整骨院で1日10人は少ない?多い?経営状態の判断基準と売上アップの方法

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整骨院を経営していると、「1日10人という来院数は多いのか少ないのか」という疑問を感じることがあるのではないでしょうか。実は、この答えは一概には言えません。

保険診療中心なのか、自費メニューを取り入れているのか、1人経営なのかスタッフを雇っているのかによって、同じ「1日10人」でも経営状態はまったく異なります。

この記事では、1日10人という来院数を基準に、保険診療・自費診療それぞれの売上シミュレーションを解説し、経営が成り立つかどうかの判断基準をわかりやすく紹介します。

また、来院数を増やすための集客戦略と、来院数が変わらなくても収入を安定させるための客単価アップ策もあわせて解説します。整骨院の経営改善や開業準備に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。

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「1日の来員数が10人」は多いか少ないか

電卓とバインダーとペンで売上を計算する様子

整骨院における「1日10人」という来院数は、経営の安定性という観点から見ると、必ずしも余裕がある数字とは言い切れません。

保険診療を中心とした整骨院では、1人当たりの施術単価が低いため、月間売上が固定費を下回るリスクがあります。

一方、自費メニューを組み合わせた整骨院であれば、同じ1日10人でも経営を安定させることが可能です。

まず、経営状態を判断するための目安となる数字を確認しておきましょう。

1日10人の経営判断 基準数値(保険診療中心・月22営業日)

220
月間来院数(目安)
約26万円
保険診療のみの月収目安
16〜20万円
月間固定費の最低目安

保険診療中心の場合の売上シミュレーション

保険診療のみで運営している整骨院では、1人当たりの施術料が施術部位数や初診・再診によって異なりますが、1回あたりの療養費の目安として1,000〜1,500円程度を想定するケースが多いです(施術部位数・加算内容により変動します)。

以下は、月22営業日・1日10人来院の場合を想定した計算例です。

項目 金額
1回あたり施術単価(目安) 約1,200円
月間来院数(10人×22日) 220人
月間売上(目安) 約264,000円
月間固定費の目安(家賃・光熱費・機器リース等) 160,000〜200,000円
手残り(固定費200,000円の場合) 約64,000円

手残りが月6万円程度では、生活費や社会保険料を払うと実質的な収入はほぼゼロになります。

保険診療のみでは、1人経営であっても1日10人の来院数は経営が非常に厳しい水準といえます。

自費メニューを導入した場合の売上シミュレーション

自費メニューを導入すると、患者さん1人当たりの単価が大幅に上がります。

施術10人のうち3人が自費メニューを選択し、自費単価を5,000円に設定した場合のシミュレーションは以下のとおりです。

内訳 計算 1日の売上
保険診療(7人×1,200円) 7 × 1,200円 8,400円
自費施術(3人×5,000円) 3 × 5,000円 15,000円
合計 23,400円/日
月間売上(×22日) 23,400円 × 22日 514,800円

同じ「1日10人」でも、自費比率が30%になるだけで月間売上が約26万円から約51万円へと約2倍に増加します。

固定費200,000円を差し引いても手残りは約31万円となり、1人経営でも生活できる水準に届きます。

スタッフを雇った場合と1人経営の損益分岐点の違い

スタッフを1名雇用すると、人件費(月20〜30万円)が加わるため、損益分岐点が大きく上がります。

月間固定費が450,000円に増えた場合、どれだけの来院数が必要になるかを確認しましょう。

収入モデル別 月間売上シミュレーション(1日10人・月22日)

