「夜間に急変があるたびにパニックになり、眠れない日が続いていました。思い切って慢性期病院に転職したところ、医師や先輩にすぐ相談できる環境があって精神的にとても楽になりました。給与も上がり、本当に転職してよかったと感じています」(30代・女性)
「特養は入居者さんとじっくり関われる一方、看護技術がどんどん落ちていく気がして焦りを感じていました。訪問看護に転職してからは医療処置の機会も増え、自分の成長を実感できるようになりました。もっと早く転職すればよかったと思っています」(20代・女性)
特養(特別養護老人ホーム)で働く看護師さんの中には、「辞めたいけれど、これは甘えなのだろうか」「ほかの看護師も同じように感じているのだろうか」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
特養は医療行為が比較的少なく、安定した職場というイメージがある一方、急変対応や夜間の一人対応へのプレッシャー、介護スタッフとの人間関係の難しさなど、独特の苦労があるのも事実です。
この記事では、特養の看護師が辞めたいと感じる主な理由を5つ整理し、おすすめの転職先や転職を成功させるためのポイントもあわせて解説します。
「特養を辞めたい」と感じている方も、転職を迷っている方も、ぜひ参考にしてください。
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特養で働く看護師さんが辞めたいと感じる背景には、施設特有の環境や業務内容が大きく関わっています。
以下では、よく挙げられる5つの理由を具体的に見ていきましょう。
特養は医師が常駐していない施設がほとんどです。
といった判断を、一人で下さなければならないプレッシャーは非常に大きいものです。
特養の夜間は看護師が単独で急変対応の初動判断をしなければならない場面が多く、精神的な負担が大きくなりやすい環境です。
病院勤務であれば当直医や先輩看護師にすぐ相談できますが、特養ではそうはいきません。
「何かあったときに一人で抱えなければならない」という重責が精神的な疲弊につながり、「もう辞めたい」と感じる大きな要因になっています。
また、急変への備えとして常に気を張っている状態が続くことで、オフの日でも気が休まらないと感じる看護師さんも少なくありません。
特養では医療行為が限定的であるため、点滴・注射・手術介助といった処置を行う機会はほとんどありません。
バイタルチェックや服薬管理、軽度の創傷処置が中心になるため、
「看護師としての技術が落ちていくのではないか」「このまま続けていたら転職の際に選択肢が狭まるのでは」
と不安を感じる方も少なくありません。
病院での急性期ケアと比べると、医療処置の幅が狭くなると感じるのは自然なことです。もちろん、特養ならではの「生活に寄り添う長期ケア」「終末期(看取り)支援」「多職種との連携」などは深く経験できます。
「もっと医療技術を磨きたい」「看護師として成長し続けたい」という思いが強い方にとっては、物足りなさが「辞めたい」という気持ちにつながることがあります。
特養は介護士さんが多数を占め、看護師は少人数です。
看護師の視点と介護士の視点では、利用者さんへのケアのアプローチが異なる場面があり、意見の食い違いや摩擦が生じやすい環境でもあります。
特に少人数の職場では人間関係の影響が大きく、一度こじれると修復が難しいという側面もあります。
特養看護師の給与面は、厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、病院勤務の看護師の平均年収が約520万円であるのに対し、特養を含む介護施設勤務の看護師は約462万円と、病棟勤務と特養勤務で約58万円の差があります。
この差の大部分は夜勤手当の有無によるものです。
特養では看護師の夜間常駐義務がなく、夜間はオンコール待機が基本となるため、夜勤手当が発生しにくい構造になっています。給与には反映されにくいこの負担感が「割に合わない」という感覚につながりやすいといえます。
また、介護職員等処遇改善加算の整備は進んでいますが、施設によって給与水準にはばらつきがあります。
「何年働いても昇給がほとんどない」「給与改善を求めにくい雰囲気がある」という声も聞かれ、待遇への不満が積み重なって転職を決意するケースも少なくありません。
特養は慢性的な人手不足の施設が多く、1人あたりの担当利用者数が多くなりがちです。
体調不良の職員が出ると休日出勤が発生したり、残業が続いたりすることもあります。「看護師が1〜2名しかいないため、休むと業務が回らない」という状況は、特養あるあるとして多くの看護師さんが経験しています。
休暇が取りにくい状況が長期間続くと心身ともに疲弊し、「この職場ではもう限界だ」と感じるのは当然のことです。さらに、有給を申請しにくい雰囲気があったり、消化できないまま失効してしまったりすることへの不満も積み重なっていくケースもあります。
今のあなたの状況は?

