健診センターで働く看護師の仕事内容は?|1日の流れやスキル、給料面などを徹底解説
夜勤がなく、残業も少ないという特徴から、健診センターはワークライフバランスを重視する看護師に注目を集めています。
健診センターは、健康診断や人間ドックなど予防医療に特化した医療施設です。目的は病気の早期発見と健康維持で、対象は基本的に健康な方です。施設内での健診に加えて、企業や学校へ出向く巡回健診も行います。
この記事では、健診センターで働く看護師の仕事内容や1日のスケジュール、病院との違い、給料面まで詳しく解説します。
健診センターで働く看護師の仕事内容

健診センターで働く看護師は、受診者が円滑に健診を受けられるようサポートします。主な業務内容を見ていきましょう。
検査業務
健診センターにおける看護師の中心的な業務は、各種検査の実施です。特に採血は1日に数十人から100人以上行うこともあり、スピードと正確性が求められます。
主な検査業務は以下の通りです。
- 採血(1日数十人~100人以上)
- 血圧測定、身体測定
- 視力・聴力検査
- 検査機器の操作
健診センターでは、短時間で多数の受診者を効率よく検査することが求められます。
受診者の案内・誘導
健診センターでは、1日に多くの受診者が来院します。スムーズに検査を受けられるよう、受診者を各検査室へ案内・誘導することも重要な業務です。待ち時間が長くならないよう検査の順番を調整したり、受診者からの質問に答えたりします。
健診センターでは、病棟のような急変対応は少ない代わりに、受診者一人ひとりへの丁寧な説明や気配りが求められます。
巡回健診での業務
健診センターでは、施設内での健診だけでなく、企業や学校に出向いて巡回健診を実施することもあります。
巡回健診は機材の運搬や移動を伴うため、施設内勤務とは異なる体力が必要です。施設によって巡回健診の頻度や業務内容は大きく異なるため、自分に合った働き方ができる職場を選ぶことが重要です。
- 1日あたりの受診者数
- 巡回健診の頻度(週に何日程度か)
- 運搬する機材の種類や重さ
- 移動手段(運転の有無)
内視鏡・婦人科検査の介助
人間ドックを実施している健診センターでは、以下のような検査の介助を行うこともあります。
-
内視鏡検査の介助(胃カメラ・大腸カメラなど)
検査前の問診や説明、検査中の受診者サポート、検査後の体調確認を担当 -
婦人科検診の介助(子宮がん検診・乳がん検診など)
検査前の案内や準備、検査中の補助、検査後のケアを行う
結果・検体の管理
採血した検体を適切に管理し、検査機関へ送付する作業も看護師が担当します。検体の取り違えがないよう確実なチェックが必要です。また、検査結果のデータ入力や整理などの事務作業も行います。
病院では看護記録や患者ケアの記録が中心ですが、健診センターでは検体管理やデータ入力といった事務作業の割合が高くなります。
以上が健診センターで働く看護師の主な仕事内容です。病棟や外来とは異なり、予防医療に特化した業務が中心となります。
次に、1日のスケジュールを見ていきましょう。
今のあなたの状況は?
健診センターで働く看護師の1日
健診センターで働く看護師の1日は、どのような流れになるのでしょうか。一般的なスケジュール例をご紹介します。
-
8:00
出勤・準備
出勤後、その日の受診者数や検査内容を確認します。
-
8:30
受診者受付開始
来院受付・問診票の確認、検査フローの案内を行います。
-
9:00〜12:00
午前の検査
採血、血圧測定、心電図、レントゲンなど。
-
13:00〜16:00
午後の検査
採血、データ入力、翌日の準備など。
-
16:00〜17:00
片付け・申し送り
器具の片付け・清掃、翌日への申し送り。
-
17:00
退勤
基本的に定時で退勤できます。
このスケジュールは一例ですが、健診センターの多くは日勤のみで夜勤がなく、残業もほとんど発生しません。
健診センターの看護師として働くメリットとデメリット

