小児科看護師に向いている人の特徴5選!やりがいや大変なこと、年収まで解説

「小児科看護師はどんな人が向いているの?」
「小児科で働くためには資格がいるのだろうか」
このようにお悩みの方もいるのではないでしょうか。
小児科看護師に向いているのは、子どもが好き、コミュニケーションが得意、小児科の専門性を高めたい方などです。
子どもの病状の回復や成長をサポートできることがやりがいといえます。
一方で大変なこともあります。転職を考える際は、これらを踏まえて活動するとよいでしょう。
そこで本記事では以下について解説します。
ぜひ記事を参考に、小児科看護師を目指してみてください。
小児科看護師に向いている人の特徴5選

小児科看護師に向いている人は、以下の5つの特徴があります。
- 子どもが好き
- コミュニケーションが得意
- 観察力がある
- 体力がある
- 小児科の専門性を高めたいと考えている
ひとつずつ解説しますので、自分は該当するか振り返ってみましょう。
1.子どもが好き
小児科看護師になりたい人は、前提として子どもが好きである場合が多いです。
子どもと関わるのが好きな人は、子どもの思いに寄り添った看護ができるでしょう。
とはいえ、「子どもがかわいいから好き」といった気持ちだけだと、働き続けることが難しく感じることもあるかもしれません。
つらい場面に遭遇するときもあり、気持ちが切り替えられないと、つらい気持ちを引きずってしまうためです。
気持ちをうまく切り替えられる性格であれば、小児科に向いているといえます。
2.コミュニケーションが得意
コミュニケーションが得意な人は、小児科に向いています。
治療や処置に対する不安や恐怖心に寄り添い、コミュニケーションをとる必要があるためです。
また、保護者も子どもの病状に不安を抱えているため、適切な説明やフォローをおこなわなければなりません。
コミュニケーションをうまくとれれば、子どもや保護者との信頼関係も築きやすいでしょう。
3.観察力がある
観察力は小児科看護師にとって重要なスキルです。

成長発達段階で、言葉が話せなかったり、痛みや苦しさを伝えられなかったりする子もいるため、表情や行動から変化を察知しなければなりません。
保護者のケアにおいても、観察スキルは役立ちます。
保護者の心身の状態を観察し、声かけすることが大事です。
4.体力がある
体力がある人も小児科看護師に向いています。
子どもは軽い病状であれば、あっという間に回復し元気になり、日常生活や遊びの援助で体力が必要なためです。
また、処置や検査を嫌がり、暴れたりする場面での対応も求められます。
体力があれば、うまく対応できるでしょう。
5.専門性を高めキャリアアップしたい
小児科の専門性を高め、キャリアアップしたい人は小児科を経験するのが望ましいです。
対応する疾患は多岐にわたり、さまざまな知識や技術が身につくからです。
また、疾患だけでなく成長発達も考慮しなければなりません。
業務の中で幅広い知識やスキルが身につくでしょう。
経験を積めば、小児分野の認定看護師や専門看護師へのキャリアアップにも役立ちます。
小児科看護師の仕事内容

小児科看護師のおもな仕事内容は以下のとおりです。
- 診療の補助、医療処置
- 日常生活の援助
- 子どもの心のケア
- 保護者の心のケア
それぞれ詳しく解説しますので、小児科で働きたい方は参考にしてください。
1.診療の補助、医療処置
小児科看護師は、診療の補助や指示による医療処置をおこないます。
泣いたり暴れたりする子に対し、子どもが理解できるように説明したり、気を紛らわせたりします。
子どもの恐怖心が軽減できる声がけをおこない、安全に実施できるようサポートすることは、小児科看護師の重要な役割です。
2.日常生活の援助
入院の場合、食事や排泄、睡眠など日常生活のサポートもおこないます。
成長発達段階や病状に合わせ、援助するのが大事です。
子どもが何をどこまでできるのかアセスメントし、発達を促せる関わりが求められます。
入院生活が長くなるようなケースでは、看護師の関わりが成長発達に影響を与えます。
子どもの成長を考えると、厳しさが必要になる場面もあるでしょう。
3.子どもの心のケア
子どものケアには「プレパレーション」が欠かせません。
治療や処置に関してわかりやすく説明することをいい、処置前、処置後のフォローも含まれます。
不安や恐怖心を最小限にし、治療を前向きに受けられるよう支援することが大事な役割です。
処置中であれば、子どもの気を紛らわせたり、そばで付き添ったりして安心感を与えます。
処置後は、頑張りを褒めることが大事です。
また、季節のイベントは不安やストレスの緩和に有効とされています。
クリスマスやこどもの日の行事を企画し、楽しく過ごせるようにサポートします。
4.保護者の心のケア
小児科は子どもだけでなく、保護者やきょうだいを含めた支援が欠かせません。