特養から転職を考える際、よく比較検討されるのが老健(介護老人保健施設)です。どちらも高齢者施設ですが、目的・医療体制・業務内容は大きく異なります。
ここでは主な違いをまとめ、自分に合う職場を選ぶための参考にしてください。
| 比較項目 | 特養(特別養護老人ホーム) | 老健(介護老人保健施設) |
|---|---|---|
| 施設の目的 | 生活の場(終の棲家) | 在宅復帰を目指すリハビリ |
| 医師の常駐 | 嘱託医(常駐なし) | 常勤医師がいる |
| 入所期間 | 基本的に長期(終身) | 原則3〜6ヶ月(在宅復帰が目標) |
| 医療処置の頻度 | 少なめ | 特養より多め |
| リハビリ体制 | 限定的 | 充実(PT・OT・STが在籍) |
| 看護師の主な役割 | バイタル管理・服薬・看取り支援 | 医療処置・多職種連携 |
| 夜間の看護体制 | 看護師1名が多い(オンコール対応) | 施設規模により異なる |
| 看護師に向いている人 | 生活支援・看取りケアに関わりたい人 | 医療スキルを保ちながら施設で働きたい人 |
特養と老健の違いを踏まえたうえで、どちらが自分に合うかを考えてみましょう。
どちらが「正解」ということはありません。自分がどのような看護を提供したいか、どんな環境で働きたいかで選ぶことが大切です。
老健に関しては下記の記事で詳しく紹介しています。

特養からの転職を考えている看護師さんに向けて、おすすめの転職先を4つ紹介します。
それぞれの特徴と向いている人の傾向を確認し、自分に合った職場選びに役立ててください。
老健は、要介護の方が在宅復帰を目指してリハビリを行う施設です。特養と同じく高齢者施設でありながら、医師が常勤しており、リハビリスタッフとの連携が密であることが大きな特徴です。
特養からの転職先として老健が選ばれやすい理由のひとつは、「施設看護師としての経験をそのまま活かしながら、より医療的なケアにも関わることができる」という点にあります。
医師がいることで夜間の急変時にも相談しやすい環境があり、精神的な負担が軽減されやすい傾向があります。
転職時には、看取り対応の頻度、夜勤の体制(人数・頻度)、医師との連携状況などを事前に確認しておくと安心です。
訪問看護ステーションへの転職は、特養看護師に人気の選択肢のひとつです。
利用者さんのご自宅を訪問してケアを提供するため、一対一でじっくりと関わる時間が持てます。
また、訪問看護では点滴管理・創傷処置・カテーテル管理など医療処置の機会も比較的多く、「スキルアップしたい」という看護師さんにも向いています。
訪問看護は一人で利用者さん宅を訪問するため、特養同様に「一人で判断しなければならない場面」があります。転職前に「オンコール対応の頻度」「困ったときの相談体制(24時間対応か)」「先輩との同行研修期間」を必ず確認しておきましょう。
移動手段(自動車・自転車)の確保が必要な場合もありますので、勤務エリアと条件をあわせて確認してください。
訪問看護師の仕事内容については下記の記事で詳しく紹介しています。
「もう少し医療技術を磨きたい」「急性期ほど慌ただしくない環境でスキルを保ちたい」という方には、慢性期病院(療養型病院)への転職がおすすめです。
急性期病院ほどの忙しさはなく、比較的落ち着いた環境でじっくりと看護業務に携われます。
特養からの転職の場合、点滴や採血などの医療処置の経験が少なかった方でも、慢性期病院であれば研修を受けながら慣れていけるケースが多いです。
「将来的には急性期を目指したいが、いきなりのハードルは高い」と感じる方にとっては、慢性期でステップを踏むという選択肢もおすすめです。
外来患者さんを中心に対応するクリニックは、夜勤なし・残業少なめという環境が多く、「プライベートの時間を大切にしたい」「夜間対応の精神的負担を減らしたい」と感じている特養看護師さんに向いています。
ただし、クリニックは診療科によって業務内容が大きく異なります。内科系クリニックは比較的穏やかなペースですが、整形外科や皮膚科などは繁忙期に忙しい時間帯もあります。
また、院長の方針が職場の雰囲気に直結するため、見学や口コミで事前に確認しておくことが大切です。
転職活動するなら?