020万40万60万80万円
保険診療のみ
約26万円
自費3割混在
約51万円
自費5割混在
約68万円

※保険単価1,200円、自費単価5,000円として試算。目安として参考にしてください。

上のグラフが示すとおり、保険診療中心では自費メニューを導入した場合と月間売上に大きな差がつきます。

スタッフを雇う場合は、保険診療のみだと1日17〜20人以上の来院が損益分岐点の最低ラインです。

スタッフ採用を考える前に、まず自費メニューの導入や客単価アップを実現しておくことが、経営安定への近道です。

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1日10人の来院数の経営が厳しくなる理由

右肩下がりの棒グラフで経営悪化を示すイメージ

1日10人の来院数で経営が苦しくなる背景には、整骨院の構造的な問題が3つあります。

それぞれの理由を正しく把握することで、自院の課題を見極め、効果的な改善策を選べるようになります。

保険診療の単価が低く固定費を賄えない

整骨院の保険診療(療養費)は、施術ごとに受け取れる金額が療養費の算定基準によって定められており、単価を自由に設定できません。

一方、開業には賃料・機器費・光熱費などの固定費が必ず発生します。

整骨院の主な月間固定費
  • 家賃・賃料(月8〜15万円) :テナント物件で発生する固定費
  • 機器リース・消耗品(月3〜5万円) :ベッドや電気機器のリース費用
  • 光熱費(月2〜3万円) :エアコン・温熱機器などの使用費
  • 広告費(月2〜5万円) :チラシ・Web広告・MEO対策など
  • 保険料・通信費(月1〜2万円) :社会保険・電話・Wi-Fiなど
合計すると、月16〜30万円以上の固定費がかかります。

保険診療中心の1日10人では、固定費を差し引くと手残りがほぼない、または赤字になるケースも珍しくありません

自院の収支を月単位で把握し、どこまで来院数が落ちたら赤字になるかを常に意識しておくことが大切です。

リピート率が低いと新規集客コストがかさむ

整骨院の経営では、新規患者さんを常に獲得し続けるよりも、既存患者さんにリピートしてもらうほうがコストを大幅に抑えられます。

新規集客にはチラシ・Web広告・MEO対策などの費用と時間がかかりますが、リピーターは追加コストなしに来院してもらえるからです。

リピート率が低い整骨院では、毎月多くの新規患者さんを獲得し続けなければ来院数を維持できず、集客コストが積み重なります。来院患者さんの7〜8割がリピーターとなる状態を目指すことで、安定した経営に近づけます。

競合が多いエリアでは自然集客に限界がある

整骨院(柔道整復施術所)は全国に数万件以上存在し、特に都市部では徒歩圏内に複数の整骨院が競合するエリアも珍しくありません。

こうした環境では、看板を掲げているだけ・チラシを配るだけの受け身の集客では来院数を伸ばすのが難しくなっています。

整・接骨院の求人データ
  • 医療キャリアナビの整・接骨院求人数:2,075件(2026年4月時点)
  • 整・接骨院の正社員平均月収:約301,340円
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競合が集中するエリアで1日10人を安定して達成・維持するには、地域内での差別化が欠かせません。

スポーツ障害・産後ケア・交通事故施術といった専門性を打ち出し、WebやSNSで来院する理由を明確に伝える取り組みを継続することが重要です。

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1日10人から来院数を増やす方法(集客戦略)

虫眼鏡で患者さんを探す集客のイメージ

来院数を増やすには、自院の強みを活かしながら複数の集客チャネルを組み合わせることが重要です。

単発の広告に頼るのではなく、継続的に患者さんとの接点を作る仕組みを整えましょう。整骨院で特に効果が出やすい4つの集客戦略を紹介します。

来院数を増やす4つの集客戦略

1
MEO対策

Googleマップで上位表示。クチコミを増やして地域検索に強くなる

2
口コミ・紹介制度

既存患者さんからの紹介を促す制度を設けて口コミを広げる

3
SNS発信

InstagramやYouTubeで院の雰囲気と専門性を継続的に発信する

4
リピート施策

問診・施術後フォローの仕組みで再来院を促し離脱を防ぐ

MEO対策(マップエンジン最適化)で地域検索に強くなる

「整骨院 ○○市」「接骨院 近く」のように地域名を含む検索でGoogleマップに表示されるかどうかが、来院数を大きく左右します。

MEO対策は、広告費をほとんどかけずに地域の潜在患者さんへリーチできる、最もコストパフォーマンスの高い集客手段のひとつです。

  • Googleビジネスプロフィールを最新情報に更新する(営業時間・住所・電話番号)
  • 院内の写真(外観・施術室・スタッフ)を10枚以上アップロードする
  • 来院した患者さんにGoogleクチコミの投稿を丁寧にお願いする
  • クチコミへの返信を毎回おこなう(誠実な対応が信頼性向上につながる)
  • 得意な症状(腰痛・肩こり・スポーツ障害等)をプロフィールの説明欄に明記する