病状が深刻なケースでは、保護者が強い不安を感じている可能性があります。
不安やとまどい、つらい気持ちに寄り添い、心のケアをおこなう必要があるのです。
また、きょうだいは自分に目をかけてもらえず、不満に感じていることが予測できます。
きょうだいの気持ちも考慮し、サポートすることが大事です。
子どもは親の表情や気持ちを敏感に感じ取るため、周囲の人を支えることが、子どもの安心にもつながります。
小児科看護師のやりがい

小児科看護師のやりがいはさまざまあります。代表的なやりがいは以下のとおりです。
- 子どもが回復していく姿を見られる
- 子どもの成長を感じられる
- 小児に関する幅広い知識を身につけられる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.子どもが回復していく姿を見られる
子どもが回復し、元気になる姿を見られるのは、小児科看護師の大きなやりがいです。
入院時つらそうにしていた子が、元気になって退院するのは嬉しいもの。
仕事のモチベーションにもなります。
2.子どもの成長を感じられる
子どもの成長を間近で感じられるのは、小児科ならではのやりがいです。
子どものいる家庭では、特定の医療機関をかかりつけ医にする場合が多いため、乳児期から中学生くらいまで関わることになります。
受診のたびに成長の様子がわかり、喜びを感じます。
Q 小児科の対象年齢は何歳まで?
小児科の対象年齢は具体的には決まっていません。
一般的には中学生までが多いようです。
小児科学会では、小児科が診療する対象年齢を「中学生」から「成人するまで」に引き上げており、高校生以降でも小児科を受診できる場合もあります。
3.小児に関する幅広い知識を身につけられる
小児科の特徴のひとつは、呼吸器科・アレルギー科といったように、症状や部位ごとにわかれていないことです。
子どもに関わるすべての疾患に対応するため、幅広い知識やスキルが身につきます。
看護師としてスキルアップ、キャリアアップがのぞめるでしょう。
小児科看護師の大変なこと

小児科看護師は、子どもの回復や成長を間近で見られ、やりがいのある仕事です。
一方、大変なこともあります。大変なことはおもに以下のとおりです。
- 子どもが回復していく姿を見られる
- 子どもの成長を感じられる
- 小児に関する幅広い知識を身につけられる
小児科に異動や転職を希望する場合、やりがいだけでなく、大変なことも踏まえ検討しましょう。
1.子どもが苦しむ姿を見なければならない
子どもが病気で苦しむ姿を目の当たりにし、つらくなるときがあります。
すべての子どもが必ず回復するとは限らず、病状によっては悲しい結果となる場合もあるのです。
こうした状況で、看護師としての対応が求められるため、ストレスに感じる人もいるかもしれません。
感情移入しやすい人はいつまでも引きずってしまう可能性があります。気持ちの切り替えやストレスの対処をうまくおこない、自分をコントロールすることが大事です!
2.小さなミスが大きな事故につながる
子どもの処置では、小さなミスが大きな事故につながりかねません。
現場では常に緊張感を持つ必要があります。
たとえば、薬剤関連のミスです。子どもの薬剤投与量は成人に比べると少なく、単位や計算間違い、準備のときのミスによって、事故につながるリスクが高めです。
3.子どもや保護者への対応が難しい
子どもは、病院や処置に対して不安や恐怖を感じています。
発達段階に合わせた対応が求められますが、泣いたり暴れたりしていると対応が困難な場合も。
また、長期入院や症状が重い場合、保護者の不安やストレスは大きくなります。感情的になり、看護師にきつく当たってしまうこともあります。保護者の気持ちに寄り添い、丁寧に対応するスキルがあるとよいでしょう。
小児科看護師として働ける職場

