循環器内科に向いている看護師とは?仕事内容や大変なところを解説

循環器内科と聞くと、どんなイメージをお持ちでしょうか?
「専門性が高く、優れた看護師が集まる場所」と思う方もいれば、「常に忙しく、業務が大変そう」というイメージを持つ方もいるでしょう。
この記事では、循環器内科の看護師に向いている人の特徴から、具体的な仕事内容、日々のやりがいや大変なところ、そしてキャリアアップの道筋まで詳しく解説します。
循環器内科に向いている人

丁寧で正確な仕事をしたいと思う人
循環器内科の治療では「正確さ」が患者さんの回復に大きく影響します。
水分出納(INOUTバランス)や、細かなデータの変動に注意しながら状態管理をしていきます。
また、治療で使われる抗凝固薬や抗不整脈薬は、時に致命的な副作用を引き起こす可能性があるため、量やタイミングの厳密さが不可欠です。
細部にまで注意を払い、一つひとつの業務を確実に実行することに価値を見出せる人材が重宝されます。
目の前の業務を確実にこなすことに注力できる人は、自然と忍耐力も兼ね備えていることが多いです。
心電図の波形を読み取る技術など、循環器内科の専門知識は一朝一夕で身につくものではありません。
しかし、日々の業務を丁寧にこなせる人は、長い目で見た専門技術の習得でも、その正確さと粘り強さを発揮します。
「小さなことの積み重ねが大きな成果につながる」と信じられる方は、循環器内科で輝ける素質を持っているでしょう。
観察力やコミュニケーション能力が高い人
循環器疾患の患者さんは、些細な症状変化が重大な事態につながることがあります。
わずかな息切れや浮腫の増加、顔色の変化など「何かがおかしい」と察知できる鋭い観察力が必要です。
また、患者さんの状況や症状を適切に聞き取り、医師や他のスタッフに正確に伝えるコミュニケーション能力も重要です。
循環器チーム医療では、看護師が得た情報が治療方針の決定に大きく影響することも少なくありません。
さらに、心疾患は一生付き合い続けなければいけない場合がほとんどです。
患者さんへの食事指導や服薬管理、運動療法などの生活指導では、理解しやすく伝える力と、長期的に根気強くサポートする姿勢が求められます。
患者さんの小さな変化を共に喜び、苦しみにも寄り添いながら、継続的な支援ができる人が循環器看護で活躍できるでしょう。
忙しい環境にやりがいを感じられる人
循環器内科は緊急性の高い処置や検査が多く、患者の急変対応や複数の処置が同時に発生することも珍しくありません。
救急搬送された心筋梗塞の患者への対応や、CCUでの集中治療など、瞬時の判断と行動が求められる場面も多いものです。
このような忙しい環境にこそ充実感ややりがいを覚え、自分の能力を最大限に発揮できる人に循環器内科は向いています。
循環器内科の看護師の仕事内容

循環器内科に特徴的な仕事内容として以下があります。
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点滴、服薬管理循環器疾患の治療では、抗凝固薬、抗不整脈薬、利尿薬、降圧剤など多くの薬剤が使用されます。これらは効果が強い反面、副作用のリスクも高いため、正確な投与量と投与時間の管理が重要です。特に急性期では強心薬や血管拡張薬などを点滴で微量持続注入することも多く、厳密な管理が求められます。また、多剤併用になりがちな循環器疾患の患者さんに対して、服薬指導も重要な業務です。
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心電図のモニタリング入院中の循環器疾患患者さんの多くは心電図モニターを装着しており、不整脈や虚血性変化などの異常を早期に発見するためのモニタリングを行います。循環器内科では、モニターアラームへの対応や、日常的な波形の確認、記録を行い、異常を発見した場合は迅速に医師へ報告します。基本的な不整脈の判読能力は循環器内科看護師にとって必須のスキルと言えるでしょう。
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水分出納(INOUTバランス)や体重管理心不全患者さんでは、体内の水分バランスを正確に把握することが治療の要となります。摂取した水分量(飲水、点滴、内服など)と排出された水分量(尿、便、嘔吐、発汗など)を厳密に測定・記録する「水分出納(INOUT)バランス」の管理を行います。また、体重は体内の水分量を反映する重要な指標であるため、毎日同じ条件での正確な体重測定も重要な業務です。
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検査入院、退院のケア冠動脈造影検査やカテーテルアブレーションなどの検査・治療を行っている病棟では、短期入院患者さんのケアも重要な業務です。検査前の準備や説明、検査後の安静度の管理や合併症の観察を行います。また、退院時は、自宅での生活での注意点を患者さんやご家族に指導し、退院後の生活を安全に過ごせるようサポートします。
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生活指導循環器疾患は生活習慣と密接に関わっているため、再発予防や症状コントロールには適切な生活習慣の確立が重要です。食事(特に塩分制限)、運動、服薬、体重管理、禁煙指導などを患者さん個々の状況に合わせて行います。また、症状が悪化した際の対応方法や、日常生活での注意点なども指導します。患者さんが長期的に自己管理できるよう、わかりやすく具体的な指導が求められます。ま循環器疾患は命に直結する病気がほとんどです。状態が安定している慢性期でも、体調や生活のバランスを崩すと急性期の対応が必要になります。 そのため、急変をさせないような患者指導が大切です。
循環器内科の看護師のやりがいや魅力

