言語聴覚士が働く場所一覧|医療・介護・福祉・教育・行政まで職場別の仕事内容を解説
言語聴覚士(ST)の資格を取得したものの、「どんな職場で働けるのだろう」「自分に合った働き方はどこで実現できるのか」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか?
言語聴覚士の就業先は医療機関だけではなく、介護・福祉施設、児童発達支援、教育機関、行政機関など多岐にわたります。施設の種類によって対象となる患者さんや求められるスキル、給与水準、働き方は大きく異なります。
この記事では、言語聴覚士が働ける場所を領域別に紹介し、仕事内容や職場選びのポイントまで詳しく解説します。
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言語聴覚士が働ける主な領域

言語聴覚士は1997年に国家資格として制定され、2023年3月時点で免許登録者数は約4万人に達しています。
言語聴覚士が活躍できるフィールドは、大きく分けて5つの領域に分類されます。日本言語聴覚士協会の調査によると、正会員の約60.7%が医療機関に勤務しており、医療・介護複合施設を含めると約80%が医療関連の職場で働いています。
一方で、近年は介護施設や児童発達支援の分野でも言語聴覚士の需要が高まっています。
それぞれの領域には異なる特徴があり、対象となる年齢層や疾患、求められる専門性も変わります。まずは各領域の概要を把握して、自分がどの方向に進みたいかを考えてみましょう。
言語聴覚士が活躍する5つの領域
医療領域
急性期〜回復期の病院・クリニックで失語症や嚥下障害のリハビリを実施
就業者の約60%介護・福祉領域
老健・特養・デイケアなどで高齢者の嚥下機能維持やコミュニケーション支援
就業者の約20%児童・小児領域
児童発達支援・放デイで子どものことばの発達を支援
需要拡大中教育領域
養成校の教員やことばの教室で次世代育成・児童支援
約3%行政領域
保健所・保健センターで乳幼児健診や地域リハビリを推進
公務員待遇参考:一般社団法人日本言語聴覚士協会「言語聴覚士の動向」 /一般社団法人日本言語聴覚士協会「言語聴覚士とは」
医療領域
医療領域は言語聴覚士の就業先として最も多い分野です。急性期病院や回復期リハビリ病院を中心に、脳卒中後の失語症や構音障害、摂食嚥下障害などに対応します。医師の指示のもとでリハビリテーションを実施するため、チーム医療の一員としての役割が求められます。
医療機関では症例数が豊富で、幅広い疾患に触れられるため、臨床経験を積みやすい環境です。特に新卒者や経験の浅い言語聴覚士にとっては、先輩STから指導を受けやすく、スキルアップに適した職場といえます。
介護・福祉領域
介護施設や福祉施設では、高齢者の摂食嚥下機能の維持や認知症ケア、コミュニケーション支援が主な業務です。日本言語聴覚士協会の調査では、介護施設に勤務する言語聴覚士は全体の約6.6%ですが、医療・介護複合施設を含めると約20%に達します。
介護領域では、利用者さんの「生活の質」を重視した長期的な関わりが特徴です。急性期のような目に見える回復は少ないものの、食事を安全に楽しめるようサポートしたり、日常のコミュニケーションを支援したりするやりがいがあります。
児童・小児領域
児童発達支援センターや放課後等デイサービスなどで、ことばの遅れや発達障害のある子どもたちの言語発達を支援する分野です。近年は発達障害への社会的関心の高まりとともに、この領域での言語聴覚士の需要が急速に拡大しています。
小児領域では、子ども一人ひとりの発達段階に合わせた個別プログラムを作成し、遊びを通じてことばやコミュニケーションの力を伸ばしていきます。保護者へのアドバイスや園・学校との連携も重要な役割です。
教育領域
言語聴覚士養成校の教員や、小・中学校の特別支援学級、通級指導教室などで働く道もあります。教育領域は全体の約3%と少数ですが、次世代の言語聴覚士を育成する養成校教員や、地域の子どもたちの言語発達を支える通級指導は、専門性を活かせる重要な役割です。
養成校教員を目指す場合は、臨床経験に加えて大学院での研究経験が求められることが一般的です。
