摂食嚥下障害看護認定看護師になるには?資格取得の流れ・費用・教育機関・年収を徹底解説
「摂食嚥下障害看護認定看護師になりたいけれど、何から始めればいいかわからない」と悩んでいませんか。
高齢化の進行に伴い、誤嚥性肺炎や栄養障害のリスクを抱える患者さんは増え続けています。摂食嚥下障害看護認定看護師は、そうした患者さんの「食べる」を支える専門職として、医療現場での需要が高まっている資格です。
この記事では、摂食嚥下障害看護認定看護師の役割や資格取得の要件、教育機関の一覧、費用、年収・手当の実態まで解説します。資格取得を検討している方は、ぜひ最後までお読みください。
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摂食嚥下障害看護認定看護師とは?

摂食嚥下障害看護認定看護師とは、日本看護協会が認定する資格制度のひとつで、食べること・飲み込むことに障害を抱える患者さんへの看護を専門的に行う認定看護師です。
ここでは、資格の概要と登録者数の現状を確認しましょう。
日本看護協会が認定する認定看護師制度に基づく19分野のひとつ
摂食嚥下障害看護認定看護師は、日本看護協会の認定看護師制度に基づく19分野のひとつです。
認定看護師には「実践」「指導」「相談」の3つの役割が求められます。
この3つの役割を通じて、患者さんの誤嚥リスクの低減や経口摂取の維持・改善に貢献します。
摂食嚥下障害看護認定看護師の登録者数と推移
日本看護協会の公表データによると、摂食嚥下障害看護分野の認定看護師はA課程(旧課程)とB課程(新課程)を合わせて全国に約1,200名以上が登録されています。
B課程のみの登録者数は2024年12月時点で272名です。
摂食嚥下障害看護は、高齢化の進行とともにニーズが拡大している分野です。急性期から在宅まで幅広い領域で活躍の場があるため、今後も登録者数の増加が見込まれています。
摂食嚥下障害看護認定看護師になるには?

摂食嚥下障害看護認定看護師になるには、複数の要件を満たす必要があります。
ここでは、日本看護協会が定める受験資格と、教育機関ごとの出願要件について整理します。
日本看護協会が定める受験資格を満たす
認定看護師の認定審査を受けるためには、以下の要件を満たしたうえでB課程の教育機関を修了する必要があります。
- 日本国の看護師免許を有すること
- 看護師免許取得後、通算5年以上の実務研修(うち3年以上は摂食嚥下障害を有する患者の看護実績)があること
- 日本看護協会が認定したB課程教育機関の教育課程を修了していること
なお、「実務研修」は複数の施設での経験を通算してカウントすることが可能です。
転職経験がある場合でも、合計で5年以上の実務があれば要件を満たします。
B課程をの教育課程を受講する
認定看護師の教育制度は2020年度からB課程(新課程)に移行しました。
B課程は従来のA課程に加え、特定行為研修が組み込まれている点が大きな特徴です。
A課程の教育機関はすでに閉講しており、新たに認定看護師を目指す場合はB課程を受講する必要があります。
ただし、A課程で取得した認定看護師資格は引き続き有効で、5年ごとの更新審査を経て資格を維持できます。
A課程で取得した認定看護師は「経過措置」の対象となり、従来どおり更新が可能です。ただし、特定行為を実施するにはB課程の教育課程を改めて修了する必要があります。
教育機関ごとの出願要件を満たす
日本看護協会が定める共通要件のほかに、各教育機関が独自の出願要件を設けているケースがあります。代表的な追加要件は以下のとおりです。
- 摂食嚥下障害のある患者さんの看護を5例以上経験していること
- 現在、摂食嚥下障害患者さんの看護に従事していること(望ましい要件)
- 所属施設の推薦状または勤務証明書の提出
出願要件は教育機関によって異なるため、志望先の募集要項を必ず確認してください。出願前から計画的に症例実績を積んでおくことが重要です。
現在も摂食嚥下障害患者さんの看護に携わっていることが望ましい
多くの教育機関では、出願時点で摂食嚥下障害のある患者さんのケアに携わっていることを求めています。これは、教育課程での学びを実践に直結させるためです。
異動や転職で該当領域から離れている場合は、出願前に配置転換を申し出るなどの準備が必要になる場合があります。時間に余裕をもって計画を立てましょう。
今のあなたの状況は?
摂食嚥下障害看護認定看護師の役割と仕事内容

