看護師資格を活かして海外で働くには?語学力や学位に不安がある方でも始めやすい働き方5選

「海外で看護師として働いてみたい」「看護師資格を活かして海外で働けないだろうか?」
そう考えたことがある看護師さんも多いのではないでしょうか?
キャリアアップ、異文化での経験、収入アップなど、動機はさまざまですが、実現するにはしっかりとした準備と情報収集が必要です。
この記事では、日本の看護師資格を活かして海外で働くための方法と、看護助手や国際協力の道も含めた幅広い選択肢をご紹介します。
そもそも海外で日本の看護師免許は通用する?

結論から言えば、日本の看護師資格はそのままでは多くの国で使えません。
各国には独自の看護師資格制度があり、現地での資格取得や認定が必要となります。
また、現地採用の国際看護師として病院などで働く場合は、高度な語学力や現地の看護師免許の他に、大学や大学院卒業の学位、就労ビザなどが必要です。
準備期間を含めると2~3年程度は必要となってきます。
看護専門学校や短期大学の卒業者の方に注意したいのは、主要な英語圏では学位が標準的に要求されていることです。追加の教育や学位取得が必要になることを念頭に置いて計画を立てることが重要です。
そう考えると現地の看護師資格を取って海外で働くのってハードルが高いかも…
看護師キャリアを活かした海外での働き方5選

上記で紹介した通り、現地の看護師採用への道は語学力、学位、ビザ取得など、難易度はかなり高めです。
長期的にその国で住むことを考えている看護師さんにとっては挑戦しがいのある資格ですが、「もう少しハードルが低い就職方法はないだろうか」とお考えの方もいるかと思います。
海外での働き方は、正看護師資格や高い語学力がなくても挑戦できる選択肢があります。
語学力や学位に不安がある方でも始めやすい働き方を中心にご紹介します。
1. 国際医療ボランティア
最も気軽に始められる国際医療体験です。
主に発展途上国への医療ボランティアの参加になります。
数日から数週間の短期参加から、数年の長期参加が可能であり、自分に合った方法を選択することが可能です。
代表的な実施団体を以下で紹介いたします。
ジャパンハート

2004年、現地で活躍されている小児外科医の吉岡秀人氏が設立。
「医療の届かないところに医療を届ける」 を理念とし、ミャンマー、カンボジア、ラオスなどの国で活動を行っています。
数日から数週間ほどの短期派遣から申し込みができ、語学力が不問、現地医療スタッフや同行スタッフとの交流ができるため、海外の医療活動をサポートが充実している環境で体験してみたい方におすすめの選択肢です。
JICA海外協力隊

1965年に活動が開始され、日本の政府開発援助(ODA)を一元的に行う実施機関として、開発途上国への国際協力を行っています。
主に、アジア・アフリカ・中東・中南米の発展途上国への派遣となり、看護師や保健師、高齢者介護などの職種を自身で選択して応募することができます。
原則約2年間の海外派遣で、生活費は全額支給されます。
看護師の派遣には3年以上の臨床経験が必要とされます。
語学力関しては語学力審査の上、英検準2級、3級以上程度が必要とされる場合が多いです。
費用を抑えながらも、長期的に国際ボランティアに参加したい方、発展途上国での医療貢献に興味がある方にお勧めの選択肢です。
活動内容 |
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必要な準備 |
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メリット |
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適している人 |
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2.ワーキングホリデーを活用し看護助手として働く
ワーキングホリデーを利用しオーストラリアでアシスタントナースとして働くことは、看護師としての経験を活かして海外で働きたいと考える方にとっては、最も現実的で魅力的な海外就労の選択肢の一つです。
オーストラリアのアシスタントナース(Assistant in Nursing/AIN)は、日本の看護助手や介護士に相当する職種です。
正看護師や准看護師の指導のもと、患者の生活支援や基本的な医療補助を行います。
日本では看護助手として働く際に資格は不要ですが、オーストラリアではCertificate IIIの資格取得が必須となります。
仕事内容 |
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必要な準備 |
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適している人 |
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主な勤務先 |
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英語を母国語としない人々の英語力を評価する世界的に認知された英語試験です。特に海外留学、移住、就労を希望する人にとって、重要な語学証明のひとつです。
3. 介護士としてワーキングホリデーの活用や現地就労を目指す
日本の介護技術は世界的に高く評価されており、海外での介護士需要は確実に存在します。
中級レベルの現地言語の習得は必要ですが、資格取得不要で就労できる国がいくつかあります。
例えば、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ(州によって条件は異なる)は、英語圏かつビザ取得においても比較的就労しやすい国として挙げられます。
仕事内容 |
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必要な準備 |
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メリット |
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主な勤務先 |
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ここから先は、ある程度の語学力に自信がある方におすすめの選択肢です。
4. 海外の日本人向け医療施設・診療所勤務
海外在住の日本人向けに日本語と日本式医療サービスを提供する働き方です。
母国語を活かしながら医療通訳としても活躍できます。
日本人駐在員の多い地域を中心に求人がありますが、日本語と現地語のスキルを求められる場合もあります。
日本人スタッフが多い環境で働くことができる職場もあるため、海外生活や海外での働き方に不安がある方におすすめの選択肢です。
仕事内容 |
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必要な準備 |
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メリット |
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勤務地 |
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5. クルーズ船医療スタッフ(シップナース)
豪華客船で世界中を旅しながら働ける夢のような仕事です。
医務室で乗船客や乗組員の健康管理を担当します。
乗船期間は数か月に及ぶため、自身の健康管理も大切になります。
必要な準備 |
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メリット |
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注意点 |
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看護師として海外へ行くその他の選択肢として、短期海外留学制度や研修制度がある大学病院などでプログラムに参加する方法も考えられます。
海外で働く前に知っておくべき重要な視点