行政領域
保健所や保健センター、福祉事務所などの公的機関で働く言語聴覚士もいます。乳幼児健診での発達スクリーニングや、失語症の方の社会参加支援、地域リハビリテーションの推進などが主な業務です。
行政職として採用される場合は公務員待遇となるため、安定した給与や福利厚生が期待できます。ただし、募集枠が非常に限られているため、求人が出るタイミングを逃さないことが大切です。
言語聴覚士の求人を探す医療機関で働く言語聴覚士

医療機関は言語聴覚士にとって最も代表的な就業先です。病院の種類によって対応する疾患のフェーズや業務内容が大きく異なるため、自分がどのような患者さんに関わりたいかを考えて選ぶことが重要です。
医療機関で働くメリットとして、多職種チームの中で幅広い知識が身につくこと、症例数が多くスキルアップしやすいことが挙げられます。一方で、病院の規模や機能によって勤務体制や給与にも差があります。
医療機関タイプ別 比較一覧
| 症例数 | 教育体制 | 給与 | WLB | 専門性 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 急性期病院 | ◯ | ◯ | △ | ✕ | ◯ |
| 回復期リハビリ病院 | ◯ | ◯ | △ | △ | ◯ |
| 療養型病院 | △ | △ | △ | ◯ | △ |
| 大学病院 | ◯ | ◯ | ◯ | ✕ | ◯ |
| クリニック | △ | ✕ | △ | ◯ | △ |
急性期病院
急性期病院では、脳卒中や頭部外傷、手術後の患者さんに対して、発症直後からリハビリテーションを開始します。意識レベルの変動がある中での嚥下評価や、気管切開中の患者さんへの対応など、高度な判断力が求められます。
入院期間が短いため、限られた時間の中で評価・訓練・退院先への申し送りまで行う必要があります。緊張感のある環境ですが、患者さんの回復過程を間近で見られるやりがいの大きい職場です。ICUやSCUでの早期介入に携わることもあり、医療チームの一員としての責任感が強く求められます。
回復期リハビリ病院
回復期リハビリ病院は、急性期を脱した患者さんが在宅復帰を目指して集中的にリハビリテーションを行う施設です。入院期間は疾患にもよりますが、脳血管疾患の場合は最長150日です。
言語聴覚士は1日に複数回の訓練を実施し、失語症・構音障害・高次脳機能障害・摂食嚥下障害に対して体系的にアプローチします。PT(理学療法士)やOT(作業療法士)と連携しながら、患者さんの日常生活全体を見据えたリハビリ計画を立てることが求められます。
リハビリに特化した環境で十分な訓練時間が確保できるため、臨床スキルを深めたい方に適した職場です。
療養型病院
療養型病院では、長期にわたる入院が必要な患者さんのケアを担当します。急性期や回復期のような目覚ましい機能回復は難しいケースが多いですが、現在の機能を維持しながら安全に食事ができるよう支援することが重要な役割です。
誤嚥性肺炎の予防や口腔ケアの指導、食事形態の調整が日常業務の中心となります。患者さんやご家族と長期的な信頼関係を築けることがこの職場の特徴です。比較的落ち着いた勤務環境で働きたい方に向いています。
大学病院・専門病院
大学病院や専門病院では、一般の病院では対応が難しい難症例に取り組む機会があります。頭頸部がんの術後リハビリや、人工内耳装用者の聴覚リハビリ、小児の言語発達障害の精密評価など、高度な専門性が求められます。
研究活動や学会発表に携わる機会も多く、最新のエビデンスに基づいた臨床を実践できる環境です。教育体制が整っている施設が多いため、認定言語聴覚士の取得を目指す方にも適しています。
耳鼻咽喉科クリニック・口腔外科
耳鼻咽喉科クリニックでは、聴覚検査や補聴器適合、音声障害のリハビリなどが主な業務です。口腔外科では、口蓋裂や顎変形症の術後の構音訓練に携わることがあります。
クリニック勤務は日勤のみで土日祝休みの職場が多く、ワークライフバランスを重視する方に人気があります。ただし、言語聴覚士の配置は1名のみという職場も多く、一人で幅広い業務をこなす力が必要です。
今のあなたの状況は?
