ドラッグストア薬剤師の年収は低すぎ?リアルな実態を初任給と一緒に徹底解説!
「ドラッグストアの薬剤師は年収が低いって本当?」といった疑問や不安を抱えている薬剤師の方もいるのではないでしょうか。
この記事では、ドラッグストア薬剤師のリアルな年収事情を、病院や調剤薬局との比較データと一緒に解説します。この記事を読めば、大手企業の年収ランキングからキャリアアップの方法まで、転職活動に役立つ情報が得られ、年収に対する答えが見つかります。
薬剤師の転職、プロが伴走します
ドラッグストア薬剤師の年収は?|病院・調剤薬局と年収比較

ドラッグストア薬剤師の年収は、キャリアのスタート段階の20代では、病院や調剤薬局より高くなる傾向があります。しかし、厚生労働省の調査によると、差は年齢と共に小さくなり40代ではほぼ横並びになります。
そして、最終的な生涯累積年収を見ると、業種による大きな差はないのが実情です。
以下に、業種別・年代別の薬剤師平均年収をまとめました。
【業種別・年代別の薬剤師平均年収】
| 病院 | 薬局 | ドラッグストア | |
|---|---|---|---|
| 20代 | 380万円 | 420万円 | 450万円 |
| 30代 | 500万円 | 510万円 | 500万円 |
| 40代 | 600万円 | 600万円 | 600万円 |
| 50代 | 700万円 | 600万円 | 600万円 |
| 60代 | 600万円 | 562.5万円 | 530万円 |
| 生涯累積年収 | 2億3,280万円 | 2億2,433万円 | 2億2,350万円 |
参照元:厚生労働省「薬剤師確保のための調査・検討事業薬剤師確保計画策定ガイドライン作成のための調査検討事業報告書」
若い年代でドラッグストアの年収が高めなのは、調剤業務に加え、OTC医薬品販売や品出しといった幅広い業務を担うことや、土日祝の営業が多く勤務時間が長くなりやすいことなどが考えられます。キャリアプランを考える上では、目先の年収だけでなく、長期的な視点を持つことが大切です。
ドラッグストア企業別薬剤師の年収ランキング

ドラッグストアは医薬品・化粧品・日用品・食品といった商品を総合的に幅広く扱う、年間市場規模約9兆円の小売業業界(2024年経済産業省データより)です。
近年は地域住民の健康を支えるヘルスケア拠点としての役割も強まっています。業界全体の売上・店舗数は2021年から増加傾向にあり、国民のニーズの高さがうかがえます。
また、大手同士の経営統合も活発で、大きな話題を呼ぶことの多いドラッグ業界です。2021年のマツキヨとココカラの合併に続き、2025年12月にはウエルシアとツルハの経営統合も予定されるなど、業界地図はさらに変わろうとしています。
ここでは、主要ドラッグストアの薬剤師の初任給と、有価証券報告書から算出した企業全体の平均年収を比較します。
【ドラッグストア企業別薬剤師の初任給と年収】
| 初任給(月収) | 有価証券報告書からの平均年収 | 特徴 | |
|---|---|---|---|
| スギホールディングス | 【総合薬剤師】338,000円(6年制。薬剤師手当等含む) 【調剤薬剤師】313,000円(6年制。薬剤師手当等含む) |
881万円 (46.0歳) |
在宅医療に力を入れている。地域に根ざした店舗運営で、かかりつけ薬剤師を目指しやすい。 |
| ウエルシア薬局 | 355,000円 | 867万円 (53.1歳) |
調剤併設率が高い(7割)。イオン系列の充実した福利厚生が魅力。キャリアパスも豊富。 |
| マツキヨココカラ&カンパニー | 薬剤師免許登録後、年俸制へ移行。居住地・転居のありなしによって異なり、月額382,160円~421,250円 | 727万円 (45.2歳) |
都市部に店舗が多い。化粧品販売にも強く、接客スキルが磨かれる。自己都合による退職者のカムバック採用あり。 |
| ツルハホールディングス | 【薬学部卒】300,000~460,000円(薬剤師手当、店舗資格手当含む) | 604万円 (46歳3か月) |
一つの地域に多数の店舗を構えるドミナント方式により全国展開しており、地域医療への貢献度が高い。教育制度が充実しており、未経験でも安心。 |
| サンドラッグ | 345,250~443,250円 | 582万円 (34歳5か月) |