健診センターには、どのような特徴があるのでしょうか。メリット・デメリットを見ていきましょう。
日勤のみで生活リズムが整いやすい
基本的に健診センターでは夜勤はありません。夜勤のない働き方には、以下のようなメリットがあります。
- 毎日同じ時間に起きて、同じ時間に寝る規則正しい生活を送りやすい
- 体調管理がしやすく、健康的な生活が送れる
- 家族との時間や自分の時間を確保しやすい
- 疲労が溜まりにくく、休日を有効に使える
残業が少なくプライベートと両立できる
予約制が導入されているため、残業の少ない働き方が可能です。また、土日休みの場合も多く、予定を立てやすいのも魅力です。
残業が少ない主な理由は、次のとおりです。
- 健診は予約制で、1日の受診人数があらかじめ決まっている
- 急な検査追加や医療処置が発生しにくい
- チームで時間管理が徹底されており、業務が計画的に進む
残業がほとんどないからこそ自分や家族の時間を大切にでき、プライベートを充実させることも可能です。
ライフステージに合わせた働き方ができる
健診センターは、正社員だけでなくパートなど多様な雇用形態があり、ライフステージに合わせて働き方も収入も調整が可能です。
例えば、以下のようなキャリアプランも可能です。
| 年代 ライフステージ |
働き方 | 収入例 |
|---|---|---|
| 20代後半 独身もしくは結婚 |
正社員フルタイム勤務 | 月給25万円程度 賞与年2回 |
| 30代前半 出産・育児をする |
パート勤務(週3日程度) | 時給1,800円 |
| 30代後半~40代 子育てが落ち着く |
正社員に復帰 | 月給25万円程度 賞与年2回 |
| 50代以降 セカンドライフ準備 |
正社員継続 または パート勤務に切り替え | 選択した働き方に応じて調整 |
このように柔軟に働き方を変えられるため、「がっつり稼ぐ時期」と「家庭優先の時期」をコントロールしながら、キャリアに「ブランク」を作らず、自分のライフスタイルに合わせた選択が可能です。健診センターは柔軟に働き方を変えたい方や、プライベートも充実させたい方にとって魅力の多い職場ですが、実際に働くうえで注意しておきたい点もあります。
ここからは、デメリットについても見ていきましょう。
受診者対応やクレーム対応のストレスとなることもある
健診センターでは、「待ち時間が長い」「検査の説明が分かりにくい」といった受診者からのクレームが発生することがあります。
病院とは異なり、サービス業に近い接遇スキルやコミュニケーション能力が必要です。どんな受診者にも丁寧な言葉遣いと笑顔で対応し、気持ちよく検査を受けてもらうホスピタリティが求められます。
単調な業務が続くこともある
健診センターでは、検査項目や流れがあらかじめ決まっているため、毎日同じような業務の繰り返しになりがちです。病院勤務では急変対応や様々な疾患への対応がありますが、健診センターではそうした刺激的な場面が少ないため、「物足りない」「やりがいを感じにくい」と感じる人もいます。
しかし、これは見方を変えれば「安定している」「予測可能」ということでもあります。ルーティンの中で採血スキルを極めたい人や、落ち着いた環境で働きたい人にとっては、理想的な職場と言えるでしょう。
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病院と健診センターにおける看護師働き方の違い3つ

①業務内容の違い
| 年代 ライフステージ |
働き方 | 収入例 |
|---|---|---|
| 20代後半 独身・結婚 |
正社員フルタイム勤務 | 月給25万円程度 ボーナス年2回 |
| 30代前半 出産・育児期 |
パート勤務(週3日程度) | 時給1,800円 |
| 30代後半~40代 子育て落ち着き |
正社員に復帰 | 月給25万円程度 ボーナス年2回 |
| 50代以降 セカンドライフ準備期 |
正社員継続 または パート勤務に切り替え | 選択した働き方に応じて調整 |
病院では「治療」、健診センターでは「予防」という、医療の異なる側面に関わることになります。
②勤務形態の違い
| 病院勤務 | 健診センター | |
|---|---|---|
| 求められるスキル |
|
|
| キャリアパス |
|
|
シフトの柔軟性という点では病院の方が高いですが、安定した生活リズムを求めるなら健診センターが適しています。
③求められるスキルとキャリアの違い
| 雇用形態 | 給与相場 | 備考 |
|---|---|---|
| 正社員 | 月給23~28万円程度 | 経験年数や施設の規模によって変動する。 ボーナス年2回(合計2~3ヶ月分)がある施設も。 |
| パート | 時給1,500~2,000円程度 | 都市部では時給2,000円を超えることもある。 |
このように、健診センターでは病院とは異なる専門的なスキルが求められます。次のセクションでは、具体的にどのようなスキルや知識が身につくのかを詳しく解説します。
転職活動するなら?
看護師が健診センターで働くと得られるスキル・知識