医療機関で働く言語聴覚士の対象疾患

医療機関で働く言語聴覚士が対応する疾患は多岐にわたります。施設の機能や診療科によって担当する疾患は異なりますが、言語聴覚士として働くうえで基本的に理解しておくべき疾患群があります。
ここでは主な対象疾患とその概要を紹介します。どの疾患に興味があるか、どの分野を専門にしたいかを考えることで、自分に合った職場を絞り込む手がかりになります。
対象疾患と主な職場の対応
| 対象疾患 | 主な業務内容 | 対応する主な職場 |
|---|---|---|
| 失語症・構音障害 | 言語訓練・発話訓練・コミュニケーション支援 | 急性期病院・回復期リハビリ病院 |
| 摂食嚥下障害 | 嚥下評価・食事形態調整・口腔ケア指導 | 病院全般・老健・特養・訪問リハビリ |
| 難聴・聴覚障害 | 聴力検査・補聴器適合・人工内耳リハビリ | 耳鼻咽喉科・大学病院 |
| 音声障害 | 発声方法指導・音声リハビリ | 耳鼻咽喉科・大学病院 |
| 小児発達障害 | 言語発達評価・個別療育・保護者指導 | 児童発達支援・放デイ・小児病院 |
脳血管疾患による失語症・構音障害
脳梗塞や脳出血によって言語中枢が損傷されると、失語症や構音障害が生じます。失語症は「話す・聴く・読む・書く」のすべてに影響が出る障害で、言語聴覚士の専門性が最も発揮される領域の一つです。
構音障害は口や舌の動きが思うようにいかなくなる症状で、明瞭な発話ができるよう訓練します。急性期から回復期にかけて集中的に介入することが多く、退院後もフォローアップが必要なケースがあります。
摂食嚥下障害
食べ物を飲み込む機能に問題が生じる摂食嚥下障害は、言語聴覚士が関わる疾患の中でも特に需要が高い分野です。脳卒中後だけでなく、加齢による嚥下機能の低下や、頭頸部がん術後の嚥下障害にも対応します。
嚥下造影検査(VF)や嚥下内視鏡検査(VE)の評価に立ち会い、食事形態の選定や嚥下訓練プログラムの作成を行います。誤嚥性肺炎は高齢者の死因上位であり、言語聴覚士の介入が患者さんの命を守ることに直結する重要な業務です。
難聴・聴覚障害
先天性難聴から加齢性難聴まで、幅広い聴覚障害に対応します。聴力検査の実施、補聴器の適合・調整、人工内耳装用後のリハビリテーションが主な業務です。
小児の場合は、早期に難聴を発見し、ことばの発達を支援することが重要です。高齢者の場合は、補聴器の使用方法の指導や、コミュニケーション環境の調整を行います。耳鼻咽喉科クリニックや大学病院の耳鼻咽喉科で携わることが多い分野です。
声帯疾患による音声障害
声帯ポリープや声帯結節、反回神経麻痺などによって声が出しにくくなる音声障害にも対応します。教師や歌手など声を使う職業の方に多く見られ、手術後の音声リハビリや発声方法の指導を行います。
音声障害は他の疾患と比べて対応できる言語聴覚士が少なく、専門性を高めれば希少な人材として評価される分野です。
小児の発達障害
自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠如・多動症(ADHD)、知的障害などに伴うことばの遅れに対応します。医療機関では小児科や発達外来で、発達検査や言語評価を実施し、個別の訓練プログラムを作成します。
発達障害の診断数は年々増加しており、小児領域の言語聴覚士の需要は今後も高まることが見込まれます。保護者との連携が不可欠で、家庭でできるトレーニングの指導も重要な役割です。
介護・福祉施設で働く言語聴覚士

介護・福祉施設では、高齢者や障害のある方の「生活の質」を支えることが言語聴覚士の役割です。医療機関とは異なり、医師の指示のもとでの「リハビリ」ではなく、生活に根ざした「機能訓練」として支援を行う場面も多いのが特徴です。