1店舗2ライン制。店舗スタッフをカウンセリング販売スタッフと運営スタッフに分け、業務を分担。堅実な経営で安定志向の人におすすめ。 |
*有価証券報告書の平均年収は、薬剤師以外の職種も含む全従業員の平均値です。
1位.スギホールディングス
スギホールディングスの平均年収は約881万円(平均年齢46.0歳)と業界トップクラスになっています。
総合薬剤師と調剤薬剤師でキャリアコースが分かれており、特に在宅医療に注力しているのが大きな特徴です。地域に密着し、訪問薬剤指導やかかりつけ薬剤師としての専門性を深めたい方には最適な環境といえるでしょう。必須研修のほか、選択型研修・職位研修・専門領域研修といった充実した研修制度で、薬剤師としての可能性を広げられます。
2位.ウエルシア薬局
ウエルシア薬局の平均年収は約867万円(平均年齢53.1歳)と高い水準になっています。
強みは7割を超える調剤併設率の高さと、深夜営業への積極的な取り組みです。調剤業務に携わりながら、地域住民の多様なニーズに応えたい薬剤師に向いています。イオングループならではの手厚い福利厚生や、豊富なキャリアパスも安心して長く働ける魅力的なポイントです。
3位.マツキヨココカラ&カンパニー
マツキヨココカラ&カンパニーの平均年収は約727万円(平均年齢45.2歳)です。
都市部を中心に店舗を展開し、OTC医薬品や化粧品のカウンセリング販売に強みを持っています。年俸制を導入しており、転居の有無などで給与体系が異なります。接客を通じて顧客の美と健康に貢献したい方や、一度退職しても復職しやすい「カムバック採用」に関心がある方におすすめです。
4位.ツルハホールディングス
ツルハホールディングスの平均年収は約604万円(平均年齢46歳3か月)です。
特定地域に集中出店するドミナント戦略で、地域医療に深く貢献しているのが特徴です。初任給は地域やコースによって幅広く設定されています。充実した教育制度が整っているため、調剤経験に不安がある方や、地域に根ざしてじっくりとスキルアップしたい方に適した企業です。
5位.サンドラッグ
サンドラッグの平均年収は約582万円(平均年齢34歳5か月)で、平均年齢が若いのが特徴です。
カウンセリング販売と店舗運営のスタッフを分ける1店舗2ライン制により、薬剤師が接客や専門業務に集中しやすい環境を整えています。若手でも活躍しやすく、効率的な店舗運営の中で専門性を発揮したいと考える、安定志向の薬剤師に向いているでしょう。
今のあなたの状況は?
年収だけで選ぶと後悔する?ドラッグストア転職のメリット・デメリット

ドラッグストアは高い年収が魅力の職場ですが、年収だけで転職を決めるとミスマッチが起こる可能性があります。働きがいやキャリアプランと照らし合わせ、メリット・デメリットの両方を理解することが後悔しない転職のためには大切です。
ドラッグストアで働く3つのメリット
1.高い給与と福利厚生
最大の魅力は、他業種に比べて高い給与です。大手企業ならではの家賃補助や退職金制度など、福利厚生が充実している点も安心して長く働けるポイントになります。
2.多様なキャリアパス
調剤業務だけでなく、店長やエリアマネージャーといったマネジメント職や、本部での商品開発、人事、教育研修など、多様なキャリアパスが用意されています。薬剤師の枠を超えたキャリアを築くことも可能です。
3.マネジメント・経営スキルが身につく
日々の店舗運営を通じて、売上や在庫の管理、パート・アルバイトの育成といったマネジメントスキルが自然と身につきます。将来的に独立開業を考えている方にとっても、貴重な経営経験を積めるでしょう。
転職前に知っておきたい3つのデメリット
1.調剤以外の業務が多い
薬剤師としての専門業務に加え、品出しやレジ対応、化粧品・日用品の接客、時にはクレーム対応など、調剤以外の業務もたくさんあります。「調剤業務に集中したい」という方には不向きかもしれません。
2.土日祝の勤務やシフト制
多くの店舗が土日祝も営業しているため、勤務はシフト制が基本です。カレンダー通りの休日を希望する方にとっては、家族や友人との時間が合わせにくく、不規則な生活リズムになる可能性があります。
3.売上目標へのプレッシャー
小売業であるため、店舗全体の売上目標や推奨品の販売目標が設定されることがあります。利益への貢献を求められることにプレッシャーを感じる薬剤師も少なくありません。
お探しの求人は?
