認定看護師とは?資格の種類や取得方法、メリットを解説!
チーム医療の中でも頼もしい存在である認定看護師。
病棟で困ったときの心強い相談相手であり、憧れを抱いた経験のある看護師さんも多いのではないでしょうか。
看護師としてのキャリアを積んでいく際に、一度は目指そうか検討されるのが認定看護師です。
ここでは認定看護師の種類、資格取得の条件や取得方法、認定看護師を取得した後のメリットについて解説していきます。
認定看護師とは?認定看護師の種類について
認定看護師とは、特定の看護分野において熟練した看護技術と知識を用いて、水準の高い看護実践のできる看護師として日本看護協会が認めた資格を持つ看護の専門家です。
認定看護師の種類は以下になります。
現行の認定看護分野 (21分野) |
新たな認定看護分野(19分野) 赤字:統合した分野 青字:分野名を変更した分野 |
分野統合および分野名変更の理由 | |
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救急看護 | クリティカルケア | 医療・社会のニーズから集中的な治療を必要とする患者へのケアに特化した新たな分野を創設した。分野名はクリティカル期にある重症患者を対象とすることから「クリティカルケア」とした。 | |
集中ケア | |||
緩和ケア | 緩和ケア | 症状緩和技術やがん性疼痛に対する薬剤の知識などの強み切いかし癌広く活動できる分野とするため統合した。分野名は非がん患者に対するケアの充実が期待されているため「緩和ケア」とした。 | |
がん性疼痛看護 | |||
がん化学療法看護 | がん薬物療法看護 | がん対策基本法に基づく第3期がん対策推進基本計画から「化学療法」が「薬物療法」に変更されたため | |
訪問看護 | 在宅ケア | 入院施設等の規定来受託者も受講するようになり、既行の分野名では活動の役割を表しにくくなっているため | |
不妊症看護 | 生殖看護 | 近年では「生殖医療」に不妊症が含まれているため | |
透析看護 | 腎不全看護 | 透析導入を予防するためには「透析看護」では不十分なため | |
摂食・嚥下障害看護 | 摂食嚥下障害看護 | 「摂食・嚥下」から「摂食嚥下」へ用語が変更となったため | |
小児救急看護 | 小児プライマリケア | 救急場面だけではなく外来・地域などのプライマリの場を中心とした子どもの健康問題に対応するようにするため | |
脳卒中リハビリテーション看護 | 脳卒中看護 | 「リハビリテーション」という用語によって看護を提供する場が限定されたイメージであるため | |
慢性呼吸器疾患看護 | 呼吸器系患者看護 | 急性と慢性が連続性を持った病態であるため、区分せずに専門的なケアの提供が必要であるため | |
慢性心不全看護 | 心不全看護 | ||
皮膚・排泄ケア | 皮膚・排泄ケア | 分野統合や分野名に変更なし | |
感染管理 | 感染管理 | ||
糖尿病看護 | 糖尿病看護 | ||
新生児集中ケア | 新生児集中ケア | ||
手術看護 | 手術看護 | ||
乳がん看護 | 乳がん看護 | ||
認知症看護 | 認知症看護 | ||
がん放射線療法看護 | がん放射線療法看護 |
認定看護分野については、近年見直しがおこなわれ、2021年度より従来の21分野(A課程)の一部を統合および名称変更などを加えた19分野(B課程)の認定が開始しました。
B課程では、A課程に組み込まれていなかった特定行為研修が、新たに組み込まれました。
従いA課程は2026年に廃止され、認定審査は2029年まで実施されます。
認定看護師になるための条件と取得方法
認定看護師の資格を取得するためには、以下の流れになります。
前述のとおり認定看護分野の見直しが行われたため、A過程、B過程によって修学時間や資格名が異なります。
認定看護師取得までの流れ
(うち3年以上は認定看護分野の実務研修)
(日本看護協会は毎年1回、認定看護師認定審査を実施)
B課程認定看護師教育機関を修了した者に対する認定審査は2021年度から開始します。
認定看護師認定審査は年に1回しかなく、準備から認定証の交付まではおおよそ2年ほどかかります。
認定分野によって認定教育機関が異なるため、分野によっては遠方への通学が必要になるケースもあります。
授業は平日に行われるケースや、土日に通学できるケースもあります。
場合によっては、休職や一時的な引っ越しを要するため、ご自身のライフスタイルや将来設計を鑑みてチャレンジするタイミングを決める必要があります。
認定看護師取得までにかかる費用
取得までに最低限かかる費用は以下のとおりです。
入試検定費用 | 約5万円 |
---|---|
入学金 | 約5万円 |
授業料 | 約70万~110万円 |
実習費用 | 約10万円~ |
審査費用 | 5万1,700円 |
認定費用 | 5万1,700円 |
こちらに加えて教材費や、通学の交通費、引っ越しする場合の滞在費用等が個別にかかってきます。
それらを合計して約110~150万円の費用が必要と考えてよいでしょう。
休職をする場合、その間の収入がなくなるため、その間の生活費等の工面も必要になってきます。
日本看護協会の奨学金や、行政や所属病院の融資制度もあるため、ご自身の利用できそうな制度があるか確認しましょう。
認定看護師のメリット
知識や技術の専門性が向上する
まず考えられるメリットとしては、特定分野における高度な知識と技術を習得できる専門性の向上が挙げられます。
最新の医療知識や技術を身に着けることで、患者さんの状態に合わせてエビデンスに基づいた看護実践が可能になります。
質の高い看護ケアを実践できるだけでなく、スタッフへの教育・指導的立場となり、さらに患者とその家族、他の医療従事者からの相談役としても活躍できるでしょう。
キャリアアップできる
専門性が向上することで、キャリアアップの機会が増えます。
管理職への登用機会があるだけではなく、専門家としての認知度が高まり、医療チーム内での発言力が強まります。
多職種からの信頼も得やすく、チーム医療の要となる存在として評価されるでしょう。
院内での活動にとどまらず、地域での活動も可能になります。講師や執筆活動などの機会も増え、他施設との連携や情報交換の機会も多くなります。
待遇面の優遇、転職に強くなる
多くの医療機関では、認定看護師手当が支給されます。
手当の金額は施設によって異なりますが、一般的に月額2万円から5万円程度の加算が見込めるでしょう。
一般の看護師と比べて給与水準が高くなり、より専門性の高いB課程修了者は、さらに優遇される傾向にあります。
転職市場においては、認定看護師の資格は大きな強みとなります。転職先からは貴重な存在と優遇を受けやすくなり、より条件の良い職場を選択しやすくなります。
まとめ
認定看護師は特定分野の看護の専門家として、日本看護協会に認められた資格です。
5年以上の看護経験に加え、特定分野での3年以上の経験が必要になります。
資格取得には約2年の準備期間を要し、約110~150万円の費用がかかります。
更新は5年おきにあり、継続的な自己研鑽が必要となります。
このように認定看護師の資格取得には、時間と費用、そして学習面での相当な努力が必要です。
しかし、資格を活かした専門的な実践と指導は医療現場で高く評価され、資格手当や昇給などの待遇改善が見込めます。
さらにはキャリアアップや転職機会の拡大につながり、自身の看護師人生の大きなステップアップとなります。
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