタッフと連携しながら、患者さんの回復を支えるのが基本的な役割です。

ただし、病院での仕事は施術だけにとどまりません。診療記録や書類の作成、院内の委員会への参加、学会発表や研究など、病院ならではの業務が加わります。

鍼灸院での働き方とは異なり、チーム医療の一員として組織的に動く力が求められる点が大きな特徴です。

病院で働く鍼灸師の主な業務
1
鍼灸による施術
疼痛緩和や機能回復を目的に、痛みのケアを担います。
2
診療記録・書類の作成
施術内容や経過を正確に記録し、情報を共有します。
3
院内委員会への参加
医療安全や勉強会など、組織運営に関わります。
4
多職種とのカンファレンス
医師・看護師・リハビリ職と連携し方針を共有します。
5
学会発表・臨床研究
症例をまとめ、発表や研究に取り組む機会があります。

こうした業務を通じて、鍼灸師は医療チームのなかで自分の専門性を発揮していきます。施術の技術に加えて、記録や報告を正確に行う力、多職種と円滑にやり取りする力が、病院という現場では欠かせません。

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病院で働く鍼灸師のメリット・給与

積み重なったコインと右肩上がりの折れ線グラフ

病院で働く最大のメリットは、医師をはじめとする医療専門職と連携しながら、統合医療を実践的に学べる点です。

西洋医学の知見に触れられる環境は、鍼灸師としての視野を大きく広げてくれます。加えて、日勤中心でカレンダー通りに休みやすく、賞与もあるなど、働き方が安定しやすい傾向があります。

給与の目安は、月給20〜35万円、年収では300〜400万円台が一つの水準とされます。医療キャリアナビの掲載求人データ(2026年時点)では、鍼灸師全体の正社員の月給中央値は約27万円でした。

病院勤務の求人は件数が非常に少ないため一概には言えませんが、資格や経験を複数持つほど給与が上がりやすい傾向があります。あくまで目安であり、勤務先や地域によって差がある点には留意してください。

病院勤務の給与目安
300〜400 万円台
月給の目安 20〜35万円
鍼灸師全体の月給中央値 約27.1万円

給与や待遇は、就業先の種類によっても変わります。年収を上げる方法をより詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

病院で働くために必要な知識・スキル

人骨模型を指さして説明する鍼灸師

病院で鍼灸師として働くには、鍼灸の技術に加えて、医療現場で通用する幅広い知識とスキルが求められます。まず、機能回復や緩和ケアに関する知識、整形外科や神経内科をはじめとする幅広い疾患への理解が土台となります。

医師や他職種と対等に情報を共有するには、西洋医学の基礎知識も欠かせません。

さらに、医療組織の一員として働くうえでは、診療記録や報告書を正確にまとめる文書作成能力、ExcelやPowerPointを扱うパソコンスキル、多職種と連携するコミュニケーション力も重要です。

就職市場では大卒以上や修士号が有利とされる傾向もあり、専門性を客観的に示せると強みになります。

病院勤務で求められる知識・スキル
幅広い疾患の知識
整形外科・神経内科など、多様な疾患への理解が土台になります。
西洋医学の基礎知識
医師や多職種と情報を共有するために欠かせません。
文書作成・パソコンスキル
記録や報告書の作成、Excel・PowerPointの操作が必要です。
多職種と連携する力
チーム医療の一員として、円滑なコミュニケーションが求められます。

これらのスキルは、一朝一夕に身につくものではありません。在学中や若手のうちから、幅広い疾患の知識を学び、パソコン操作や文章作成に慣れておくことで、病院という狭き門に挑む準備が整います。

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鍼灸師が病院で働くための方法

遠くを見つめて笑顔を見せる鍼灸師の男女

病院に直接雇用される道は狭いため、遠回りに見えても着実な方法を組み合わせることが、病院勤務への近道になります。ここでは、現実的な3つのルートを紹介します。

それぞれ求人の見つけやすさや得られる経験が異なるため、自分の状況に合った進め方を選ぶことが大切です。

鍼灸師が働ける場所全体をあらためて整理したい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

病院の求人を根気よく探す

まずは、数少ない病院求人を根気よく探し続ける方法です。病院の鍼灸師募集は不定期で、出てもすぐに埋まることがあります。求人サイトやハローワークを定期的にチェックし、条件に合う募集を見逃さないことが第一歩です。

医療系に強い転職エージェントに登録し、非公開求人を紹介してもらうのも有効です。「病院勤務を希望している」と早めに伝えておくと、条件に合う求人が出た際に声をかけてもらいやすくなります。