ドラッグストアで年収1,000万円は目指せる?

ドラッグストアで薬剤師が年収1,000万円を目指すことは、十分に可能です。しかし、そのためには、一般薬剤師からキャリアアップしていく戦略的なプランが大切です。
一般薬剤師からエリアマネージャーへの道
ドラッグストアでは、一般薬剤師から管理薬剤師、店長、エリアマネージャーへとキャリアアップするコースが一般的です。各役職の年収は企業によりさまざまですが、例えばマツキヨココカラ&カンパニーでは、店長・課長クラスのモデル年収として700万円~1,100万円程度が提示されています。
最初は年収450万円からのスタートでも、着実にキャリアを積むことで、年収1,000万円は実現可能な目標となるでしょう。
年収アップを実現する5つの要素
ドラッグストア薬剤師が月収・年収アップを実現するには、主に以下の5つの方法が考えられます。自分に合った方法を組み合わせ、キャリアプランを立てることが大切です。
役職に就く
確実な方法としては、管理薬剤師や店長といった責任ある役職を目指すことがあります。管理薬剤師になると資格手当が支給され、店長やエリアマネージャーといったさらに上位のポジションに就けば、より大幅な収入アップが見込めます。日々の業務で実績を積み、昇進を目指しましょう。
専門性を磨く
専門性を高めることも年収アップにつながる道です。在宅医療や特定の疾患領域に関する深い知識、認定薬剤師の資格などが評価され、手当がつく企業もあります。また、店舗運営に必要なマネジメントスキルを身につけると管理職への道が拓け、結果的に収入アップが期待できます。
地方・へき地勤務する
薬剤師が不足している地方やへき地の店舗では、都市部よりも高い年収が提示されるケースが少なくありません。地方は家賃などの生活コストが低いことも多く、可処分所得が増えるというメリットもあります。待遇や地域の暮らしやすさを調べた上で、選択肢の一つとして検討する価値はあるでしょう。
副業を検討してみる
会社の就業規則で禁止されていなければ、副業で収入を増やす方法もあります。ただし、管理薬剤師や公務員薬剤師は法律で副業が禁じられているため注意が必要です。薬剤師資格を活かせるメディカルライターやオンラインでの健康相談、薬学生の家庭教師などが選択肢として考えられます。
他の企業への転職を検討する
現在の年収が自身の市場価値に見合っていないと感じるなら、転職も有効な手段です。同じ業務内容や働き方のドラッグストア薬剤師求人と比較し、より良い条件を提示する企業へ移ることで、大幅な年収アップが可能な場合があります。転職サイトなどで情報収集から始めてみましょう。
転職活動するなら?
まとめ|後悔しない転職のために
ドラッグストア薬剤師の年収は20代では高いものの、累積生涯年収で見ると他業種と大差ないのが実情です。高い年収には、幅広い業務やシフト制勤務といった側面もあります。
年収額だけで判断せず、メリット・デメリットを理解し、店長やマネージャーといったキャリアパスが自分に合っているかを見極めることが、後悔しない転職には必要です。
医療キャリアナビでは、ドラッグストアはもちろん、病院や調剤薬局など幅広い求人を扱っています。
「大手以外のドラッグストアが気になる」「自分の経験でどれくらいの年収がもらえそうか気になる」といったご希望も、ぜひご相談ください。専門のキャリアパートナーが希望の条件を丁寧にヒアリングし、最適な職場をご提案します。LINEでの情報チェックも可能ですので、まずはお気軽にご登録ください。
LINEでのご登録はこちら🔻