休職中にバイトはしてもいい?傷病手当金との関係とバレる理由を解説

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体調不良やメンタルの不調で休職に入ると、給料が減って「生活費のためにバイトでもしたい」と考える方は少なくありません。しかし休職中のバイトは、傷病手当金の受給資格や就業規則に関わるため、安易に始めると思わぬトラブルにつながります。

この記事では、休職中のバイトが原則できない理由、傷病手当金を受給中に働けない仕組み、会社や健康保険組合にバレる理由、例外的に認められるケース、そして収入が不安なときの対処法までを、公的な制度に沿ってわかりやすく解説します。

自己判断で動く前に、まずは全体像を押さえておきましょう。

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    休職中のバイトは原則できない

    休職中のバイトは原則できないことを示すSTOPの札

    休職とは、病気やケガの療養に専念するために仕事を休む期間です。労働契約は続いたまま、労働の義務だけが一時的に免除されている状態で、その前提には療養に専念する義務(療養専念義務)があります。

    そのため、療養のために休んでいるはずの期間に別の仕事でバイトをすることは、休職の目的そのものと矛盾します。特に傷病手当金を受給している場合、バイトをすると「労務不能」という支給の要件に反するため、原則として認められません。

    結論として、休職中のバイトは自己判断で始めてはいけません。就業規則の内容や傷病手当金の受給状況によって扱いが変わるため、必ず勤務先や加入している健康保険組合(協会けんぽなど)に確認することが大前提です。まずは、自分がどのケースに当てはまるのかを整理しましょう。

    休職中にバイトができるかの判断フロー

    休職中にバイトをしたい
    ▼
    確認1
    傷病手当金を受給している?
    「はい」なら原則できない(労務不能の要件に反するため)
    「いいえ」の場合 ▼
    確認2
    就業規則で副業・バイトが禁止されておらず、会社の許可がある?
    「いいえ」ならできない(就業規則違反のおそれ)
    「はい」の場合 ▼
    確認3
    主治医が認める軽い労務(リハビリ勤務など)か?
    「いいえ」ならできない(療養を優先すべき状況)
    「はい」の場合 ▼
    結論
    例外的に認められる場合がある

    参考:全国健康保険協会「傷病手当金(給付と手続き)」

    傷病手当金を受給中にバイトができない理由

    傷病手当金の支給額を示す給与明細書

    傷病手当金は、病気やケガで働けない間の生活を支えるために、健康保険から支給される給付です。給与のおおむね3分の2にあたる金額が支給されますが、あくまで「働けないこと」が前提の制度です。

    そのため、傷病手当金を受け取りながらバイトで働くと、制度の趣旨に反することになります。ここでは、受給中にバイトができない理由を3つの観点から解説します。

    傷病手当金の受給原因となった傷病の割合
    精神及び
    行動の障害
    35.2%

    新生物
    (がんなど)
    13.6%
    筋骨格系及び
    結合組織の疾患
    8.2%
    循環器系
    の疾患
    6.9%
    その他
    (感染症など)
    36.1%

    「労務不能」の支給要件を満たさなくなる

    傷病手当金が支給されるには、療養のために働けない状態(労務不能)であることが要件のひとつです。労務不能かどうかは、単に本業ができないかだけでなく、その人の仕事の内容などをふまえて総合的に判断されます。

    ここで別の仕事のバイトができるのであれば、「働ける状態にある」とみなされ、労務不能とは認められにくくなります。特に本業と同じような内容のバイトは、労務不能を否定する材料になりやすい点に注意が必要です。

    つまり、バイトをすること自体が「働けるのではないか」という判断につながり、傷病手当金の支給要件を満たさなくなるおそれがあります。

    不正受給とみなされ返還を求められる

    働けないことを前提に傷病手当金を受け取りながら、実際にはバイトで収入を得ていた場合、不正受給と判断されることがあります。

    傷病手当金は、病気やケガの療養のために仕事に就けない期間の生活を支える制度です。そのため、受給中にバイトで働くと、「労務不能」といえるのかを確認され、支給停止や減額、返還につながる可能性があります。

    働いた事実を申告せずに傷病手当金を受け取ると、あとから発覚した場合に一括返還を求められることがあります。「少しだけなら」という自己判断が、大きな返還負担につながる点に注意しましょう。

