柔道整復師の保険請求の仕組み|受領委任の手続きとレセプトの流れ

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「開業したら保険請求はどう進めればいいの?」「受領委任ってそもそも何?」と、整骨院・接骨院での独立や施術管理者への昇格を考え始めたときに迷う柔道整復師は少なくありません。

柔道整復師の保険請求は、病院の保険診療とは仕組みが異なり、「療養費」を受領委任という例外的な方法で請求することで成り立っています。

この記事では、柔道整復師の保険請求の仕組みを、保険が使える負傷の範囲、受領委任の手続き、レセプト(療養費支給申請書)の作成から入金までの流れ、請求方法の3つのルート、償還払いへの変更まで含めて紹介します。

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以下からひな形と見本をダウンロードできます。

    柔道整復師の保険請求の仕組み

    患者さんに問診表を見せながら説明する柔道整復師

    柔道整復師の施術に保険が使えるのは、健康保険法の「療養費」という制度があるからです。 患者さんの窓口負担は病院と同じように見えますが、法律上の位置づけとお金の流れは大きく違います。

    療養費と保険診療の違い

    病院や診療所の保険診療は「療養の給付」と呼ばれ、診察や治療そのものを給付する仕組み(現物給付)です。

    一方の療養費は、療養の給付が難しい場合や、保険医療機関以外で手当を受けたことを保険者がやむを得ないと認めた場合に、療養の給付に代えて支給されるお金(現金給付)です(健康保険法第87条)。

    柔道整復師の施術は、この療養費の対象として扱われています。

    項目療養の給付(保険診療)療養費(柔道整復)
    給付の形診察・治療そのもの(現物給付)例外お金で支給(現金給付)
    受ける場所保険医療機関(病院・診療所)受領委任を取り扱う施術所
    料金の基準診療報酬点数表柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準
    請求の書類診療報酬明細書柔道整復施術療養費支給申請書
    審査する機関審査支払機関(支払基金・国保連)柔整審査会(協会けんぽ支部・国保連に設置)

    受領委任と償還払いの違い

    療養費は本来、患者さんがいったん施術料金の全額を支払い、あとから自分で保険者に申請して払い戻しを受ける「償還払い」が原則です。 柔道整復については例外として、患者さんが自己負担分だけを施術所に支払い、残りを柔道整復師が患者さんに代わって保険者に請求する「受領委任」が認められています。

    受領委任があるおかげで、多くの整骨院・接骨院では、患者さんは病院にかかったときと同じように自己負担分だけで施術を受けられます。 その代わり、柔道整復師が患者さんに代わって請求するため、申請書には患者さん本人の署名が必要です。

    窓口負担だけで済むのは、受領委任という特別なルールのおかげなんだね!

    患者・施術所・保険者の間のお金の流れ

    受領委任と償還払いでは、誰が誰にいくら払い、誰が保険者に申請するかが入れ替わります。

    受領委任(多くの施術所)
    窓口で払うのは一部負担金のみ
    1. 1
      患者さん→施術所
      一部負担金を支払い、療養費の受け取りを委任
    2. 2
      施術所→保険者
      患者さんに代わって申請書を提出
    3. 3
      保険者→施術所
      柔整審査会の審査後、療養費を支払う
    償還払い(療養費の原則)
    窓口でいったん全額を払う
    1. 1
      患者さん→施術所
      施術料金の全額を支払う
    2. 2
      施術所→患者さん
      申請書の施術内容・施術証明を記入して渡す
    3. 3
      患者さん→保険者
      自分で療養費を申請する
    4. 4
      保険者→患者さん
      自己負担分を除いた療養費を払い戻す

    受領委任では、施術所が申請書を保険者ごとにまとめて提出し、柔道整復療養費審査委員会(以下、柔整審査会)の審査を経て、保険者から施術所へ療養費が支払われます。

    償還払いに切り替わると、施術所は施術料金の全額を患者さんから受け取り、患者さんが保険者に申請するための申請書の施術内容欄・施術証明欄を記入する役割になります。

    受領委任は国のルールを守ることを約束したうえで認められる例外的な取扱いのため、不正や著しい不当な請求があれば取扱いを中止されることもあります。

    参考:厚生労働省「柔道整復師等の施術にかかる療養費の取扱いについて」 / e-Gov法令検索「健康保険法」

    保険が使える負傷と使えない施術

    足を痛めた患者さんに施術する柔道整復師

    療養費の対象は、厚生労働省の通知で「外傷性が明らかな骨折、脱臼、打撲及び捻挫」と決められています。 保険請求の可否は、症状の名前ではなく「いつ・どこで・どうしてケガをしたか」という原因と、負傷が慢性化していないかで判断されます。