近年は介護領域での言語聴覚士の需要が拡大しています。医療キャリアナビ掲載求人データ(2026年時点)によると、言語聴覚士の求人3,111件のうち、介護・福祉施設の求人は約750件を占めています。
介護・福祉施設タイプ別の特徴
入所施設
老健・特養・介護医療院など。24時間体制で利用者さんの生活を支援。嚥下評価や口腔ケア指導が中心
医師常駐(老健)通所施設
デイサービス・デイケアなど。日帰りで通う利用者さんに機能訓練やリハビリを提供。日勤のみで残業少
WLB重視訪問サービス
利用者さんの自宅を訪問して個別にリハビリを実施。生活環境に合わせた実用的なアプローチが可能
月給最高水準介護老人保健施設
介護老人保健施設(老健)は、在宅復帰を目指す利用者さんにリハビリテーションを提供する施設です。言語聴覚士は摂食嚥下訓練や言語訓練を中心に、利用者さんの自立支援に取り組みます。
老健では医師や看護師が常駐しているため、医療的なバックアップを受けながら介護領域の経験を積める点が特徴です。3〜6ヶ月の入所期間の中で、在宅復帰に向けた具体的な目標設定と計画立案が求められます。医療キャリアナビ掲載求人データ(2026年時点)では、老健の言語聴覚士の平均月給は約26.5万円です。
特別養護老人ホーム
特別養護老人ホーム(特養)は、要介護3以上の高齢者が入居する施設です。言語聴覚士の配置義務はありませんが、機能訓練指導員として言語聴覚士を配置する施設が増えています。
特養での主な業務は、食事場面での嚥下評価・食事形態の調整・口腔ケアの指導です。入居者さんの残存機能を維持し、安全に食事を楽しめる環境を整えることが重要な役割となります。
デイサービス・デイケア
デイサービス(通所介護)やデイケア(通所リハビリ)では、在宅で生活する高齢者が日帰りで通い、リハビリテーションや機能訓練を受けます。言語聴覚士は摂食嚥下訓練、言語訓練、認知機能訓練などを提供します。
デイケアは医師の指示に基づく「リハビリ」を提供する施設であるのに対し、デイサービスは「機能訓練」として実施するため、法的な位置づけが異なります。日勤のみの勤務で残業が少ない職場が多く、ワークライフバランスを重視する方に適しています。
- 介護老人保健施設の求人数:330件
- デイケア・デイサービスの求人数:254件
- 特別養護老人ホームの求人数:108件
- 未経験可の求人が全体の80%
訪問リハビリテーション
訪問リハビリは、利用者さんの自宅を訪問して個別にリハビリテーションを提供するサービスです。言語聴覚士の施設別平均月給の中で最も高い水準(約31.0万円)であり、年収面で魅力的な選択肢です。
利用者さんの生活環境に合わせたプログラムを提供できるため、実用的なアプローチが可能です。一人で判断する場面が多いため、ある程度の臨床経験を積んでから転職する方が多い傾向にあります。移動手段は自動車が中心で、運転免許が必要な職場がほとんどです。
介護医療院
介護医療院は、長期的な医療と介護を一体的に提供する施設です。2018年に創設された比較的新しい施設類型で、従来の介護療養型医療施設からの移行が進んでいます。
医療的ケアが必要な高齢者に対して、嚥下訓練や口腔ケア、コミュニケーション支援を行います。医師や看護師が常駐しているため、医療依存度の高い利用者さんにも対応できる環境です。
言語聴覚士の求人を探す児童・小児領域で働く言語聴覚士

児童・小児領域は、近年最も成長している分野の一つです。発達障害への社会的認知の広がりや、児童発達支援・放課後等デイサービスの事業所数の増加に伴い、言語聴覚士の求人も急速に増えています。
子どもの成長に関わる仕事であるため、大きなやりがいを感じられる反面、保護者対応や多機関連携など、対人スキルが強く求められる分野でもあります。
小児領域のST求人データ(2026年時点)
児童発達支援センター