摂食嚥下障害看護認定看護師は、患者さんが安全に食事を摂れるよう、多角的な視点からケアを提供します。
ここでは、具体的な仕事内容を「実践」「指導」「相談」の3つの役割と、B課程修了者が行える特定行為に分けて解説します。
嚥下機能評価と食事形態の調整(実践)
摂食嚥下障害看護認定看護師の中心的な役割が、患者さんの嚥下機能を正確に評価し、適切な食事形態を提案することです。嚥下スクリーニングテストや頸部聴診法を用いて嚥下機能を客観的にアセスメントします。
評価結果に基づき、食事の形態(きざみ食・ペースト食・ゼリー食など)や水分のとろみの濃度を調整します。口腔ケアの計画立案・実施も重要な業務のひとつで、誤嚥性肺炎の予防に大きく貢献しています。
また、患者さんの食事姿勢の調整や食事環境の整備など、安全に食べられる条件づくりも行います。看護計画は個々の患者さんの状態に合わせてきめ細かく策定されるため、高度な専門知識が求められる業務です。
他の看護師への指導・院内ラウンド(指導)
「指導」の役割では、病棟看護師やケアスタッフに対して摂食嚥下ケアの知識・技術を伝達し、ケアの質を組織全体で底上げします。
具体的には、院内の嚥下ラウンドを定期的に実施し、各病棟で食事介助に関する課題を把握・改善するのが代表的な業務です。勉強会やケースカンファレンスを開催し、嚥下障害のメカニズムや最新のケア方法を共有する場面も多くあります。
新人看護師への教育においても、摂食嚥下ケアの基礎的な技術を実技指導する機会があり、組織の教育体制の一端を担っています。
多職種・他部署からのコンサルテーション対応(相談)
「相談」の役割は、医師・歯科医師・言語聴覚士・管理栄養士・理学療法士など多職種からの相談に応じることです。摂食嚥下障害は単一の職種だけでは対応が難しく、チーム医療の中核として調整役を果たす場面が多い分野です。
たとえば、嚥下造影検査(VF)や嚥下内視鏡検査(VE)の結果をもとに、医師とともに経口摂取の可否を判断するケースがあります。管理栄養士と連携して栄養状態の改善に向けた計画を立てたり、退院後のケア体制について訪問看護師と情報共有したりすることもあります。
B課程修了者ができる特定行為の例
B課程を修了した認定看護師は、医師の手順書に基づいて一部の医療行為を実施できます。
摂食嚥下障害看護分野で想定される特定行為には、以下のようなものがあります。
- 栄養に係るカテーテル管理(胃ろうカテーテルの交換等)
- 栄養及び水分管理に係る薬剤投与の調整
- 脱水症状に対する輸液による補正
特定行為研修を修了することで、タイムリーな医療行為が可能となり、患者さんの状態悪化の予防につながります。
医師がすぐに対応できない場面でも、認定看護師が手順書に沿って判断・実施できるため、チーム全体の対応力が向上します。
摂食嚥下障害看護認定看護師の資格取得までの流れ

摂食嚥下障害看護認定看護師になるまでには、出願から資格取得まで大きく4つのステップがあります。
全体の流れを把握し、計画的に準備を進めましょう。
①教育機関への出願・入学試験
まず、B課程の教育機関に出願し、入学試験を受けます。出願時期は教育機関によって異なりますが、おおむね前年の8〜10月頃に出願受付、10〜12月頃に入学試験が行われます。
入学試験の内容は、筆記試験(専門科目・小論文)と面接が中心です。試験準備として、摂食嚥下障害看護に関する基礎知識を整理し、志望動機を明確にしておくとよいでしょう。
②教育課程の修了
入学後は、約1年間(800時間程度)の教育課程を受講します。
カリキュラムは共通科目・専門科目・特定行為研修区分別科目・演習・実習で構成されています。
教育機関によってはeラーニングと登校日を組み合わせたカリキュラムを採用しており、遠方からの受講に対応している場合もあります。ただし、演習や実習は対面で行われるため、一定期間の通学・滞在が必要です。
③認定審査(筆記試験)
教育課程を修了すると、日本看護協会が実施する認定審査を受験できます。
④登録・認定証交付
認定審査に合格すると、日本看護協会に登録され、認定看護師として認定証が交付されます。
認定の有効期間は5年間で、更新審査を受けて資格を維持します。
合格通知から登録までの手続きには数週間かかるため、所属先への報告や業務調整も含めて準備を進めておきましょう。
摂食嚥下障害看護認定看護師の教育機関一覧