転職を決意したら、次は行動に移すフェーズです。スムーズに転職を成功させるために、以下のステップを参考にしてください。
転職を進めるうえでまず大切なのは、「なぜ辞めたいのか」「次はどんな職場で働きたいのか」を明確にすることです。理由が曖昧なまま転職を進めると、次の職場でも同じ不満を抱えるリスクがあります。
転職の軸が固まると、求人を選ぶ際の判断基準が明確になり、応募先を絞りやすくなります。また、面接で転職理由を聞かれたときに、ポジティブな言葉で伝えやすくなるというメリットもあります。
施設看護師の転職では、求人票には載らない「職場の内部情報」が非常に重要です。
夜勤体制・人間関係・夜間のオンコール頻度・急変時の対応フローなどを知るためには、現場の実情を把握している転職エージェントの活用が有効です。
特養・老健など施設系の求人に強いエージェントを選ぶと、自分の希望条件に合った求人を紹介してもらいやすくなります。複数のサービスに登録して比較するのも効果的です。
施設看護師の転職面接では、以下のような質問がよく聞かれます。事前に回答を準備しておくことで、本番に焦らず答えられるようになります。
お探しの求人は?

「自分だけが辞めたいと感じているのではないか」と不安になっている方に向けて、実際に特養で働いていた看護師さんたちの声を紹介します。辞めてよかった方も、続けてよかった方も、どちらの声も参考にしてみてください。
辞めてよかった人の声
「夜間に急変があるたびにパニックになり、眠れない日が続いていました。思い切って慢性期病院に転職したところ、医師や先輩にすぐ相談できる環境があって精神的にとても楽になりました。給与も上がり、本当に転職してよかったと感じています」(30代・女性)
「特養は入居者さんとじっくり関われる一方、看護技術がどんどん落ちていく気がして焦りを感じていました。訪問看護に転職してからは医療処置の機会も増え、自分の成長を実感できるようになりました。もっと早く転職すればよかったと思っています」(20代・女性)
続けてよかった人の声
「一度は辞めようと真剣に考えましたが、担当していた入居者さんが旅立たれるとき、ご家族から『ずっとそばにいてくれてありがとう』と言ってもらえたことが忘れられなくて。看取りケアに深く関われる特養看護師という仕事に、今は誇りを持てるようになりました」(40代・女性)
「夜間対応への不安から辞めたいと思っていた時期がありましたが、施設長に正直に相談したところ、オンコールの連絡体制を整えてもらえました。環境が変わってから気持ちが軽くなり、今は続けてよかったと感じています。まずは職場に相談することも大切だと実感しました」(30代・男性)
辞めたいと感じているとき、一人で抱え込まずに「何がつらいのか」を具体的に書き出してみましょう。
環境を変えることで解決できる問題なのか、転職が必要な状況なのかが少しずつ整理されてきます。自分の気持ちを言語化することが、次の一歩を踏み出すための最初のステップになります。

この記事では、特養の看護師さんが辞めたいと感じる5つの理由と、おすすめの転職先・転職を成功させるためのポイントを解説しました。
「辞めたい」という気持ちは、決して甘えではありません。
自分のキャリアと生活を大切にするための大切なサインです。焦らず、しっかりと自分に合う職場を探していきましょう。転職活動の第一歩として、まずは自分の「辞めたい理由」を書き出すことから始めてみてください。

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