児童発達支援センターは、未就学児(0〜6歳)の発達を支援する施設です。言語聴覚士は、ことばの遅れや発音の不明瞭さ、コミュニケーションの困難さがある子どもに対して、個別または小集団での療育を提供します。
発達検査の実施や療育計画の作成、保護者面談、園や保育所との連携が主な業務です。子どもの成長を間近で見られるやりがいがある一方で、成果が出るまでに時間がかかるため、粘り強く向き合う姿勢が必要です。
放課後等デイサービス
放課後等デイサービスは、就学児(6〜18歳)を対象とした療育施設です。学校の授業終了後や長期休暇中に通い、ことばの訓練や社会性の向上を目指すプログラムに参加します。
言語聴覚士は個別の言語訓練のほか、集団活動の中でのコミュニケーション支援を行います。学校との連携や学習面での困りごとへの対応も求められるため、幅広い知識が役に立つ職場です。
小児専門病院
小児専門病院では、ことばの遅れや吃音、構音障害、聴覚障害など、小児特有の疾患に対して専門的なリハビリテーションを提供します。発達検査や知能検査の実施、診断補助も重要な役割です。
先天性の疾患や染色体異常に伴う言語発達障害など、高度な知識が求められる症例に携わる機会があります。教育・研究活動が活発な施設も多く、小児領域の専門性を極めたい方に適しています。
ことばの教室
ことばの教室は、小学校に設置されている通級指導教室の一つです。通常の学級に在籍しながら、ことばや聞こえに課題のある児童が週に数回通って個別指導を受けます。
教育委員会に所属する形で採用されるケースが一般的で、言語聴覚士の専門性を教育現場で活かせる職場です。ただし、言語聴覚士として採用される枠は限られており、教員免許の取得が求められることもあります。
転職活動するなら?
教育機関で働く言語聴覚士

教育機関で働く言語聴覚士は全体の約3%と少数ですが、次世代の人材育成や地域の言語支援に携わる重要な役割を担っています。教育現場で働くためには、臨床経験に加えて教育者としてのスキルや研究実績が求められることが多いです。
教育機関の職場比較
| 職場 | 主な業務 | 必要な条件 |
|---|---|---|
| 養成校教員 | 講義・実習指導・研究活動 | 臨床経験5年以上・大学院修士以上が一般的 |
| 特別支援学級 | コミュニケーション支援・教育支援計画作成 | 自治体採用試験の合格(教員免許が必要な場合あり) |
| 通級指導教室 | 発音指導・吃音対応・聞こえの評価 | 教育委員会採用(公務員待遇が多い) |
言語聴覚士養成校の教員
言語聴覚士養成校(専門学校・大学)の教員として、講義や実習指導を担当します。臨床経験を活かして実践的な授業を行い、学生の国家試験合格をサポートする仕事です。
養成校教員になるには、一般的に5年以上の臨床経験と大学院修士課程以上の学歴が求められます。研究活動や論文執筆、学会発表なども業務に含まれるため、臨床と研究の両面に興味がある方に向いています。
小・中学校の特別支援学級
特別支援学級に配置される言語聴覚士は、知的障害や自閉症、情緒障害のある児童・生徒のコミュニケーション支援を行います。教員と連携して個別の教育支援計画を作成し、授業の中での支援方法を提案します。
自治体によって採用形態は異なり、常勤の専門職として配置される場合と、外部専門家として定期的に巡回する場合があります。
通級指導教室
通級指導教室は、通常の学級に在籍する児童・生徒のうち、一部特別な指導が必要な子どもが通う教室です。言語障害や聴覚障害の通級指導教室では、言語聴覚士の専門性が直接活かされます。
発音の指導、吃音への対応、聞こえの評価と支援が主な業務内容です。教育委員会による採用が基本で、公務員待遇となるケースが多いです。
言語聴覚士の求人を探す行政・公的機関で働く言語聴覚士