2026年5月時点で、摂食嚥下障害看護のB課程教育機関は全国に3校あります。
それぞれの特徴を確認し、自分に合った教育機関を選びましょう。
| 教育機関 | 所在地 | 定員 | 教育期間 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 茨城県立医療大学 地域貢献研究センター |
茨城県稲敷郡阿見町 | 20名 | 4月〜翌3月(12か月) | 大学附属の研究施設を活用可能 |
| 群馬パース大学 看護実践教育センター |
群馬県高崎市 | 25名 | 4月〜翌3月(12か月) | eラーニング対応。2027年度は休講予定 |
| 愛知県看護協会 認定看護師教育課程 |
愛知県名古屋市北区 | 25名 | 5月~翌3月(11か月) | 中部地方唯一の教育機関。令和8年度受講者募集中 |
茨城県立医療大学地域貢献研究センター認定看護師教育課程
茨城県稲敷郡阿見町に所在する教育機関です。
定員は20名で、教育期間は4月から翌年3月までの12か月間です。
大学附属の教育機関のため、研究施設や図書館などの学術リソースを活用した学びが可能です。臨地実習では、近隣の急性期病院や回復期リハビリテーション病院を含む多様な施設での実習が組まれています。
参考:茨城県立医療大学地域貢献研究センター 認定看護師教育課程
群馬パース大学看護実践教育センター認定看護師教育課程
群馬県高崎市に所在する教育機関です。
定員は25名で、受講料は約120万円です。
2019年に開講し、2020年に完成した専用フロアには講義室や演習室が整備されています。eラーニングと登校を組み合わせたカリキュラムにより、遠方からの受講にも対応しています。
なお、2027年度は休講予定のため、2028年度以降の受講については公式サイトをご確認ください。
参考:群馬パース大学看護実践教育センター 認定看護師教育課程
愛知県看護協会認定看護師教育課程
名古屋市北区に所在する教育機関です。中部地方で唯一の摂食嚥下障害看護B課程教育機関として、東海エリアの看護師が多く受講しています。
定員は25名で、教育期間は5月から翌年3月までの11か月間です。
令和8年度(2026年度)の受講者募集が告知されており、最新の募集要項は愛知県看護協会の公式サイトで確認できます。
教育機関を選ぶときの確認ポイント
教育機関を選ぶ際は、以下の点を事前に確認しておくとよいでしょう。
- 開講時期とスケジュール(通年型か集中型か)
- 定員数と倍率の傾向
- eラーニング対応の有無(遠方からの受講が可能か)
- 自宅や職場からの通学距離・宿泊の必要性
- 授業料以外の費用(教材費・実習費・交通費など)
B課程の教育カリキュラム内容

B課程の教育カリキュラムは、「共通科目」「専門科目」「特定行為研修区分別科目」「演習・実習」の4つで構成されています。
全体で約800時間の教育が行われ、幅広い知識と技術を体系的に学びます。
共通科目
共通科目は、認定看護師としての基盤となる知識を学ぶ科目群です。全19分野で共通のカリキュラムとなっており、臨床推論やフィジカルアセスメント、コンサルテーション論などが含まれます。
具体的には、医療安全学、臨床薬理学、チーム医療論、特定行為実践に必要な基礎知識などを履修します。これらの科目は、分野を問わず高度な看護実践を行うための土台となるものです。
専門科目
専門科目では、摂食嚥下障害看護に特化した知識を深めます。主な科目は以下のとおりです。
- 摂食嚥下障害病態論
- 摂食嚥下機能評価論
- 摂食嚥下障害看護技術論(口腔ケア・食事形態の選択・姿勢調整など)
- 摂食嚥下リハビリテーション論
- 栄養管理・口腔ケア実践論
解剖学や生理学をベースに、嚥下のメカニズムから障害のパターン、ケアの選択肢まで体系的に学びます。
特定行為研修区分別科目
B課程の最大の特徴が、特定行為研修が組み込まれている点です。
摂食嚥下障害看護分野では、以下の区分が含まれています。
-
栄養に係るカテーテル管理胃ろうカテーテルの交換判断や実施技術
-
栄養及び水分管理に係る薬剤投与の調整脱水・低栄養時の輸液管理
特定行為研修を修了することで、医師の手順書に基づく医療行為が実施可能となり、実践の幅が大きく広がります。
演習・実習
演習では、シミュレーターや模擬患者さんを用いた嚥下機能評価・口腔ケアの実技訓練を行います。実習では、急性期・回復期・在宅など複数の施設で実際の患者さんへのケアを実践します。
演習・実習は対面で実施されるため、eラーニング中心のカリキュラムであっても一定期間の登校が必要です。実習先は教育機関が指定するため、自宅から離れた施設での実習となる場合もあります。
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認定審査の試験内容と難易度