「健診センターに転職したら、看護師としてのスキルが落ちるのでは?」と心配する方もいるかもしれません。しかし、健診センターでは病院とは異なる専門的なスキルや知識を身につけられます。
ここでは、健診センターで得られる3つのスキル・知識について詳しく見ていきましょう。
予防医療の知識と健康指導スキル
健診センターでは、予防医療や健康管理に関する知識を身につけられます。
健診項目の意味や基準値、異常値が示すリスクを理解し、受診者へ生活習慣改善のアドバイスを行う機会も多くあり、健康指導のスキルが自然と磨かれます。
この経験は、次のようなキャリアにも活かすことができます。
- 保健師として、地域や学校での健康指導に携わる
- 産業看護師として、企業の従業員の健康管理をサポートする
- 企業の健康管理室で、健診結果のフォローや生活習慣改善の支援を行う
- 地域の健康づくり事業や自治体の予防活動に参加する
接遇スキル
健診センターでは、治療が目的ではなく“サービスとしての健診”を提供するため、受診者への対応には医療接遇+接客の両方の要素が求められます。ホスピタリティやビジネスマナーが自然と身につき、丁寧な言葉遣いや笑顔での対応、相手の立場に立った配慮ができるようになります。
このような接遇スキルは、クリニックや美容医療、企業の健康管理室など、他の分野でも活かせる汎用性の高いスキルです。
多職種と連携して円滑に業務を進めるスキル
健診センターでは、看護師以外にも医師、臨床検査技師、放射線技師、事務スタッフ、受付スタッフなど、様々な職種のスタッフが働いています。

限られた時間で多くの受診者に対応するため、多職種との連携が不可欠です。スタッフ間のコミュニケーション能力や、全体を見渡して調整する力が養われます。
健診センターで働く看護師の給料面

健診センターで働く看護師の給料は、どのくらいなのでしょうか。病院と比較しながら見ていきましょう。
健診センターで働く看護師の給与相場
健診センターで働く看護師の給与は、雇用形態や地域によって異なります。
| 雇用形態 | 給与相場 | 備考 |
|---|---|---|
| 正社員 | 月給23~28万円程度 | 経験年数や施設の規模によって変動する。 ボーナス年2回(合計2~3ヶ月分)がある施設も。 |
| パート | 時給1,500~2,000円程度 | 都市部では時給2,000円を超えることもある。 |
年2回、合計2〜3か月分の支給があるところもあれば、賞与がない代わりに月給が高めに設定されているケースもあります。
また、地域や施設の規模によっても差があり、都市部の方が給与水準は高い傾向です。
正社員とパートの働き方比較
| 正社員 | パート | |
|---|---|---|
| 賞与 | ある施設が多い | ない場合が多い |
| 福利厚生 | 充実(社会保険、退職金など) | 限定的 |
| 昇給 | あり | 限定的 |
| 時間の融通 | 利きにくい | 利きやすい |
| 向いている人 | 安定収入を求める人 | 子育て・介護と両立したい人 |
夜勤手当や残業代がなくなり月収が下がる可能性もある
病院勤務から健診センターに転職すると、夜勤手当や残業代がなくなるため、月収が下がる可能性があります。(※実際の金額は夜勤回数や地域で前後します。)

健診センターに向いている看護師・向いていない看護師

健診センターは、すべての看護師に向いているわけではありません。
以下の項目を確認し、自分に合う働き方かどうかを確認してみましょう。
向いている看護師
- ワークライフバランスを重視したい人
- 規則正しい生活を送りたい人
- 予防医療に興味がある人
- 採血が得意、またはスキルアップしたい人
- ルーティンワークが苦にならない人
- 接遇やコミュニケーションを大切にしたい人
- 給料よりも時間や健康を優先したい人
向いていない看護師
- 急性期医療や多様な症例を経験したい人
- 夜勤手当込みの高収入を維持したい人
- 単調な業務に飽きやすい人
- 病棟での濃密な患者関係を求める人
向いている特徴と向いていない特徴を見てみて、どちらに多く当てはまりましたか?「向いている看護師」の項目にチェックが多かった人は、健診センターへの転職を検討してみてもいいかもしれません。
まとめ

健診センターは、夜勤なし・残業少なめでワークライフバランスを保ちやすく、ライフステージに合わせた働き方ができる職場です。
ただし、給料が下がる可能性や、業務が単調になりやすいといった面もあるため、何を優先するかを考えて判断することが大切です。
医療キャリアナビでは、健診センターはもちろん、病院やクリニック、訪問看護ステーション、介護施設、企業看護師など幅広い求人を扱っています。
「夜勤なしの職場を探したい」「ワークライフバランスを重視したい」「ライフステージに合わせた働き方をしたい」といったご希望も、ぜひご相談ください。専門のキャリアパートナーが希望の条件を丁寧にヒアリングし、最適な職場をご提案します。
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