    療養が遅れ復職に支障が出る

    傷病手当金を受給している期間は、心身を回復させるための大切な療養期間です。この時期に無理をしてバイトで働くと、体調の回復が遅れ、かえって復職が先延ばしになることがあります。

    特にメンタルの不調で休職している場合、疲労やストレスがかかる労働は症状を悪化させる要因になりかねません。目先の収入のために働くことが、結果として休職期間を長引かせ、収入面でもマイナスになる場合があります。

    療養に専念して着実に回復することが、復職への一番の近道といえます。

    参考:全国健康保険協会「傷病手当金(給付と手続き)」 / 全国健康保険協会「現金給付受給者状況調査報告(令和5年度)」

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    休職中のバイトが会社や健保にバレる理由

    住民税の計算に使う電卓とバインダー

    「短時間のバイトなら会社にはわからないのでは」と考える方もいますが、実際には収入や労働の記録は複数の経路で残ります。

    ここでの目的はバレない方法を紹介することではなく、隠し通すことは難しく、リスクが大きいため避けるべきという点を理解してもらうことです。

    会社や健康保険組合に知られる主な経路を、記録の残り方とあわせて整理します。

    経路 残る記録 気づかれる理由
    住民税 給与支払報告書をもとにした住民税額 本業の収入が減っているのに住民税額が増え、特別徴収の通知で会社が気づく
    社会保険・マイナンバー 社会保険の加入記録・マイナンバーに紐づく所得情報 複数勤務先の情報が行政の記録上つながっている
    給与の支払い バイト先の帳簿・税務署へ提出する給与支払報告書 手渡しでも支払い側に記録が残り、住民税を通じて表に出る

    住民税の額が変わる

    住民税は前年の所得をもとに計算され、多くの会社員は給与から天引きされる「特別徴収」で納めています。バイトで収入が増えると住民税額も増えるため、会社に届く住民税の通知額が変わり、他の収入があることに気づかれるきっかけになります。

    休職で本業の収入が減っているのに住民税だけ増えていれば、経理担当者が不自然さに気づく可能性があります。住民税の仕組みは、転職や副業のときにも関わる基本的なポイントです。

    社会保険やマイナンバーの記録に残る

    バイト先で一定の条件を満たして働くと、社会保険への加入手続きが必要になります。複数の勤務先で社会保険に関わると、その記録が残り、本業の会社や健康保険組合が把握できる状態になります。

    また、就職や社会保険の手続きにはマイナンバーが使われます。マイナンバーによって個人の所得や加入情報が結び付けられているため、別々の勤務先の情報でも行政の記録上はつながっている点を理解しておく必要があります。

    手渡しでも給与の支払い記録が残る

    「給与を手渡しで受け取ればわからない」という考えもありますが、これも誤りです。バイト先は給与を支払うと、支払った側の帳簿や、税務署へ提出する給与支払報告書に記録を残す義務があります。

    給与支払報告書は各自治体に送られ、住民税の計算に使われます。つまり、受け取り方が手渡しであっても、支払った事実は書類として残り、最終的には住民税を通じて表に出てくることになります。

    「バレなければ大丈夫」ではなく、記録が残る以上いずれ判明する前提で考えることが大切です。

    参考:総務省「個人住民税」

    休職中でも収入を得られる場合

    家賃収入の対象となる不動産の模型

    休職中でも、すべての収入が禁止されるわけではありません。ポイントは「労働の対価かどうか」です。労働にあたらない収入や、休職前に働いた分の報酬は、原則として受け取っても問題にならない場合があります。

    どのような収入が労働にあたらないのか、具体的に見ていきましょう。

    労働にあたる
    (休職中は原則NG)
    • バイト・パート
    • 在宅ワーク(報酬あり)
    • 内職・請負の作業
    労働にあたらない
    (原則OK)
    • 株式の配当・売却益
    • 家賃などの不動産収入
    • 不用品のフリマ販売
    • 休職前の労働に対する報酬

    株式・投資・家賃などの不労所得

    株式投資の売却益や配当、家賃収入といった不労所得は、労働の対価ではなく資産の運用によって得られるものです。そのため、休職中や傷病手当金の受給中でも、原則として労務不能の判断に影響しにくいと考えられます。

    ただし、投資であっても事業と呼べる規模で継続的に行っている場合など、実態によっては見方が変わることもあります。判断に迷う場合は、健康保険組合や会社に確認しておくと安心です。

