ナーシングホームとは?老人ホームとの違いや特徴・費用・働く職種を解説
「ナーシングホーム」という言葉を見聞きして、一般的な老人ホームと何が違うのか気になっている方は多いのではないでしょうか。ナーシングホームは、看護師が24時間常駐するなど医療体制を手厚くした高齢者向けの施設を指す呼び方です。ただし日本には法的な定義がなく、施設ごとに体制やサービスは異なります。
この記事では、ナーシングホームの特徴や受けられるサービス、他施設との違い、費用の考え方、そして働く職種までをわかりやすく解説します。施設選びを考えているご家族の方にも、転職先として検討している医療・介護職の方にも役立つ内容です。
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ナーシングホームとは?

ナーシングホームは、看護師による医療的なケアを手厚く受けられる高齢者向けの施設を指す呼び方です。もともと欧米で使われてきた呼称で、日本の法律には「ナーシングホーム」という名称や基準の定めはありません。そのため、どの施設をナーシングホームと呼ぶかは、事業者の考え方による部分が大きいのが実情です。
一般的には、看護師の24時間常駐などによって医療と介護を一体的に提供する施設を指します。制度上の実態としては、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)に、訪問看護・訪問介護の事業所を併設した形が多く見られます。これらを組み合わせることで、24時間の医療体制を整えています。
つまりナーシングホームは、独立した一つの施設類型ではなく、既存の高齢者向け住まいに医療サービスを組み合わせた「医療体制が手厚い住まい」と捉えると理解しやすいでしょう。法的な定義がないからこそ、施設名だけで判断せず、実際の体制を確認することが大切です。
ナーシングホームの構造
または
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
訪問介護
ナーシングホームの特徴

ナーシングホームには、一般的な老人ホームと比べて医療面が手厚いという共通した特徴があります。法的な定義がないため施設ごとに差はありますが、多くのナーシングホームに見られる代表的な特徴を3つに分けて見ていきます。
看護師が24時間常駐する
最大の特徴は、看護師が24時間体制で常駐、または併設の訪問看護ステーションと連携し、夜間も対応できる体制を整えている点です。一般的な住宅型有料老人ホームやサ高住では、看護師が日中のみ勤務する施設も少なくありません。
ナーシングホームでは、夜間や早朝の急変時にも医療的な判断を相談できるため、医療的ケアが必要な方やそのご家族にとって安心感につながります。看護師が常にそばにいることが、ナーシングホームと呼ばれる施設の前提になっています。
医療依存度の高い人を受け入れる
ナーシングホームは、一般的な老人ホームでは受け入れが難しい、医療依存度の高い方を受け入れやすいことも特徴です。看護師が常駐しているため、日常的に医療的ケアを必要とする方でも生活の場で過ごせます。
具体的には、喀痰吸引や経管栄養、在宅酸素療法、インスリン注射、ストーマの管理などに対応する施設があります。どこまで対応できるかは施設ごとに異なるため、必要なケアに対応しているかを入居前に確認することが重要です。
ナーシングホームで対応できる医療的ケアの例
上記はあくまでも対応例です。対応できる医療的ケアの範囲は施設ごとに異なります。入居前に必ず各施設へご確認ください。
看取り・ターミナルケアに対応する
終末期を住み慣れた生活の場で過ごしたいという希望に応え、看取り・ターミナルケアに対応する施設が多いのもナーシングホームの特徴です。病院のような治療中心の環境ではなく、生活の中で穏やかに最期を迎えることを支えます。
痛みや苦しさをやわらげる緩和ケアの考え方を取り入れ、ご本人やご家族の意思を尊重しながらケアを進めます。最期まで関わる看護師には、緩和ケアの知識や、ご本人・ご家族に寄り添う姿勢が求められます。緩和ケアに携わる看護師について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
ナーシングホームで受けられるサービス

ナーシングホームで受けられるサービスは、大きく「医療的ケア」「介護・生活支援」「リハビリテーション」の3つに分けられます。
医療と介護を一体的に受けられる点が、一般的な高齢者住宅との違いです。それぞれの内容を見ていきましょう。
ナーシングホームで受けられるサービス
配置により PT・OT・ST
医療的ケア
看護師が中心となり、健康管理や服薬管理、点滴、喀痰吸引、経管栄養などの医療的ケアを行います。必要に応じて連携する医師の指示を受けながら、日々の体調変化に対応します。
医療的ケアの範囲は施設によって幅があります。医療と介護を一体的に提供する仕組みは、訪問看護の働き方とも近い部分があります。在宅での看護に関心がある方は、あわせて次の記事もご覧ください。
介護・生活支援
食事や入浴、排せつ、着替えといった日常生活の介助に加え、掃除や洗濯などの生活支援を受けられます。介護職員が中心となり、一人ひとりの状態に合わせて生活を支えます。
医療的ケアと介護が同じ施設内で連携して行われるため、体調の変化にも気づきやすい環境です。利用者さんが自分らしく生活できるよう、できることはご本人に行ってもらう関わりも大切にされます。
リハビリテーション
機能訓練指導員や、配置されている場合は理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などが、身体機能の維持・回復を目的としたリハビリテーションを行います。歩行や立ち座りの訓練、関節を動かす運動などが中心です。
リハビリの体制は施設によって差が大きく、専門職が常勤していない施設もあります。リハビリを重視したい場合は、どのような職種がどの頻度で関わるのかを確認しておくとよいでしょう。
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ナーシングホームと他施設の違い