1.総合病院の小児科
総合病院では、小児科外来・小児科病棟が設置されています。
規模の大きな病院は小児科単科、中小規模の病院は混合病棟であるケースが多いです。
さまざまな疾患に対応する必要があり、小児に関する幅広い知識や医療処置のスキルを身につけられるでしょう。
ただし小児科は人気があり、競争率は高いといえます。
2.こども病院
小児専門病院である子ども病院は、人気の高い職場です。
新生児から15歳程度までの子どもが対象で、なかには妊産婦や胎児を対象としている病院もあります。
内科系や外科系などのさまざまな診療科があるのが特徴です。
ただし設置件数は少ないため、就職や転職を考えるなら、十分な対策が必要です。
3.小児科のクリニック
小児科のクリニックは、地域に密着した医療を提供しており、子どもの「かかりつけ医」の役割を担っています。
風邪やインフルエンザ、胃腸炎といったよくある疾患の診療、予防接種や健康診断をおこないます。
夜勤がなく、特定の曜日が定休日であるため、仕事と家庭の両立がしやすいです。
一方、子どもの下校後や、親の仕事が終わってから受診する場合も多く、他の診療科より残業が多くなる傾向です。
4.NICU(新生児集中治療室)
NICUは、超低出生体重児や、さまざまな疾患を抱える新生児が入院する場所です。
新生児呼吸窮迫症候群や無呼吸発作、先天性心疾患が代表的な疾患です。
重篤であり、急変も少なくありません。
人工呼吸器の管理や輸液管理、栄養管理がおこなわれます。変化を見逃さない観察力が求められます。
NICUは新生児のケアに加え、両親のケアも重要です。
中には自分を責めてしまう母親もいます。傾聴力のある人は、母親の気持ちに寄り添えるでしょう。
5.GCU(回復治療室)
GCUは、NICUで状態が安定した新生児を受け入れ治療する場所です。
新生児の状態によっては、最初からGCUに入院することもあります。
多職種で連携し、退院に向けて準備をします。
病院に通ってもらい、沐浴や授乳、オムツ交換などを指導します。
在宅人工呼吸器の管理や経管栄養を指導するケースでは、わかりやすく伝えることが重要です。
6.PICU(小児集中治療室)
PICUは、重篤な状態にある子どもの治療と管理をおこなう場所で、新生児以降の子どもが対象です。
一般の小児科病棟よりも重篤なケースが多く、高い専門性が求められます。
専門性が高く、全国の設置数は限られています。
日本集中治療医学会の登録施設またはオブザーバー施設は、全国で39カ所(2024年9月1日状況)です。
参考:小児集中治療室 (Pediatric Intensive Care Unit)/日本集中治療医学会
小児科看護師の年収

小児科看護師の年収は、他の診療科と大きく変わりありません。
看護師の給与は、運営母体や医療機関の規模、経験年数、夜勤や残業時間によって変わるためです。
令和5年賃金構造基本調査によると、看護師の平均年収は508万2千円でした。
税金や社会保険料が引かれると、「手取り」は年400万円前後となります。

夜勤のないクリニックなどは、病棟勤務より低くなりやすいです。
年収アップを目指すなら、以下を考慮するとよいでしょう。
夜勤のある職場で働く、夜勤回数を増やす
認定看護師、専門看護師の資格を取得する
役職につく条件のよいところに転職する
参考:職業情報提供サイトjob tag「看護師」/厚生労働省ウェブサイト
小児科看護師として働くには?

小児科看護師として働くには、看護師資格があれば働けます。
専門性を高め、スキルアップを目指すなら、資格取得もおすすめです。
日本看護協会で認定している小児の専門資格は以下のとおりです。
- 小児専門看護師
- 小児プライマリ認定看護師(小児救急看護認定看護師)
- 新生児集中ケア認定看護師
専門看護師または認定看護師になるには、看護師として最低5年以上、うち3年以上は専門(認定)分野の経験が求められます。
さらに教育機関等で研修を受け、認定審査を受けなければなりません。

それぞれの特徴を見ていきましょう。
1.小児専門看護師
小児専門看護師は、子どもたちが健やかに成長・発達していけるように療養生活を支援し、多職種のスタッフと連携して、質の高い看護を提供します。
おもな所属先は、病院やクリニック、医療型障害児入所施設、訪問看護ステーションです。特別支援学校や大学などの教育機関で働く場合もあります。
参考:看護職の皆さまへ.「専門看護師」/公益社団法人 日本看護協会ウェブサイト
2.小児プライマリケア認定看護師(小児救急看護認定看護師)
小児プライマリケア看護師は、重篤な状態にある子どもや医療的ケア児に対する重症化予防、家族の看護力や育児力向上に向けた指導をします。
気管カニューレの状態を判断し、交換できる知識や技術を習得できます。
他の看護師に専門知識や看護技術を指導し、質の高い看護をおこなえるよう働きかけるのも重要な役割です。
特定行為の研修が終了していれば「小児プライマリケア認定看護師」、新たな認定看護師に移行しない場合は「小児救急看護認定看護師」となります。
参考:看護職の皆さまへ.「認定看護師」/公益社団法人 日本看護協会ウェブサイト
3.新生児集中ケア認定看護師
新生児集中ケア認定看護師は、ハイリスク新生児の病態変化を予測した重篤化の予防、生理学的安定と発育促進のためのケア・親子関係形成のための支援をおこないます。
今回は、小児科に向いている看護師や小児科看護師のやりがい、働く場所について紹介しました。
小児科は、看護師資格があれば働けます。
ただし、人気の高い診療科であり、子ども病院などは設置数が少ないです。
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