看護師として経験値や対応力が磨かれる
急性期の救命処置から慢性期の疾患管理まで、幅広いステージの患者ケアに携われるのも循環器内科の特徴です。
このような環境では、様々なケースを経験することができるため、看護師としての経験値や対応力が磨かれます。
特に循環器内科を経験した看護師は、微細な数値の変化に長けている傾向があります。
心電図や採血など、データから読み取れることに強くなるため、この経験は将来様々な科でも生かせるでしょう。
患者さんの回復過程に長期的に関わるには、根気強さと持続的な学習意欲が欠かせません。
わからないことは積極的に学び、自らのスキルアップを目指せる人が、この分野では特に活躍できます。
循環器内科の看護師の大変なところ

多忙である
循環器内科は病院の中でも特に忙しい職場といわれています。
患者さんの重症度が高く急変が多いことや、心負荷がかからないよう治療をすすめるため、日常生活介助を必要とする患者さんが多いからです。
優先順位を素早く判断しながら複数の業務を同時進行できることが求められます。
業務量が多い分、残業が発生する可能性も高いでしょう。
プレッシャーがかかりやすい
循環器内科は急変する患者さんが多いため、プレッシャーがかかる場面に遭遇する確率が高くなります。
特に、夜勤など看護師の人数が限られている際に、決まっている業務のほか、複数の心電図モニターのアラームに対応していかなければならないため、特にプレッシャーや大変さを感じることが多いでしょう。
循環器内科の看護師のキャリアアップ

循環器内科の看護師として専門性を高めたい場合は、様々な検定や資格があります。
心電図検定
心電図検定は、日本不整脈心電学会が主催する検定試験で、心電図の読解能力を客観的に評価し、その技能レベルを認定するものです。
循環器専門ナース
循環器専門ナースは、公益社団法人臨床心臓病学教育研究会が認定する資格で、循環器疾患患者に対する専門的な看護実践能力を持ち、質の高い看護ケアを提供できる看護師であることを証明する資格です。
心不全療養指導士
心不全療法指導士は、日本心不全学会が認定する資格で、心不全患者の生活指導や自己管理支援に関する専門的知識と技術を有する医療者として認められる資格です。
循環器病予防療養指導士
循環器予防療養指導士は、日本循環器学会が認定する資格で、循環器疾患の予防や再発防止のための生活習慣改善指導に特化した専門的知識と技術を持つ医療者であることを認められる資格です。
人工心臓管理技術認定士
人工心臓管理技術認定士は、日本人工臓器学会が認定する資格で、植込型補助人工心臓を使用する患者のケアや機器管理に関する高度な知識と技術を持つ医療従事者であることを認められる資格です。
慢性心不全看護認定看護師
慢性心不全看護認定看護師は、日本看護協会が認定する資格で、慢性心不全患者に対する水分・塩分管理、薬物療法、運動療法などの自己管理支援や症状マネジメントに関する熟練した看護技術と知識を持つ看護師です。
慢性疾患看護専門看護師
慢性疾患看護専門看護師は、日本看護協会が認定する専門看護師の一分野で、心不全を含む慢性疾患全般の患者に対して、複雑な健康問題を持つ個人・家族・集団への高度な看護実践能力を持つことを証明する資格です。
異動や転職にも強みがある
循環器内科での経験は、他部署への異動や転職の際にも大きなアドバンテージとなります。
心電図の読解力や循環動態の理解は、救急部門やICU、手術室など、緊急度の高い部署で特に重宝されます。
急変時の対応経験や的確なアセスメントができることは、どの部署でも通用する貴重なスキルであり、循環器内科での経験はキャリアの選択肢を広げる強みになるでしょう。
カテーテル室や心臓血管外科など、循環器に特化した部署への異動も視野に入れることができます。
これらの資格取得や経験の積み重ねにより、専門性を高めるとともに、より質の高い看護の提供や、チーム医療でのリーダーシップ発揮につながります。
また、資格によっては給与面での優遇や、キャリアの幅が広がるといったメリットもあります。
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