ナーシングホームは法的な定義がないため、他の施設との違いが分かりにくいと感じる方も多いでしょう。
ここでは、一般的な老人ホーム・介護医療院・ホスピス型住宅という3つの施設と比較しながら、ナーシングホームの位置づけを整理します。
ナーシングホームと類似施設の制度上の比較
| 施設 | 制度上の位置づけ | 運営 | 医師の配置 | 看護体制 | 主な入居対象 |
|---|---|---|---|---|---|
| ナーシングホーム | 法的定義なし (有料老人ホーム・サ高住がベース) |
民間 | 配置義務なし (連携医が対応) |
看護師が24時間常駐・連携 | 医療依存度の高い人 |
| 介護医療院 | 公的な介護保険施設 | 公的 | 配置義務あり | 看護・介護体制あり | 長期療養が必要な要介護1〜5 |
| 特別養護老人ホーム(特養) | 公的な介護保険施設 | 公的 | 配置基準あり (常勤医は任意) |
日中中心 | 原則要介護3以上 |
| 住宅型有料老人ホーム | 老人福祉法上の有料老人ホーム | 民間 | なし | 施設による (外部サービス利用) |
自立〜要介護 |
一般的な老人ホーム(特養・有料)との違い
特別養護老人ホーム(特養)は、介護保険法に基づく公的な介護保険施設です。常時の介護を必要とする方が対象で、入所は原則として要介護3以上に限られます。費用が比較的抑えられる一方、医療依存度が高いと入所が難しい場合があります。
住宅型有料老人ホームは民間が運営する住まいで、生活支援が中心です。ナーシングホームは、こうした有料老人ホームやサ高住をベースに看護体制を強化したもので、医療面が手厚い点が一般的な老人ホームとの違いといえます。
介護医療院との違い
介護医療院は、2018年に創設された公的な介護保険施設です。長期にわたり療養が必要な要介護者を対象に、日常的な医学管理や看取り、生活施設としての機能を提供します。医師・看護師・薬剤師・介護職などが配置基準に基づいて配置され、対象は要介護1〜5の方です。
両者の大きな違いは制度上の位置づけです。介護医療院は公的な介護保険施設、ナーシングホームは民間の有料老人ホームやサ高住をベースとした住まいという点が根本的に異なります。介護医療院は医師が配置され緊急時の医療体制が整う一方、ナーシングホームは生活の場であることが重視されます。
ホスピス型住宅との違い
ホスピス型住宅は、がんの末期や難病など、終末期の医療的ケアを必要とする方を主な対象とした住まいです。看取りや緩和ケアに特化している点が特徴で、ナーシングホームと重なる部分もあります。
ナーシングホームが医療的ケア全般に幅広く対応するのに対し、ホスピス型住宅はより終末期ケアに重点を置く傾向があります。ただし、どちらも明確な法的定義はなく、実際のサービス内容は施設ごとに確認することが欠かせません。
参考:厚生労働省「介護医療院について」 / 健康長寿ネット「介護医療院とは」
ナーシングホームの入居対象と条件

ナーシングホームの主な入居対象は、医療依存度が高く、一般的な老人ホームでは受け入れが難しい方です。看護師が常駐しているため、日常的な医療的ケアが必要でも生活の場として選びやすいのが特徴です。
法的な基準がないため、入居条件は事業者が独自に設定しています。特別養護老人ホームのように要介護3以上といった一律の要件はなく、施設によって受け入れの幅は大きく異なります。要介護度や年齢、医療的ケアの内容によって、入居できるかどうかが変わります。
施設によっては、60歳未満の方や介護保険の対象外の方を受け入れているところもあります。一方で、対応できない医療的ケアがある場合は入居を断られることもあります。そのため、希望する施設に必要なケアへ対応できるか、入居前に一つずつ確認することが大切です。
入居前に確認すべき5つのステップ
ナーシングホームの費用

