クリティカルケア認定看護師になるには?資格取得の条件や費用も解説

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「患者の命に向き合う最前線で、自分にしかできない看護をしたい。」

「急変対応に自信を持てるようになりたい」

そんな方におすすめしたいのが、急性期医療のスペシャリストである「クリティカルケア認定看護師」というキャリアです。

この記事では、クリティカルケア認定看護師の特徴や資格取得までのプロセス、難易度やメリットについてわかりやすく解説いたします。

また、クリティカルケア認定看護師に興味がある方におすすめの資格も紹介いたします。

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クリティカルケア認定看護師とは?

女性 看護師 白衣

クリティカルケア認定看護師は、急性期にある患者さんに対して専門性の高い看護を実践するために日本看護協会が認定するスペシャリストです。

この資格を持つ看護師は、ICUや救急外来において救急対応が必要な患者さんに対し、重篤化回避や早期回復を支援する重要な役割を担っています。

また、クリティカルケア認定看護師は、医師の包括的指示のもとで以下のような特定行為を実施することができます。

  • 人工呼吸器の設定変更
  • 持続点滴薬の投与量調整
  • 電解質輸液の調整
  • 利尿剤の投与量調整
  • 創部ドレーンの管理
クリティカルケア認定看護師の特徴

・生命の危機にある患者に対する看護実践能力を有する専門職

・急変リスクの高い患者に対して、予測・早期介入・重篤化回避を行う

・看護チームのリーダーや教育担当としても機能する

2024年時点でクリティカルケア認定看護師の登録者は約890人、認定看護師21分野の中では皮膚・排泄ケア、感染に続き3番目に資格保持者が多い分野です。

クリティカルケア認定看護師は統合された新しい認定資格

2020年よりA課程の「救急看護」と「集中ケア」という2つの分野が統合され、B課程の「クリティカルケア認定看護師」として新たに生まれ変わりました。

これにより、救急搬送から退院、その後の社会復帰まで一連の看護について包括的な知識を身につけることができるようになっています。

既存の認定看護師制度であるA課程は2026年度に現行教育が終了し、2029年度に認定審査が終了することが決まっています。

参考:日本看護協会 認定看護師について

クリティカルケア認定看護師の資格取得方法

pc 医療従事者

クリティカルケア認定看護師の資格取得方法は以下になります。

ステップ
内容・詳細
1. 受験資格確認
看護師免許取得後、通算5年以上の実務経験が必要
うち3年以上はクリティカルケア部門での実務経験が必要
2. 教育機関受講
指定教育機関での600時間以上の専門教育を修了
(A課程またはB課程)※A課程は2026年度に現行教育が終了し、2029年度に認定審査が終了
3. 認定審査
認定看護師認定審査(筆記試験)を受験
年1回実施される日本看護協会の審査
4. 資格登録
合格後、登録手続きを行い認定証交付
5年ごとの資格更新が必要

看護師資格を取得してから、最短で5年で指定教育機関への受験資格が得られます。

指定教育機関への入学に際して、具体的に望まれる看護実績及び教育課程入学時に望まれる勤務状況は以下になります。

  1. 通算 3 年以上、クリティカルケア部門(救急・集中治療部門等。ただし、手術室・NICU は除く)での看護実績を有すること。
  2. 疾病、外傷、手術などにより高度な侵襲を受けた患者の看護を 5 例以上担当した実績(生命維持装置(人工呼吸器等)を装着した患者の看護を 1 例以上含む)を有すること。
  3. 現在、クリティカルケア部門で勤務していることが望ましい。
  4. 救急蘇生(二次救命処置等)に関する知識・技術を有することが望ましい。

参考:日本看護協会 特定看護分野の実務研修内容の基準 【B課程教育機関】特定行為研修を組み込んでいる認定看護師教育課程

無事、教育機関に入学した後、約1年間(600時間以上)のカリキュラムを経て、認定審査を受けることができます。

認定証を交付されてからは、5年ごとの資格更新が必要です。

クリティカルケア認定看護師の資格取得までにかかる費用

クリティカルケア認定看護師を取得するためには、教育機関での専門教育を経て認定審査を受ける必要があります。

専門機関の入学から認定までにかかる総費用は約140万円~になります。

内訳は以下の通りです。

項目
費用・詳細
入学試験料
約50,000円
教育機関への入学試験受験料
入学金
約50,000円
教育機関への入学金
学費
90~120万円程度
教育機関での600時間以上の専門教育費用
審査料
51,700円
認定看護師認定審査の受験料
認定料
51,700円
合格後の資格登録・認定証交付費用
更新料
51,700円
5年ごとの資格更新時に必要