教育課程を修了したあとに受験する認定審査について、試験内容と準備のポイントを解説します。
試験形式
認定審査はマークシート方式・四肢択一で、出題数40問・試験時間100分・150点満点です。出題構成は以下のとおりです。
-
一般問題20問・50点(1問2.5点):基礎的な知識を問う問題
-
状況設定問題20問・100点(1問5点):臨床場面を想定した応用問題
状況設定問題のウエイトが大きいため、教育課程で学んだ内容を実際の臨床場面にどう適用するかを意識した学習が重要です。
出題範囲と対策の方向性
出題範囲は教育課程のカリキュラム全体から出題されます。以下の領域を中心に対策を進めるとよいでしょう。
- 摂食嚥下障害の病態生理・解剖学的基礎
- 嚥下機能評価の方法と結果の解釈
- 食事形態の選択・口腔ケア・姿勢調整に関する看護技術
- 特定行為に関する知識(栄養管理・カテーテル管理)
- コンサルテーション・チーム医療に関する理論
教育課程のテキストや講義資料を中心に復習し、状況設定問題に慣れるための演習を繰り返すことが効果的な対策です。
合格率の目安
認定看護師の認定審査の合格率は、日本看護協会から公式には発表されていません。
ただし、認定看護師全体の合格率はおおむね高い水準で推移しているとされています。
教育課程のカリキュラムをしっかり修了していれば十分に対応できる内容ですが、状況設定問題への対策は不可欠です。教育機関によっては模擬試験や試験対策講座を実施しているところもあるため、活用するとよいでしょう。
資格取得にかかる費用の目安

摂食嚥下障害看護認定看護師の資格取得には、教育課程の受講費用に加えて、生活費や転居費用なども考慮する必要があります。ここでは費用の全体像を整理します。
| 費用項目 | 目安金額 |
|---|---|
| 入学検定料 | 約5万円 |
| 入学金 | 約5〜10万円 |
| 授業料 | 約100〜120万円 |
| 教材費・実習費・保険料 | 約5〜10万円 |
| 転居費用(必要な場合) | 約20〜50万円 |
| 休職中の生活費(約1年分) | 約100〜150万円 |
| 合計(目安) | 約200〜300万円 |
教育課程の費用
教育機関の受講にかかる主な費用は、入学検定料・入学金・授業料です。授業料の目安は約100〜120万円程度で、これに入学検定料(約5万円)と入学金(約5〜10万円)が加わります。
教材費・実習費・保険料などが別途必要になる場合もあるため、各教育機関の募集要項で正確な金額を確認してください。
転居費用・休職中の生活費を含めた総額
教育課程は約1年間にわたるため、休職して通学するケースでは生活費の確保が必要です。
自宅から通えない場合は、転居費用や家賃も発生します。
授業料・生活費・転居費用を含めた総額は、おおむね200〜300万円程度が目安です。配偶者の収入や貯蓄の状況を踏まえ、事前にしっかりと資金計画を立てておきましょう。
日本看護協会の認定看護師教育課程奨学金・勤務先の支援制度
費用負担を軽減する手段として、以下の制度が活用できます。
- 日本看護協会「認定看護師教育課程奨学金」:無利子で貸与を受けられる奨学金制度
- 勤務先の資格取得支援制度:受講費用の一部または全額を施設が負担する制度
- 都道府県の看護職員修学資金貸与制度:自治体が実施する看護師向けの貸付制度
勤務先の支援制度は施設によって内容が大きく異なります。受講費用の負担だけでなく、休職中の給与保障や復帰後のポジション保障まで含めて、事前に上司や人事部門と相談しておくことをおすすめします。
摂食嚥下障害看護認定看護師の年収・手当