    療養費の対象になる負傷

    外傷性とは、関節の可動域を超えたねじれや外力によって、身体の組織が損傷を受けた状態を指します。 いずれの負傷も、組織の損傷が慢性に至っていないことが前提です。 いわゆる肉ばなれ(介達外力による筋・腱の断裂)も、挫傷として対象になります。

    骨折・脱臼医師の同意が必要
    骨折
    脱臼
    ※応急手当は同意なしで施術できる
    打撲・捻挫・挫傷医師の同意は不要
    打撲
    捻挫
    挫傷肉ばなれ
    挫傷の算定部位:胸部・背部・上腕部・前腕部・大腿部・下腿部

    対象にならない施術

    次のような施術は療養費の対象外で、保険を使わずに施術する場合は全額が患者さんの負担になります。

    • 単なる肩こり・筋肉疲労に対する施術
    • 内科的な原因による疾患への施術
    • 柔道整復の治療を終えたあと、あん摩・マッサージだけを続ける施術
    • 保険医療機関で同じ負傷の治療を受けている間の施術
    • 保険医療機関に入院中の患者さんへの施術
    • 柔道整復師本人への施術(自己施術)や、家族・関連施術所の開設者や従業員への施術(自家施術)

    慢性的な腰痛や肩こりで来院した患者さんに保険を使うと、不正請求と判断されるおそれがあります。 負傷原因を聞き取ったうえで、療養費の対象か自費施術かを初回に説明しておくと、あとのトラブルを防げます。

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    長期にわたる施術の扱い

    療養費は「療養上必要な範囲と限度」で認められるもので、施術が長引くほど説明と記録が求められます。 令和8年7月1日施行の料金改定後の算定基準と通知では、長期の施術に次のような区切りが設けられています。

    0初検日
    すべての負傷
    負傷部位ごとに期間を数え始める
    3か月超
    打撲・捻挫
    長期施術継続理由書を申請書に添付
    5か月超
    骨折・不全骨折を除く
    後療料・罨法料・電療料が所定料金の100分の75
    5か月連続で月10回以上
    骨折・不全骨折を除く
    翌月以降は所定料金の100分の50(差額の範囲で患者さんから特別の料金を受け取れる)
    ※5か月の区切りは初検日を含む月から数える

    長期施術継続理由書では、負傷部位・症状・施術を続ける必要性を部位ごとに具体的に書く必要があります。 「経過観察のため」のような決まり文句ではなく、施術録の経過記録と食い違わない内容にしておくことが大切です。

    判断に迷う症例は、保険者や管轄の地方厚生局に確認してから請求するのが無難です。

    同じ腰の痛みでも、原因しだいで保険が使えるかどうか変わるんだね

    参考:厚生労働省「柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準の実施上の留意事項等について(改正反映版)」 / 厚生労働省「柔道整復師の施術料金の算定方法(改正反映版)」

    保険請求を始めるための手続き

    ファイルを持って相談する男女の柔道整復師

    受領委任の取扱いは、施術所の開設者ではなく、施術管理者である柔道整復師本人が、地方厚生(支)局長・都道府県知事と協定または契約を結ぶことで始まります。

    開業するときだけでなく、施術管理者が交代するときや施術所を移転するときも、あらためて手続きが必要です。

    受領委任の申出先

    手続きの窓口は、どの立場で受領委任を取り扱うかによって2つに分かれます。

    • 公益社団法人の柔道整復師会の会員
      各都道府県の柔道整復師会を通して届け出る(協定)
    • 会員以外の柔道整復師
      施術所の所在地を管轄する地方厚生(支)局の事務所などに申し出る(契約)

    どちらの窓口を選ぶかで、開業後の申請書の送り方や返戻の戻り先も変わります。

    施術管理者の要件

    受領委任を取り扱う施術管理者になるには、平成30年4月から、柔道整復師の免許に加えて「実務経験」と「研修の受講」が必要になりました。

    実務経験の期間は段階的に延びており、令和6年4月以降に届け出・申し出をする人には次の要件が適用されます。

    実務経験
    3年以上
    うち保険医療機関での従事は2年まで
    施術管理者研修
    16時間以上
    2日間程度・登録研修機関で受講
    研修修了証の有効期間
    5年間
    職業倫理・保険請求・施術所管理・安全な臨床を学ぶ