認定看護師教育課程に進学する際は、交通費や引っ越し費用などの実費がかかることがあります。

また、複数の教育機関を受験する場合には、その都度、入学試験料も必要になります。

費用面に不安がある方は、日本看護協会の「認定看護師教育課程奨学金」や、勤務先の病院による奨学金制度を活用する方法もあるため、事前に情報を調べておくと安心です。

参考:日本看護協会 認定看護師教育課程奨学金

また、在学中の給与支給については勤務先によって異なります

一般的には基本給のみ支給されるケースが多いですが、一部支給や全額支給、あるいは無給となる場合もあります。

教育課程にかかる費用や収入への影響も考慮しながら、しっかりと準備と計画を立てて受験することが大切です。

クリティカル認定看護師の難易度と教育機関について

クリティカルケア認定看護師の資格取得において、最大の関門とされているのが認定審査(筆記試験)ではなく、教育機関への入学です。

2024年6月現在、クリティカルケア分野(B課程)に対応した教育機関は全国にわずか4校のみ

それぞれの定員は10~30名程度と非常に限られており、全国の年間定員を合計しても90名弱にとどまっています。

参考:日本看護協会 認定看護師教育機関別の開講状況・定員数一覧(特定行為研修を組み込んでいる教育機関:B課程認定看護師教育機関)

このように受け入れ枠が小さいことから、入学倍率は高く、希望者全員が進学できるわけではありません

さらに、これらの教育機関は限られた地域にしか存在しないため、遠方からの通学が必要になるケースも多く、交通費や宿泊費の負担が発生します。

また、教育期間中は勤務先を一時的に離れなければならない(約1年間)こともあり、職場の理解や休職制度の活用が求められることもあります。

このように、クリティカルケア認定看護師になるためには、知識や経験だけでなく、経済的・地理的・職場的な調整も必要であり、決して簡単な道のりではありません。

資格取得を目指す際には、これらの点を十分に考慮することが重要です。

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クリティカルケア認定看護師のメリット

救急カート 看護師

高度な専門技術を習得できる

クリティカルケア認定看護師の教育課程では、急性期看護の専門知識を体系的に学ぶことができます。

具体的には、重篤な状態にある患者さんの全身管理、呼吸・循環・代謝などの生理機能の評価と管理、人工呼吸器の操作や設定変更、各種薬剤の投与調整など、高度な医療技術を身につけることが可能です。

また、救急搬送から退院、社会復帰までの一連の看護過程を包括的に理解できるため、患者さんの急性期治療だけでなく、回復期や退院後の生活まで見据えたケアを提供できるようになります。