認定看護師の資格取得が年収アップにつながるかどうかは、多くの看護師が気になるポイントです。
ここでは、日本看護協会の調査データを中心に、認定看護師の給与実態を確認します。
認定看護師全体の平均月給・年収
日本看護協会の「2022年度 専門看護師・認定看護師に対する評価・処遇に関する調査」によると、認定看護師全体の平均年収は約500〜550万円程度で、一般看護師の平均年収と比べてやや高い傾向があります。
ただし、認定看護師の年収は所属先の規模や地域、夜勤の有無によって大きく変動します。
また、認定看護師として専門チームや院内教育を担うことで、主任・管理職候補として評価されるケースもあります。
参考:日本看護協会「2022年度 専門看護師・認定看護師に対する評価・処遇に関する調査」
認定看護師手当の支給状況と平均額
日本看護協会の同調査では、認定看護師に対して手当を支給している施設は全体の約41.2%で、平均支給額は月額8,530円です。
一方で、約6割の施設では認定看護師専用の手当が設定されておらず、待遇には勤務先ごとの差があります。
また、支給額にも幅があり、数千円程度の施設もあれば、月2〜3万円の手当を設けている施設もあります。
参考:日本看護協会「2022年度 専門看護師・認定看護師に対する評価・処遇に関する調査」
病院規模・設置主体別の年収差
認定看護師の待遇は、病院の規模や設置主体によっても異なります。
大規模病院(500床以上)では認定看護師手当の支給率が高い傾向にあり、中小規模の施設と比較すると年収に差が生まれやすい傾向にあります。
国公立病院や大学病院では、手当制度が整備されているケースが比較的多く見られます。
一方、中小規模の病院やクリニックでは、手当制度がない代わりに役職手当や管理者手当で待遇を調整している場合もあります。
一般看護師との年収差
認定看護師の年収は、一般看護師と比較すると前述したとおり年収がやや高い傾向があります。
ただし、年収差の大部分は「認定看護師手当」や役職手当によるもので、資格取得のみで大幅に給与が上がるケースは多くありません。
その一方で、認定看護師としての活動が評価され、管理職への昇進や専門外来の担当として評価されやすいケースもあり、長期的にみると年収アップの機会は広がります。
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- 病院求人の平均月給は約29.6万円で、訪問看護は約32.2万円とやや高め
摂食嚥下障害看護認定看護師が活躍できる職場

摂食嚥下障害看護認定看護師は、急性期から在宅まで幅広い医療・介護の現場で活躍しています。それぞれの場での役割の違いを確認しましょう。
急性期病院(脳神経外科・耳鼻咽喉科・歯科口腔外科など)
急性期病院は、摂食嚥下障害看護認定看護師が最も多く活躍している場です。
脳卒中後の嚥下障害は代表的な対象疾患で、発症早期からの嚥下機能評価と適切な介入が、誤嚥性肺炎の予防や経口摂取の早期再開に直結します。
頭頸部がんの手術後や気管切開後の嚥下訓練など、高度な専門性が求められる場面も多く、認定看護師の知識と技術が発揮される領域です。
回復期リハビリテーション病院
回復期リハビリテーション病院では、経口摂取の段階的なステップアップを支援する役割を担います。言語聴覚士や管理栄養士と密に連携し、食事形態の調整や嚥下訓練プログラムの立案を行います。
患者さんのADL回復とともに食事形態を段階的に上げていくためには、安全性の判断に認定看護師の専門的な評価が欠かせません。
療養型病院・介護老人保健施設
療養型病院や介護老人保健施設では、長期にわたり経口摂取を維持するためのケアが中心です。
加齢に伴う嚥下機能の低下は緩やかに進行するため、定期的な嚥下機能評価と食事形態の見直しが重要になります。
介護スタッフへの食事介助の指導や口腔ケアの教育も、認定看護師が果たす大きな役割のひとつです。
訪問看護ステーション・在宅領域
在宅領域では、患者さんの自宅での食事環境を整えるケアを提供します。病院と異なり、限られた環境のなかで安全に食事ができるよう工夫する力が求められます。
家族への食事介助の指導や、かかりつけ医・歯科医との連携、ケアマネジャーとのサービス調整なども重要な業務です。
在宅での嚥下ケアの需要は高まっており、訪問看護の分野での活躍が今後さらに期待されています。
取得を検討する前に確認したい5つのこと