    すでに別の施術所で施術管理者をしている人が新たな施術所で施術管理者になる場合も、実務経験期間証明書と研修修了証の写しの提出が必要です。

    医療キャリアナビ掲載求人データ
    • 柔道整復師の求人3,737件中、整・接骨院は2,075件
    • 施術管理者になるには3年以上の実務経験が必要
    • 請求業務にも関われる職場を選ぶと開業準備になる
    キャリアパートナー

    柔道整復師法で決められている業務範囲や施術所のルールは、以下の記事で詳しく紹介しています。

    申出に必要な書類

    会員以外の柔道整復師が地方厚生(支)局に申し出る場合、主に次の書類をそろえます。

    • 確約書(様式第1号)
    • 受領委任の取扱いに係る申し出(様式第2号)
    • 勤務する柔道整復師の同意書(様式第2号の2)
    • 反社会的勢力に該当しないことの誓約書(様式第2号の3)
    • 施術管理者選任証明(開設者と施術管理者が違う場合)
    • 施術所開設届・変更届の写し
    • 柔道整復師の免許証の写し
    • 施術管理者研修修了証の写し
    • 実務経験期間証明書の写し

    様式や添付書類は地方厚生(支)局のWebサイトに掲載されており、記載例を公開している局もあります。 施術所開設届の写しが必要なため、先に保健所へ施術所の開設届を出してから申し出る流れになります。

    書類を早めにそろえておけば、開業日から保険施術をスタートできるよ!

    請求を開始できる時期

    施術所の開設や施術管理者の変更で受領委任の取扱いが新しく始まる場合、届け出・申し出が受理された日が取扱いの開始日になります。

    個人で申し出る場合の流れ
    1
    施術所の開設届
    保健所へ提出し、届の写しを用意する
    2
    確約・申し出
    確約書と申出書を管轄の地方厚生(支)局へ提出
    3
    受理
    受理日が受領委任の開始日になる
    4
    承諾の通知
    承諾した旨の通知(様式第3号)が届く
    ※契約の有効期間は承諾日から1年。期間満了1か月前までに特段の意思表示がなければ1年ごとに自動更新

    開業日から保険を使った施術をしたい場合は、開業日までに申し出が受理されるよう、書類を早めに準備しておくと安心です。

    今のあなたの状況は?

    参考:九州厚生局「柔道整復師の方へ」 / 関東信越厚生局「令和8年度柔道整復師集団指導用資料」

    レセプト作成から入金までの流れ

    カルテに施術の記録を書く柔道整復師

    柔道整復の保険請求では、「柔道整復施術療養費支給申請書」がレセプトの役割を果たします。 日々の施術録をもとに月単位で申請書を作り、翌月に提出し、審査を経て入金されるまでが1サイクルです。

    施術録と申請書の作成

    施術録は療養費請求の根拠になる記録で、受領委任に係る施術の施術録は自費施術のものと分けて整理する必要があります。 施術のたびに遅滞なく記載し、施術が完結した日から5年間保存しなければなりません。

    保険者から施術録の提示を求められた場合は、速やかに応じることも決められています。

    申請書は次のルールで作成します。

    1. 患者さんごとに月単位で1枚作成する
    2. 同じ月の施術は、施術所が変わらない限り1枚にまとめる
    3. 「受取代理人への委任」欄に患者さん本人の自筆で住所・氏名・委任年月日を記入してもらう
    4. 施術日がわかるように記載する

    利き手のケガなどで患者さんが記入できない場合は、柔道整復師が代理記入し、患者さんから拇印を受けます。 正当な理由なく請求を遅らせることは認められていないため、月が明けたら速やかに作成するのが基本です。

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    提出先と提出期限

    申請書は保険者ごとに取りまとめ、総括票を付けて、原則として毎月10日までに送付します。 送り先は患者さんが加入している保険の種類によって変わります。

    患者さんの保険申請書の送り先審査する柔整審査会
    協会けんぽ全国健康保険協会全国健康保険協会の都道府県支部協会けんぽ都道府県支部の審査会
    健康保険組合各健康保険組合協会けんぽ支部に審査を委任している場合は支部の審査会
    国民健康保険後期高齢者医療を含む審査会が設置されていれば国保連合会へ国保連合会の審査会(国民健康保険等柔道整復療養費審査委員会)
    船員保険全国健康保険協会協会けんぽ東京都支部の審査会