特定医療行為を実施でき、患者さんに質の高い医療を提供できる

クリティカルケア認定看護師は、特定行為研修を修了することで、医師の包括的指示のもとで特定の医療行為を実施できます。

これにより、人工呼吸器の設定変更、持続点滴の投与量調整、創部ドレーンの管理など、これまで医師が行っていた処置をタイムリーに実施することが可能となります。

結果として、患者さんの状態変化に迅速に対応でき、治療効果の向上や合併症の予防に直結します。

医師との協働により、より効率的で質の高い医療を提供できる体制が整います。

キャリアの多様性と将来性がある

クリティカルケア認定看護師の知識や技術は、ICUや救急外来だけでなく、一般病棟、手術室、外来など幅広い部署で活用できます。

また、院内の急変対応チーム(RRS)での活動や、ドクターカーでの病院前救護活動など、部署を横断した専門的な活動にも参画できます。

さらに、教育機関での講師や研修会での指導者、看護管理職へのキャリアアップも期待できるため、臨床実践だけでなく教育や管理の分野でも活躍することができます。

認定看護師としての専門性は、転職時にも大きなアドバンテージとなります。

給与面でのメリット

多くの医療機関では、クリティカルケア認定看護師に対して資格手当が支給されます。

日本看護協会の調査において、「毎月支払われる」場合の資格手当の平均支給額は、認定看護師資格では 8,530 円であることがわかっています。

年収ベースで約10万円程度の収入アップが期待できます。

参考:「2022 年度 専門看護師・認定看護師に対する評価・処遇に関する調査」報告書

また、専門性が高いため、基本給がアップすることも多く、将来的には一般の看護師よりも収入が高くなることが期待できます。

クリティカルケア認定看護師に興味がある方が取りたい資格

救急外来

クリティカルケア認定看護師の教育課程に進学する際には、一定の看護実績が求められますが、以下のような資格を持っていると評価の上で有利になることがあります

そのため、急性期看護の分野で着実にステップアップしていきたい方は、これらの資格取得も視野に入れると良いでしょう。

  • BLS(一次救命処置)
  • ACLS(二次救命処置)
  • PALS(小児二次救命処置)
  • ISLS(脳卒中初期診療)
  • JNTEC(外傷初期看護)
  • 学会認定自己血輸血看護師
  • 急性・重症患者看護専門看護師

BLS(一次救命処置) 難易度★★☆☆☆

BLSは、心肺停止や呼吸停止に陥った人に対して最初に行う救命処置の基本を学ぶプログラムです。

胸骨圧迫(心臓マッサージ)や人工呼吸、AEDの使用方法などが中心で、医療従事者だけでなく一般市民も対象に広く普及しています。

筆記試験の正答率84%以上で合格でき、医療従事者だけでなく一般の方も受講可能な入門レベルの資格です。

ACLS(二次救命処置) 難易度★★★☆☆

ACLSは、心停止や重篤な不整脈などに対する高度な救命処置を学ぶ国際的なトレーニングプログラムです。

BLS(一次救命処置)に続くステップとして、医療従事者向けに設計されており、心電図の読解や薬剤投与、チームでの蘇生対応などが中心となります

特に病院内や救急現場など、医療チームでの迅速な判断と協働が求められる場面に対応できる力を養うことを目的としており、臨床現場では心停止対応のスタンダードとされています。

急性期看護においてキャリアアップを考えている人におすすめの資格です。

PALS(小児二次救命処置) 難易度★★★☆☆

Pediatric Advanced Life Supportの略で、乳児や小児の救急蘇生に特化した資格です。

ACLSの小児版ともいえ、年齢や体格に応じた蘇生・薬剤投与・呼吸管理の知識が中心になります。

ACLSと同程度の難易度で、小児医療に携わる医療従事者には重要な資格です。

ISLS(脳卒中初期診療) 難易度★★★☆☆

Immediate Stroke Life Supportの略で、脳卒中の初期診療に必要なスキルを学ぶ専門コースです。

意識レベルの評価(GCS)、NIHSS(脳卒中重症度評価)、模擬症例を通じた実践的な診療技術を習得します。

BLS、ACLS、ICLSなどの救命処置コースの受講が推奨されており、脳卒中診療に特化した高度な内容を扱います。

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JNTEC(外傷初期看護) 難易度★★★★☆

JNTECは、外傷患者に対する初期看護に特化した専門資格で、「防ぎ得た外傷死」の予防を目的に設計された看護師向け標準教育プログラムです。

医師向けのJATECや救急隊向けのJPTECとの整合性が取られており、看護師がチームの中で的確に役割を果たすための知識・技術を学びます。

受講には、専用テキストのシリアルナンバー登録が必須で、さらに事前のプレテスト受講も義務付けられているなど、比較的厳格な受講要件が定められています。

学会認定自己血輸血看護師 難易度★★★★☆

日本自己血輸血学会が認定する専門資格で、自己血採血から輸血までの一連の過程における安全で適正な技術を習得します。

看護師免許取得後3年以上の実務経験と所属長・輸血責任医師の推薦が必要です。

合同研修の受講が必須で、筆記試験と小論文による認定試験があります。

受験費用は約40,000円と比較的高額で、専門性の高い資格です。

急性・重症患者看護専門看護師 難易度★★★★★

日本看護協会が認定する最高位の看護資格の一つで、急性期・重症患者看護分野における最も専門性の高い資格です。

大学院での専門看護師教育課程(38単位)の修了が必要で、看護師免許取得後最短でも7年程度かかります。

受験資格取得までの期間や労力を考慮すると最高難度の看護資格といえます。

まとめ

クリティカルケア認定看護師は、重篤な患者に対して高度な看護を提供するスペシャリストです。

資格取得には高い専門性と経験が求められ、特に教育課程への入学が最大のハードルとなります。

クリティカル部門での看護実績や救命措置に関する資格を取得するなど、段階的にキャリアを積むことで、よりスムーズな資格取得を目指せます。

急性期看護に興味がある方は、計画的な準備が鍵となるでしょう。

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