行政・公的機関で働く言語聴覚士は全体のごくわずかですが、地域全体の言語聴覚療法の質を底上げする重要な役割を担っています。公務員としての安定した待遇や、地域貢献を実感できる点が魅力です。
ただし、募集枠が非常に少ないため、希望する自治体の採用情報を定期的にチェックすることが欠かせません。
保健所・保健センター
保健所や保健センターでは、乳幼児健診での発達スクリーニングが言語聴覚士の代表的な業務です。1歳6ヶ月健診や3歳児健診で、ことばの遅れや聞こえの問題を早期に発見し、必要に応じて専門機関への紹介を行います。
発達の遅れを早期に発見・支援することで、子どもの将来の可能性を広げる社会的意義の大きな仕事です。地域の子育て支援事業や健康教育講座の企画・運営に携わることもあります。
福祉事務所
福祉事務所では、障害のある方の生活支援に関する相談業務を担当することがあります。言語聴覚士の専門性を活かして、コミュニケーション障害のある方への支援計画の助言や、福祉サービスの利用調整を行います。
ただし、言語聴覚士として直接採用されるケースは少なく、福祉職や相談員として採用された中で専門性を発揮する形が一般的です。
公立リハビリテーションセンター
都道府県や市区町村が運営する公立リハビリテーションセンターでは、地域住民に対する総合的なリハビリテーションサービスを提供しています。言語聴覚士は、外来リハビリや地域支援事業の中で、失語症や高次脳機能障害の方への支援を行います。
公務員待遇で安定した環境が魅力ですが、求人数は極めて限られています。自治体の職員採用試験を受験する必要がある場合がほとんどです。
行政・公的機関の職場比較
| 職場 | 主な業務 | 採用形態 |
|---|---|---|
| 保健所・保健センター | 乳幼児健診の発達スクリーニング・子育て支援事業 | 公務員(自治体採用) |
| 福祉事務所 | 障害者の生活支援・福祉サービス利用調整 | 福祉職として採用されることが多い |
| 公立リハビリセンター | 外来リハビリ・地域支援事業・失語症者支援 | 公務員(自治体採用試験) |
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言語聴覚士が働く場所の割合

言語聴覚士の就業先は医療機関に集中していますが、その内訳を詳しく見ると施設タイプごとに分布の偏りがあります。ここでは日本言語聴覚士協会の調査データをもとに、就業先の割合を紹介します。
自分が進みたい分野がどの程度の規模感なのかを把握しておくと、就職・転職活動の見通しが立てやすくなります。
言語聴覚士の就業先割合
医療機関が約6割
日本言語聴覚士協会の調査によると、正会員のうち医療機関に勤務している言語聴覚士は60.7%です。急性期病院、回復期リハビリ病院、療養型病院、クリニックなどが含まれます。
医療機関は新卒採用が活発で、教育体制が整っている施設が多いことから、まずは医療機関で経験を積み、その後に介護・福祉や小児領域へ転職するキャリアパスが一般的です。
介護・福祉が約2割
医療・介護複合施設(16.7%)、介護施設(6.6%)、福祉施設(5.3%)を合わせると、介護・福祉領域で働く言語聴覚士は全体の約28.5%です。高齢化の進展に伴い、この割合は年々増加傾向にあります。
介護施設では摂食嚥下障害への対応が中心となるため、嚥下評価や食事形態の知識は必須スキルです。
教育・行政・その他が約1割
学校養成所(2.2%)、研究・教育機関(0.96%)、行政機関、その他を合わせると約10%程度です。数としては少ないものの、養成校教員や行政職は地域の言語聴覚療法の発展に欠かせない存在です。
近年は企業やNPOで言語聴覚士の専門性を活かす動きも出ており、従来の枠にとらわれない新しい働き方が広がりつつあります。
自分に合った職場の選び方