    休職前の労働に対する報酬の入金

    休職に入る前に働いた分の給与や、以前の成果に対する報酬・インセンティブが、休職後になって入金されることもあります。これは休職中に新たに働いて得た収入ではないため、バイトによる収入とは区別して扱われるのが一般的です。

    とはいえ、入金のタイミングだけで判断されると誤解を招くこともあります。心配な場合は、いつの労働に対する支払いなのかを説明できるようにしておきましょう。

    参考:全国健康保険協会「傷病手当金(給付と手続き)」

    例外的にバイトが認められる場合

    就業規則や会社の許可を確認する雇用契約書

    ここまで原則としてバイトはできないと説明してきましたが、一定の条件がそろえば例外的に認められることもあります。ポイントは、傷病手当金を受給していないこと、就業規則に反しないこと、そして関係者の許可を得ていることの3つです。

    具体的には、傷病手当金を受給していない休職で、就業規則上も問題がなく会社の許可がある場合や、医師の意見にもとづくリハビリ勤務として、以前より軽い労務を行う場合などが該当します。

    ただし、いずれの場合も本業と同じ種類の労働は認められにくく、自己判断で進めるのは禁物です。会社・主治医・健康保険組合への確認を前提に、慎重に判断する必要があります。

    例外的に認められる主な条件
    • 傷病手当金を受給していないこと
    • 就業規則に反せず、会社の許可があること
    • 主治医の意見にもとづく軽い労務(リハビリ勤務など)であること

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    休職中に無断でバイトをするリスク

    無断でバイトをするリスクを示すバツのジェスチャー

    会社や健康保険組合に知らせず、無断でバイトを始めると、金銭面だけでなくキャリアや人間関係にも影響が及びます。ここでは、代表的な3つのリスクを整理します。

    傷病手当金の支給停止・返還

    無断でバイトをしていたことが判明すると、労務不能とはいえない状態だったと判断され、傷病手当金の支給が停止されたり、すでに受け取った分の返還を求められたりすることがあります。

    生活を支えるはずの給付が止まるうえ、まとまった額の返還を求められれば、家計への打撃は大きくなります。

    就業規則違反による懲戒処分

    多くの会社では、休職の目的や副業について就業規則で定めています。無断のバイトがこれに反する場合、懲戒処分の対象となることがあります。

    懲戒処分には、戒告や減給から、重い場合には出勤停止や解雇まで幅があります。なお、減給には労働基準法で上限が定められており、際限なく給料を引かれるわけではありませんが、処分自体がキャリアに残る点は見過ごせません。

    関連法令
    労働基準法 第91条(制裁規定の制限)
    • 1回あたり 平均賃金の1日分の半額まで
    • 総額 1賃金支払期における賃金総額の10分の1まで

    復職後の信頼関係への影響

    無断のバイトが発覚すると、「療養が必要と言いながら働いていた」という印象を与え、復職後の上司や同僚との信頼関係に影響することがあります。

    一度損なわれた信頼を取り戻すのは簡単ではありません。処分の有無にかかわらず、復職後に働きにくくなるリスクがある点も考えておく必要があります。

    参考:e-Gov法令検索「労働基準法」

    休職中に収入が不安なときの対処法

    収入の不安から家計を見直す様子

    収入が減る不安から「バイトでもしなければ」と焦る気持ちは自然なものです。しかし、無理に働くよりも、療養を妨げずに家計を支える方法があります。まずは使える制度と支出の見直しから考えましょう。

    傷病手当金 — 制度の3つの数字

    支給割合(給与比)
    約2/3

    直近12か月の標準報酬月額の平均を30で割った額の3分の2が、1日分の支給額として計算される。

    受給できる期間
    通算1年6か月

    支給開始日から通算して1年6か月分が上限。出勤した日は期間に含まれないため、復職を繰り返しても残日数が続く。

    待期(不支給)日数
    3日間

    連続する3日間の休業が確定して待期完成となる。有給・休日・公休も待期日としてカウントできる。

    具体的には、次のような方法があります。傷病手当金の正確な支給額を把握して見通しを立てること、固定費を見直して支出を減らすこと、そして自治体や公的機関の支援制度を活用することです。