ナーシングホームには法的な基準がないため、費用は施設によって大きく異なります。医療体制が手厚い分、一般的な住宅型有料老人ホームと比べてやや高めになる傾向があります。費用の内訳や考え方を理解しておくと、施設を比較しやすくなります。
ナーシングホームの月額費用の内訳
費用は大きく「生活費用」と「介護・医療費用」の2種類で構成されます
月額費用は主に、家賃・管理費・食費といった生活に関わる費用と、介護・医療に関わる費用で構成されます。
介護サービスの自己負担は、介護保険を使う場合、所得に応じて原則1〜3割です。ただし、介護保険の対象外となるサービスもあり、その分は全額自己負担になります。
注意したいのは、入居時にかかる費用だけでなく、医療的ケアが増えたときの将来的な負担です。状態が変われば必要なサービスも変わり、費用が上がる場合があります。
見学時には、月額費用の総額に加え、状態が変化したときの費用の見通しまで確認しておくと安心です。具体的な金額は施設による幅が大きいため、複数の施設を比較して検討するとよいでしょう。
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ナーシングホームが必要とされる背景

ナーシングホームのような医療体制の手厚い住まいが求められる背景には、高齢化の進行と医療提供体制の変化があります。なぜ今このような施設の需要が高まっているのかを整理します。
一つは、高齢化による医療と介護の複合的なニーズの高まりです。団塊の世代が2025年に全員75歳以上となり、医療的ケアと介護の両方を必要とする高齢者が増えています。同時に、国は地域医療構想のもとで病床の機能分化を進めており、医療依存度が高くても退院を求められる場面が増えています。
その結果、退院後に行き場を失いやすい方の受け皿として、医療と介護を一体的に受けられる住まいが必要とされています。また、在宅での介護や看取りには家族の負担が大きいことから、住み慣れた環境に近い生活の場で医療を受けられるナーシングホームへの期待が高まっています。こうした流れは、看取りの場が病院だけでなく生活の場へ広がっていることとも関係しています。
ナーシングホームが必要とされる背景
ナーシングホームで働く職種

ナーシングホームで働く中心的な職種は、看護師と介護職員です。これに加えて、連携する医師や訪問看護、リハビリ専門職などが関わり、チームで利用者さんを支えます。医療と介護の両面から関われる職場である点が特徴です。
看護師は24時間体制の中で、医療的ケアや健康管理、看取りなどを担います。病院とは違い、生活の場で医療や看取りに関われる点が、ナーシングホームならではの働き方です。看護師が常駐しているため、医療依存度の高い入居者さんがいても、いざという時に相談できる体制の中で働けます。
求人データから、看護師がナーシングホームに近い事業形態で働く場合の給与水準を見てみましょう。
働く環境を考えるうえでは、給与だけでなく福利厚生も大切な要素です。次のデータも参考にしてみてください。
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医療と介護が連携する働き方は、訪問看護にも通じるものがあります。生活の場で看護に携わる仕事に関心がある方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
ナーシングホームに関するよくある質問

ナーシングホームについて、特に質問の多いポイントをまとめました。施設選びや転職を考える際の参考にしてください。
ナーシングホームと介護医療院はどう違う?
最も大きな違いは制度上の位置づけです。介護医療院は介護保険法に基づく公的な介護保険施設で、医師の配置が義務づけられています。一方、ナーシングホームは民間の有料老人ホームやサ高住をベースとした住まいで、法的な定義はありません。
介護医療院は医療施設に近い性格を持ち、ナーシングホームは生活の場であることが重視されます。どちらが合うかは、必要な医療の程度や暮らし方の希望によって変わります。
要介護認定がなくても入居できる?
入居できる場合があります。ナーシングホームには一律の入居基準がなく、事業者が独自に条件を設定しているためです。特別養護老人ホームのように要介護3以上といった要件はありません。
ただし、施設ごとに受け入れの方針は異なります。要介護認定の有無や医療的ケアの内容によって判断が変わるため、希望する施設に直接確認することをおすすめします。
「ナーシングホーム」と名乗っていない施設もある?
あります。ナーシングホームは法的な名称ではないため、同じような体制でも「住宅型有料老人ホーム」「サービス付き高齢者向け住宅」などと表示されている施設は多くあります。
そのため、施設名だけで判断するのではなく、看護師の常駐体制や対応できる医療的ケアの内容を確認することが大切です。名称よりも、実際にどのような体制が整っているかに注目しましょう。
名称ではなく「体制」で選ぶ|確認したい3つのこと
まとめ
ナーシングホームは、看護師が24時間常駐するなど医療体制を手厚くした高齢者向けの住まいを指す呼び方で、日本には法的な定義がありません。実態としては、住宅型有料老人ホームやサ高住に訪問看護などを組み合わせ、医療と介護を一体的に提供する形が多く見られます。
医療依存度の高い方の受け入れや看取りへの対応が特徴で、公的な介護保険施設である介護医療院とは制度上の位置づけが異なります。入居条件や費用は施設ごとに幅が大きいため、名称だけで判断せず、必要なケアに対応できるか、費用の見通しはどうかを一つずつ確認することが大切です。
働く職種としては看護師と介護職員が中心で、生活の場で医療や看取りに関われる点が病院との違いです。施設選びでも転職でも、実際の体制を見極めることが、自分に合った選択につながります。気になる方は、まずは情報を集めるところから始めてみてください。