言語聴覚士の職場は多岐にわたるため、何を基準に選べばよいか迷う方も多いのではないでしょうか。ここでは職場選びの5つの軸を紹介します。すべての条件を満たす職場は存在しないため、自分にとって最も大切にしたい軸を1〜2つ決めて優先順位をつけることが大切です。
職場選びの3ステップ
年齢層・スキル・働き方・給与のうち最も重視する軸を1〜2つ選ぶ
優先軸に合う施設タイプを2〜3つピックアップして比較する
転職サイトやエージェントで具体的な求人条件を比較検討する
対象としたい年齢層で決める
言語聴覚士が関わる患者さん・利用者さんの年齢層は、職場によって大きく異なります。成人〜高齢者を対象としたいなら医療機関や介護施設、小児を対象としたいなら児童発達支援センターや放課後等デイサービスが候補になります。
対象年齢によって求められる知識やスキル、コミュニケーション方法がまったく異なるため、まずはどの年齢層に関わりたいかを明確にしましょう。
身につけたいスキルで決める
摂食嚥下の専門性を高めたいなら急性期病院や老健、失語症のリハビリを極めたいなら回復期リハビリ病院、聴覚領域に興味があるなら耳鼻咽喉科クリニックや大学病院が適しています。
新卒で最初に選ぶ職場は、その後のキャリアの方向性を左右します。将来どのような専門領域で活躍したいかを見据えて選ぶことが重要です。
働き方で決める
夜勤の有無や休日の取りやすさ、残業時間は職場によって異なります。急性期病院は土日出勤やオンコール対応がある場合がありますが、クリニックやデイサービスは日勤のみで土日祝休みのところが多いです。
訪問リハビリは移動時間を含めた時間管理が必要ですが、1日の訪問件数が決まっているため、自分のペースで働きやすいという声もあります。
給与・福利厚生で決める
施設タイプによって給与水準には差があります。医療キャリアナビ掲載求人データ(2026年時点)によると、訪問リハビリの平均月給が約31.0万円で最も高く、病院や特養は約25.5万円です。
言語聴覚士の施設別 平均月給(正社員)
| 施設タイプ | 平均月給 |
|---|---|
| 訪問リハビリ | 31.0万円 |
| クリニック | 28.0万円 |
| 有料老人ホーム | 27.6万円 |
| 児童発達支援 | 26.6万円 |
| 介護老人保健施設 | 26.5万円 |
| デイケア・デイサービス | 26.4万円 |
| 放課後等デイサービス | 26.0万円 |
| 病院 | 25.6万円 |
給与だけでなく、賞与の有無や退職金制度、住宅手当なども含めた総合的な待遇で比較することが大切です。
教育体制の充実度で決める
特に新卒や経験の浅い言語聴覚士にとって、教育体制の充実度は職場選びの重要なポイントです。プリセプター制度やOJT、外部研修の補助があるかどうかを確認しましょう。
大規模な病院やチェーン展開の介護施設では教育体制が整っている傾向がありますが、小規模な施設では先輩STがいない場合もあります。一人職場に不安がある方は、複数の言語聴覚士が在籍している施設を選ぶとよいでしょう。
まとめ
言語聴覚士の働く場所は、医療機関を中心に介護・福祉施設、児童発達支援、教育機関、行政機関と幅広い選択肢があります。就業先の約60%が医療機関ですが、近年は介護領域や小児領域での求人が増加しており、言語聴覚士の活躍の場は広がり続けています。
職場選びで大切なのは、対象としたい年齢層や身につけたいスキル、給与・働き方の優先順位を明確にすることです。まずは自分のキャリアビジョンを整理し、気になる分野の求人情報を具体的にチェックしてみましょう。
転職や就職を検討している方は、言語聴覚士専門の転職エージェントに相談することで、各施設の内部情報や非公開求人を含めた幅広い選択肢から最適な職場を見つけられます。一人で悩まず、まずは気軽に情報収集から始めてみてはいかがでしょうか。