    • 傷病手当金の支給額と受給できる期間を確認し、当面の家計の見通しを立てる
    • 家賃・通信費・保険料などの固定費を見直し、支出そのものを減らす
    • 生活福祉資金貸付制度など、自治体の相談窓口で使える支援を確認する
    • 体調が回復し、環境を変えたい場合は復職や転職の相談も選択肢にする

    生活福祉資金貸付制度は、低所得世帯などを対象に、都道府県の社会福祉協議会が生活資金の貸付を行う制度です。まずは、お住まいの市区町村の社会福祉協議会や、会社・健康保険組合の窓口に相談してみましょう。

    体調が回復し、今の職場に戻ることに不安がある場合は、休職中の過ごし方や転職の進め方を知っておくことも役立ちます。

    編集部からのアドバイス
    • 収入が不安でも、まずは療養に専念することが復職への近道です
    • バイトの可否は自己判断せず、会社・主治医・健康保険組合に必ず確認しましょう
    • 傷病手当金や公的な支援制度を活用すれば、無理に働かなくても家計を支えられます
    無理は禁物!
    キャリアパートナー

    参考:厚生労働省「生活福祉資金貸付制度」 / 全国健康保険協会「傷病手当金(給付と手続き)」

    休職中のバイトに関するよくある質問

    休職中のバイトに関するよくある質問

    休職中のバイトについて、判断に迷いやすい質問をまとめました。共通するのは「労働にあたるかどうか」という視点です。

    休職中の副業・収入は「労働」にあたる?

    収入・活動の種類 労働にあたるか
    単発・短時間のバイト ◯あたる
    在宅ワーク(報酬あり) ◯あたる
    内職 ◯あたる
    株式の配当・売却益 ×あたらない
    家賃などの不動産収入 ×あたらない
    不用品のフリマ販売 ×あたらない
    転売目的の継続的な販売

    仕入れ・反復販売は事業性あり

    △場合による

    単発バイトなら大丈夫?

    単発や短時間であっても、労働の対価として報酬を得る以上は「労働」にあたります。傷病手当金を受給していれば労務不能の判断に影響し、就業規則に反すれば処分の対象にもなり得ます。

    短い時間だから問題ないということはなく、扱いは通常のバイトと変わりません。

    在宅ワークやフリマ販売は労働になる?

    在宅ワークで報酬を得る場合は、働く場所が自宅であっても労働にあたります。一方、不用品をフリマアプリで売る行為は、資産の処分にあたり労働とは区別されるのが一般的です。

    ただし、仕入れて販売するなど反復・継続して利益を得ている場合は、事業とみなされることもあります。判断に迷うときは会社や健康保険組合に確認しましょう。

    傷病手当金を受けていなければバイトできる?

    傷病手当金を受給していない休職であれば、労務不能の要件は関係しなくなります。ただし、その場合でも就業規則で副業やバイトが制限されていないか、会社の許可が必要ではないかを確認する必要があります。

    傷病手当金の有無にかかわらず、療養を優先すべき状況であることは変わりません。バイトを検討する場合も、体調と就業規則の両面から慎重に判断しましょう。

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    まとめ

    休職中のバイトは、療養に専念すべき期間であることと、傷病手当金の「労務不能」という要件に反することから、原則として認められません。無断で働けば、傷病手当金の返還や就業規則違反による処分、復職後の信頼関係への影響といったリスクを負うことになります。

    一方で、株式・家賃などの不労所得や休職前の労働に対する報酬は労働にあたらず、傷病手当金を受給していない休職で就業規則や会社の許可などの条件がそろえば、例外的に軽い労務が認められる場合もあります。いずれも自己判断せず、会社・主治医・健康保険組合に確認することが大切です。

    収入への不安があるときは、無理に働くのではなく、傷病手当金の支給額の把握、固定費の見直し、生活福祉資金貸付制度などの公的支援の活用で家計を支える方法があります。まずは安心して療養に専念できる環境を整え、回復してから次のキャリアを考えていきましょう。

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    この記事を書いた人
    医療キャリアナビ編集部

    医療キャリアナビ編集部

    記事の執筆・編集は、医療業界に精通した編集スタッフが担当しています。日々の転職支援業務で得た現場のリアルな情報と、厚生労働省をはじめとする公的機関のデータに基づき、信頼性の高いコンテンツをお届けしています。

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