Googleクチコミの件数と評価は、Googleマップの表示順位に直接影響します

まずクチコミ10件以上を目標に、患者さんへの声かけを日常業務に組み込みましょう。

チラ配布・地域密着の紹介制度で来院数を増やす

開業エリアの住民に直接アプローチするチラシ配布と、既存患者さんからの口コミ紹介は、地域密着型の整骨院に向いた集客方法です。紹介制度を設けることで、患者さん自身が院の「宣伝役」になってくれます。

紹介制度の設計例としては「ご紹介で次回施術1回分割引」「紹介者・被紹介者の双方に施術回数のプレゼント」などがあります。

費用対効果を考えながら、自院に合った形で設計しましょう。チラシは新規開業時・季節の変わり目・地域イベントの前後に配布すると効果的です。

広告の打ち出し方のポイント


  • 「どんな症状に対応しているか」を具体的に記載する(腰痛・肩こり・産後ケアなど)
  • 院の強みや差別化ポイントをわかりやすく伝える(駐車場有・土日対応・完全予約制など)
  • 「初回割引」など来院のハードルを下げる特典を入れる
  • QRコードでWeb予約やLINE登録に誘導し、リピートにつなげる

SNS発信で院の雰囲気と専門性を発信する

InstagramやYouTubeなどのSNSは、整骨院の雰囲気や施術の専門性を視覚的に伝えられるメディアです。

特にInstagramのリール動画やYouTubeのショート動画は、フォロワーがいない段階でも拡散されやすく、新規患者さんへのリーチ手段として有効です。

発信する内容は「自宅でできるセルフストレッチ動画」「よくある症状の解説(腰痛・四十肩など)」「院の雰囲気や施術の流れ」などが人気です。

毎日投稿する必要はありませんが、週2〜3回の定期的な発信を3か月以上継続することで効果が出やすくなります。フォロワー数より投稿のクオリティと継続性を重視しましょう。

リピート率を高める問診・施術後フォローの仕組みを作る

集客と同じくらい重要なのが、来院した患者さんに「またここに来たい」と思ってもらう仕組みづくりです。

特に初診から3回目までの対応がリピート率に大きく影響するため、この時期の接客と説明を丁寧におこなうことが重要です。

施術後のフォローにはLINE公式アカウントが効果的です。

「今日の施術後のケア方法」「次回予約のリマインド」「症状回復の確認メッセージ」などを送ることで、患者さんとの関係性を維持できます。

LINE登録の特典(例:登録で次回100円引き)を設けると、登録率を高めやすくなります。

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来院1日10人でも客単価を上げる方法

整骨院の施術室で男性施術者が施術をおこなう様子

来院数を増やすことが理想ですが、すぐに変えられないのが現実です。

1日10人という来院数を維持しながら収入を安定・増加させには、客単価を上げることが現実的です。整骨院で活用できる4つの客単価アップ手法を解説します。

1日10人でも収入を増やす3つのアプローチ

1

自費メニュー導入

単価5,000〜8,000円の自費施術を組み合わせることで、同じ来院数でも月収を2倍近くに増やせます。

例:筋膜リリース・骨盤矯正
2

回数券・月額制の導入

前払い式の回数券や月額制を設けることで、売上の波を小さくしながら安定した収入基盤を作れます。

例:10回券・月額3,000円制
3

交通事故施術の取り扱い

自賠責保険対応で患者さんの負担ゼロ。治療期間が長く、安定した収入源になりやすいのが特徴です。

例:むち打ち・打撲・骨折後の回復

自費メニューの導入で単価を5,000〜8,000円に設定する

自費メニューは保険診療の単価制限を受けないため、施術内容と価値に見合った価格を設定できます。

近年、整骨院で人気を集めている自費メニューには次のようなものがあります。

整骨院で人気の自費メニュー例


  • 筋膜リリース:5,000〜8,000円
  • 姿勢矯正・骨盤矯正:4,000〜6,000円
  • EMSトレーニング:3,000〜5,000円
  • 産後ケア・骨盤ベルト施術:4,000〜7,000円
  • スポーツコンディショニング:4,000〜6,000円

自費メニューは導入するだけでなく、患者さんへの説明と価値の伝え方が成否を分けます

「なぜこの施術が必要か」「どんな効果が期待できるか」を丁寧に伝えることで患者さんの納得感が高まり、継続利用につながります。

まずは1〜2種類の自費メニューから始め、患者さんの反応を見ながら広げていくのがおすすめです。

回数券・月額制で安定収入を作る

保険診療は症状が改善されると来院が減りますが、回数券や月額制を導入すると一定期間の来院を事前に確保できます。これにより、売上の波を小さくする効果があります。

回数券制 vs 月額制:どちらを選ぶ?