認定看護師の資格取得には、時間・費用・労力がかかります。
取得を決める前に、以下の5つの視点からセルフチェックを行いましょう。
- 摂食嚥下に関わる病棟・部署で現在働いている(または異動を計画している)
- 看護師免許取得後、通算5年以上の実務経験がある(または見込める)
- 約1年間の休職・長期出張について職場の理解が得られる見通しがある
- 勤務先の資格取得支援制度(費用補助・給与保障等)を確認済み
- 取得後に活躍できる場(嚥下ケアチーム・NST等)が職場・地域にある
摂食嚥下に関わる病棟・部署で働いているか
摂食嚥下障害看護認定看護師を目指すには、実務経験の要件として該当分野での3年以上の経験が必要です。現在の配属先が摂食嚥下ケアに関わる部署であれば、要件を満たしやすくなります。
脳神経外科、耳鼻咽喉科、回復期リハビリテーション病棟、高齢者施設などが該当しやすい部署です。
看護師免許取得後に通算5年以上の実務経験を見込めるか
看護師免許取得後の通算実務経験が5年以上必要です。現時点で5年に満たない場合は、要件を満たすタイミングを逆算して教育機関の受験スケジュールを組みましょう。
約1年間の休職または長期出張を許容できる環境か
教育課程は約1年間にわたります。この間の勤務体制について、職場の理解と協力が得られるかどうかは事前に確認しておく必要があります。
休職制度が利用できるか、給与の保障があるかなども重要な判断材料です。家庭の状況も含めて総合的に検討しましょう。
勤務先に資格取得支援制度があるか
受講費用の補助や休職中の給与保障など、施設によって支援内容は異なります。支援制度の有無は費用負担に大きく影響するため、人事部門に早めに確認することをおすすめします。
取得後の活躍場所が職場・地域にあるか
資格を取得しても、活動できる場が限られていては十分に力を発揮できません。勤務先に嚥下ケアチームや栄養サポートチーム(NST)があるか、地域の連携体制が整っているかを確認しましょう。
認定看護師としての役割が明確な環境であれば、資格取得後のキャリアもスムーズに展開できます。
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資格取得後の注意すべきポイント

摂食嚥下障害看護認定看護師の資格を取得した後も、継続的な学びと手続きが必要です。ここでは、取得後に知っておくべきポイントを解説します。
5年ごとに更新が必要
認定看護師の資格は5年間の有効期限があり、更新審査を受ける必要があります。更新の要件は以下のとおりです。
- 看護実践時間が通算2,000時間以上であること
- 自己研鑽の実績として50ポイント以上を取得していること(研修参加・学会発表・論文執筆など)
更新審査に必要なポイントは、学会参加・研修受講・論文発表・看護研究の実施などで取得できます。日常の業務をこなしながらポイントを計画的に蓄積していくことが大切です。
更新期限を過ぎると認定看護師の資格は失効します。再取得には再認定審査を受ける必要があるため、更新時期を忘れないように管理しましょう。
取得後も学び続ける必要がある
摂食嚥下障害看護の分野は、新しい評価法やケア技術、ガイドラインの改訂など、知識のアップデートが欠かせない領域です。
日本摂食嚥下リハビリテーション学会や日本看護協会の研修会、日本摂食嚥下障害看護研究会への参加が推奨されています。こうした学会活動は更新ポイントの取得にもつながるため、積極的に参加するとよいでしょう。
また、院内での勉強会開催や後進の育成に取り組むことで、自身の知識の定着と組織への貢献を両立できます。
摂食嚥下障害看護認定看護師と似た資格との違い