文化の違いを理解して馴染むことの大切さ
海外で看護師として働く上で、まず大切なのは「文化の違いを知り、受け入れる」ことです。
例えば、欧米の医療現場では、患者さん自身が自分の治療方針を決める「自己決定」をとても大切にしており、日本のように医師が中心になって進める医療とは大きく異なります。
看護師もただ指示を待つ存在ではなく、自分の判断で行動したり、しっかりと意見を伝えたりすることが求められます。
病気の治療に対する考え方も国によって本当に様々で、延命治療についてや最期をどう迎えるかについて、患者さんやご家族の考え方が日本とは大きく異なることがあります。
こうした違いを知らずに働き始めると、患者さんや同僚との関係がうまくいかなくなってしまうかもしれません。
職場の雰囲気も日本とは違います。海外では思ったことをはっきり言う文化が多いので、遠回しな表現では伝わりにくいことがあります。
また、仕事とプライベートをきっちり分ける考え方が強く、残業をしないで定時に帰るのが普通だったりします。
上司と部下の関係もフラットで、年功序列よりも個人の能力や判断力が重視される傾向があります。
スキルアップを意識する
海外で看護師として働くには、常に学び続ける姿勢が大切です。
特に、海外では「看護師=何でも屋」ではなく、がん看護、救急、感染対策など、それぞれの専門分野で深く知識と経験を積むことが当たり前とされています。
同じ看護師という肩書きでも、担当分野が違えば求められる役割や技術もまったく異なり、専門性が評価される場面が多くあります。
このような分業体制の中で信頼を得ていくには、自分の得意な分野を見つけて深めていくことが重要です。
単に「働く」だけでなく、「成長し続ける」ことが、海外での看護師人生をより豊かなものにしてくれるでしょう。
法的な手続きと労働条件の確認を忘れずに
海外で働くには、まず「法的に働ける状態」をきちんと整えることが必要です。
どの国であっても、就労可能なビザを取得しなければ、合法的に働くことはできません。
ビザの種類によっては働ける時間や業種に制限があったり、申請条件が厳しい場合もあるので、自分の目的に合ったものを選ぶことが大切です。
また、働く前に交わす雇用契約の内容にも注意が必要です。
給料、勤務時間、休暇制度、保険、解雇条件など、後から「知らなかった」では済まされない項目がたくさんあります。
現地の言語で書かれた契約書は不安に感じるかもしれませんが、翻訳ツールやサポート機関を活用して内容をしっかり理解するようにしましょう。
メンタルヘルスとセルフケアの意識を持つ
海外での生活は新鮮で刺激に満ちている一方で、言葉や文化の違いによるストレスや孤独感に悩まされることもあります。
特に最初のうちは慣れない環境で心細さを感じる場面も多くなるかもしれません。
だからこそ、自分のメンタルを守るための準備もとても大切です。
現地の日本人会や看護師のネットワークに参加したり、気軽に相談できる人を見つけておくと、困ったときの安心感につながります。
好きなことやリラックスできる時間を意識的に取り入れたり、定期的に日本の家族や友人と連絡を取り合うことも、心の安定につながります。
無理をしすぎず、自分のペースを大切にすることが長く続けるコツです。
日本に帰ってからのキャリアについて
海外での経験は、日本に帰ってきてからのキャリアにとても大きなプラスになります。
国際色豊かな病院や外資系の医療機関で働いたり、外国人の患者さんをサポートする医療通訳や国際医療コーディネーターとして活躍することができます。
最近注目されている医療ツーリズム(外国人が日本に治療を受けに来ること)の分野でも、海外経験があることで重宝される存在になれるでしょう。
中には海外経験を活かして起業したり、コンサルタントとして国際医療ビジネスに関わったり、大学で研究や教育に携わったりする人もいます。
海外での経験は、ただの職歴ではなく、あなたの看護師としての可能性を大きく広げてくれる貴重な財産になります。
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