1

回数券制

まとめて前払いすることで1回ごとの単価をやや抑えられる代わりに、患者さんに来院の動機づけができます。症状改善を目的とした患者さんに向いています。

例:10回×4,000円(通常4,500円→500円引)
2

月額サブスク制

月定額で来院回数を決める形式。整骨院側は毎月の収入を安定させられ、患者さんは「メンテナンス感覚」で継続しやすくなります。

例:月4回コース 14,000円/月

回数券は「治療の継続」を目的とした患者さんに向いており、月額制は「体のメンテナンス」を目的とした患者さんに向いています

患者さんのニーズに合わせて両方を用意しておくと、単価向上と来院の安定化を同時に実現できます。

物販で収入源を増やす

施術に関連するグッズを院内で販売することで、施術収入に加えた追加収益を得られます。

在庫管理の手間はありますが、患者さんの症状改善や自己ケアを促す効果も期待できます。

  • テーピング・サポーター(患部の保護・補助用)
  • 温熱グッズ(カイロ・遠赤外線グッズ・温感シップ)
  • 栄養サプリ・プロテイン(リカバリーサポート)
  • 施術院オリジナルのセルフケアガイドブック

物販は利益率も高く、1点3,000〜5,000円の商品を月に10〜20点販売するだけで月3〜10万円の追加収益が見込めます。

患者さんから「先生のおすすめなら」と信頼してもらえる関係性があれば、自然と物販に誘導できます。

交通事故施術を取り扱う

交通事故の施術では、自賠責保険が適用されることで、被害者(患者さん)の窓口負担が原則0円になるケースが一般的です。

整骨院は、患者さんへ施術を行った後、自賠責保険会社へ施術費を請求します。

交通事故施術は、通常の保険診療と比べて施術単価が高くなる傾向があり、さらに通院期間も数か月に及ぶケースが多いため、整骨院にとって継続的な売上につながりやすい特徴があります。

交通事故施術を導入する際の注意点


  • 施術開始前に保険会社へ連絡し、同意を確認する
  • 医師の診断書や医療機関との連携を適切に行う
  • 施術記録を正確に保管する(施術内容・部位・回数・日時)
  • 長期の施術継続には保険会社との定期的なやり取りが必要

「交通事故治療対応」のWeb対策や看板設置を強化することで、交通事故患者さんからの問い合わせが増えやすくなります。

来院が途切れにくい安定収入源として、積極的に取り組む価値があります。

まとめ

整骨院における「1日10人」という来院数は、保険診療中心では経営が成り立ちにくい水準です。

一方、自費メニューの導入や客単価アップの取り組みによって、同じ来院数でも収入を大幅に改善できます。

この記事のポイントをまとめると、以下のとおりです。

  • 保険診療中心では1日10人の月収が約26万円にとどまり、固定費を差し引くと手残りが少ない
  • 自費比率を3割にするだけで月収が約51万円まで増加する可能性がある
  • 集客戦略(MEO・SNS・紹介制度・リピート施策)を組み合わせて来院数を増やすことが重要
  • 来院数が変わらなくても、回数券・月額制・物販・交通事故施術で客単価アップが可能
  • スタッフ採用の前に自費メニュー導入と客単価アップを先に実現しておくことが経営安定の近道

整骨院の経営改善は、「来院数を増やす」と「客単価を上げる」の両軸で取り組むことが基本です。まず自院の収支を正確に把握し、どちらの改善が急務かを判断したうえで優先順位をつけて施策を実行していきましょう。

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この記事を書いた人
医療キャリアナビ編集部

医療キャリアナビ編集部

記事の執筆・編集は、医療業界に精通した編集スタッフが担当しています。日々の転職支援業務で得た現場のリアルな情報と、厚生労働省をはじめとする公的機関のデータに基づき、信頼性の高いコンテンツをお届けしています。

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