時間はかかりますが、あきらめずに情報網を広げておくことが、チャンスをつかむ鍵になります。

病院と提携している鍼灸院で働く

病院と連携している鍼灸院や治療院で経験を積むのも、現実的なルートです。医療機関と提携している施設では、病院からの紹介患者さんを施術したり、医師と情報を共有したりする機会があります。医療連携の実務を経験できる点が大きな利点です。

こうした職場で医療現場の流れや多職種連携に慣れておくと、いざ病院求人に応募する際の強みになります。まずは病院に近い環境で実績を重ね、段階的に医療機関との接点を広げていく進め方は、無理のない選択肢だといえます。

大学病院の鍼灸治療室を目指す

より専門性の高い環境を目指すなら、大学病院の鍼灸治療室という選択肢があります。研究や教育と結びついた場で、鍼灸の専門家として深く関われるのが魅力です。学会発表や臨床研究に携われることもあり、キャリアの幅が広がります。

ただし、募集は非常に少なく、高い専門性や実績が求められる傾向があります。在学中から大学病院とのつながりを意識したり、関連する研究テーマに触れたりしておくと、道が開けやすくなります。

転職活動するなら?

鍼灸師の病院勤務に関するよくある質問

「?」と書かれた積み木とよくある質問のイメージ

最後に、鍼灸師の病院勤務についてよく寄せられる質問にお答えします。求人の探し方や新卒での就職、有利な資格など、気になるポイントを整理しました。

病院の鍼灸師求人はどこで探せる?

病院の鍼灸師求人は、一般的な求人サイトのほか、医療・治療院分野に特化した転職サイトやハローワークで探せます。ただし数が少ないため、複数の媒体を併用し、こまめにチェックすることが大切です。

転職エージェントに登録して、非公開求人を紹介してもらう方法も効果的です。希望条件を具体的に伝えておくと、条件に合う病院求人が出た際に優先的に案内してもらいやすくなります。

新卒でも病院で働ける?

新卒で病院に就職することは不可能ではありませんが、狭き門です。病院は即戦力や一定の経験を求める傾向があり、新卒がいきなり採用されるケースは多くありません。

まずは臨床経験を積める職場でスキルを磨き、医療連携のある鍼灸院などを経てから病院を目指す進め方が現実的です。在学中から病院実習や研究に積極的に関わり、早い段階で医療現場に触れておくと、就職の可能性を高められます。

病院勤務に有利な資格はある?

鍼灸師の資格に加えて、理学療法士や柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師といった医療系国家資格を併せ持つと、病院での採用で有利に働くことがあります。複数の視点から患者さんをケアできる点が評価されるためです。

また、就職市場では大卒以上や修士号が有利とされる傾向もあります。専門分野の研究実績や、緩和ケア・スポーツ分野などの専門知識を示せると、他の応募者との差別化につながります。

病院勤務で有利になりやすい資格・準備

併せ持つと有利な国家資格

  • 理学療法士
  • 柔道整復師
  • あん摩マッサージ指圧師

大卒以上や修士号があると評価されやすい

緩和ケアやスポーツ分野など、専門知識を示せると差別化につながる

参考:厚生労働省「はり師、きゅう師及びあん摩マッサージ指圧師試験の施行」公益財団法人東洋療法研修試験財団「過去の受験者数・合格者数」

まとめ

鍼灸師が病院で働くことは可能ですが、鍼灸を導入している病院自体が少なく、求人は非常に限られているのが現実です。医療キャリアナビの掲載求人データでも、病院求人は全体のごくわずかにとどまっていました。それでも、整形外科・リハビリテーション科やペインクリニック・緩和ケア、東洋医学科のある大学病院など、鍼灸師が活躍できる場は確かに存在します。

病院では「痛みのスペシャリスト」として、施術に加えて記録作成やチーム医療にも関わり、統合医療を実践的に学べます。日勤中心で働き方が安定しやすい点も魅力です。狭き門を突破するには、根気よく求人を探すこと、提携鍼灸院で医療連携の経験を積むこと、大学病院の治療室を目指すことなど、複数の道を組み合わせる姿勢が役立ちます。

まずは自分に合った一歩から、無理なく準備を始めてみてください。病院という選択肢を視野に入れながら、鍼灸師としてのキャリアを広げていきましょう。

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この記事を書いた人
医療キャリアナビ編集部

医療キャリアナビ編集部

記事の執筆・編集は、医療業界に精通した編集スタッフが担当しています。日々の転職支援業務で得た現場のリアルな情報と、厚生労働省をはじめとする公的機関のデータに基づき、信頼性の高いコンテンツをお届けしています。

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