摂食嚥下障害に関連する資格は複数あります。それぞれの違いを理解し、自分のキャリアプランに合った資格を選びましょう。
| 比較項目 | 摂食嚥下障害看護 認定看護師 |
日本摂食嚥下リハ 学会認定士 |
NST専門療法士 | 専門看護師(CNS) |
|---|---|---|---|---|
| 認定団体 | 日本看護協会 | 日本摂食嚥下 リハビリテーション学会 |
日本臨床栄養 代謝学会 |
日本看護協会 |
| 対象職種 | 看護師のみ | 多職種(看護師・医師・ST・管理栄養士等) | 多職種(看護師・薬剤師・管理栄養士等) | 看護師のみ |
| 教育要件 | B課程教育機関 (約1年・800時間) |
学会主催の研修修了 +学会発表実績 |
NST実務研修 +認定試験 |
大学院修士課程 (2年以上) |
| 専門領域 | 摂食嚥下障害看護 | 摂食嚥下リハビリ全般 | 栄養管理全般 | 各専門分野 (13分野) |
| 更新 | 5年ごと | 5年ごと | 5年ごと | 5年ごと |
| 特定行為 | B課程は可能 | なし | なし | なし |
日本摂食嚥下リハビリテーション学会認定士との違い
日本摂食嚥下リハビリテーション学会認定士は、看護師に限らず医師・歯科医師・言語聴覚士・管理栄養士など多職種が取得できる学会認定資格です。
認定看護師が看護の実践・指導・相談に特化しているのに対し、学会認定士はリハビリテーションの知識を幅広くカバーする点が異なります。認定看護師との併有によって、より幅広い専門性をアピールできます。
NST専門療法士との違い
NST専門療法士は、日本臨床栄養代謝学会が認定する栄養サポートチーム(NST)の専門資格です。
NSTでの活動に特化した資格で、栄養管理全般に関する知識が問われます。
摂食嚥下障害看護認定看護師は嚥下ケアに焦点を当てているのに対し、NST専門療法士は栄養管理全体をカバーする点が大きな違いです。嚥下と栄養は密接に関連するため、両方の資格を持つと臨床での対応力が高まります。
専門看護師との違い
専門看護師(CNS)は、日本看護協会が認定するもうひとつの高度実践看護師資格です。
認定看護師との主な違いは以下のとおりです。
-
教育要件専門看護師は大学院修士課程の修了が必要で、認定看護師よりも取得に時間がかかります
-
役割専門看護師は「実践・相談・調整・倫理調整・教育・研究」の6つの役割を担う
-
対象分野専門看護師には摂食嚥下障害看護に対応する分野はなく、「老年看護」や「急性・重症患者看護」が関連分野となる
摂食嚥下障害看護に特化してキャリアを築きたい場合は、認定看護師のほうが目的に合致しています。
よくある質問
摂食嚥下障害看護認定看護師になるには何年かかりますか?
看護師免許取得後に通算5年以上の実務経験(うち3年以上は摂食嚥下障害の看護経験)を積み、B課程教育機関で約1年間の教育課程を修了した後に認定審査を受験します。最短で実務経験5年+教育課程1年の計6年程度が目安です。
摂食嚥下障害看護認定看護師の費用はどのくらいですか?
教育課程の授業料は約100〜120万円です。入学検定料・入学金・教材費を加えると、教育費だけで約120〜140万円が目安です。休職中の生活費や転居費用を含めると、総額で200〜300万円程度を見込んでおくとよいでしょう。奨学金制度や勤務先の支援制度を活用できる場合もあります。
A課程で取得した認定看護師資格はどうなりますか?
A課程で取得した認定看護師資格は引き続き有効です。5年ごとの更新審査を経て資格を維持できます。ただし、特定行為を実施するにはB課程の教育課程を改めて修了する必要があります。A課程の教育機関はすでに閉講しているため、新規取得はB課程のみとなります。
認定看護師手当はどのくらいもらえますか?
日本看護協会の2022年度調査によると、認定看護師に対して手当を支給している施設は全体の約41.2%で、平均支給額は月額8,530円です。施設によって手当の有無や金額は大きく異なるため、転職や異動の際は事前に確認することをおすすめします。
働きながら教育課程を受講できますか?
教育課程は約1年間・800時間程度の履修が必要です。eラーニングと登校を組み合わせたカリキュラムの教育機関もありますが、演習・実習は対面で行われるため、一定期間の休職や長期出張が必要になるのが一般的です。勤務先の支援制度や休職制度を確認し、事前に職場と相談しておきましょう。
まとめ
摂食嚥下障害看護認定看護師は、「食べる」を支える専門職として、高齢化が進む日本の医療現場でますます重要な存在です。
資格取得までの道のりを改めて整理すると、以下のポイントが重要です。
- 看護師免許取得後、通算5年以上(うち該当分野3年以上)の実務経験が必要
- B課程教育機関で約1年間・800時間程度の教育課程を修了する
- 認定審査はマークシート四肢択一40問・100分・150点満点
- 取得費用は授業料・生活費を含めて200〜300万円が目安
- 5年ごとの更新審査が必要(看護実践2,000時間+自己研鑽50ポイント)
資格取得には時間と費用がかかりますが、患者さんの「食べる喜び」を守る専門家として、やりがいのあるキャリアを築くことができます。
まずは教育機関の募集要項を確認し、資格取得に向けた一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。