    審査から入金までの期間

    申請書を提出するのは施術月の翌月10日までで、そこから点検・審査・支給決定を経るため、入金は施術した月から数か月後になります。

    1
    申請書の事前点検保険者・国保連合会
    不備があれば施術管理者へ返戻
    2
    柔整審査会の審査協会けんぽ支部・国保連合会に設置
    必要に応じて施術所へ照会・報告の求め
    3
    支給の決定保険者(患者さんへの照会で施術の事実も確認)
    減額・不支給は通知書と申請書の写しが届く
    4
    療養費の振込申請書の支払機関欄の口座へ
    審査に不服があれば書面で再審査を申し出る

    開業直後は保険分の売上がすぐには入ってこないので、運転資金に余裕を持たせておくと安心です。 返戻や減額があると入金はさらに後ろにずれるため、提出前の見直しが資金繰りにも直結します。

    施術してから入金まで時間がかかるから、最初の数か月の資金繰りは不安になるよね

    参考:厚生労働省「柔道整復師の施術に係る療養費について(改正反映版)」

    請求方法の3つのルート

    パソコンの前でメモを取りながら考える男性

    保険請求の方法は、大きく「地方厚生局へ個人で申し出る」「公益社団法人の会員として届け出る」「請求団体・代行サービスを利用する」の3つに分かれます。

    どのルートでも、柔整審査会の審査を受けることや、不正・不当な請求の責任を施術管理者と開設者が負うことは変わりません。 違いが出るのは、手続きの窓口と、申請書の取りまとめを誰が担うかです。

    1地方厚生局へ個人で2公益社団法人の会員3請求団体・代行
    受領委任の形契約(受領委任の取扱規程)協定(協定書)契約(受領委任の取扱規程)
    手続きの窓口管轄の地方厚生(支)局の事務所都道府県の柔道整復師会管轄の地方厚生(支)局の事務所
    申請書の取りまとめ施術管理者が自分で保険者ごとに仕分けて送付会が取りまとめて送付団体・業者に事務を委託
    返戻の戻り先施術管理者会を経由して施術管理者施術管理者(対応を委託する場合もある)
    主な費用レセコンなど事務の費用会費など手数料・会費など

    自分に合うのは、個人・社団・代行のどれなんだろう?

    地方厚生局へ個人で申し出る

    どの団体にも所属せず、地方厚生(支)局に直接申し出て契約を結び、申請書の取りまとめ・送付まで自分で行う方法です。

    団体の会費や代行手数料がかからない一方で、保険者ごとの仕分け、総括票の作成、返戻への対応をすべて自分でこなすことになります。 レセプトコンピュータを使いこなせて、請求事務に時間を割ける人に向いている方法です。

    公益社団法人の会員として届け出る

    都道府県の柔道整復師会(公益社団法人)の会員になり、会を通して届け出て協定を結ぶ方法です。 申請書の取りまとめや保険者とのやり取りを会が担うため、請求事務を会の仕組みに乗せられるのが特徴です。

    その一方で、会員としての会費などの負担があります。 請求事務を自分だけで抱えたくない人や、地域の同業者とつながりを持ちたい人に合いやすい方法です。

    転職活動するなら?

    請求団体・代行サービスを利用する

    個人で地方厚生局と契約したうえで、申請書の点検や取りまとめ、発送などの事務を民間の請求団体や代行サービスに任せる方法です。 事務の負担を減らせる一方で、手数料や会費の体系、サポートの範囲は団体によって大きく異なります。

    代行を頼んでも、請求内容の責任は施術管理者と開設者にあるため、申請書の中身を丸投げにせず、自分で確認する体制は残しておきましょう。

    開業資金や開業までの準備全体は、以下の記事が参考になります。

    参考:関東信越厚生局「柔道整復師の施術に係る療養費の受領委任に関する申し出等」

    返戻と償還払いへの変更を避けるために

    チェックリストと書かれた紙とペン

    申請書に不備があれば返戻され、そのぶん入金が遅れます。 さらに近年は、施術の必要性を個別に確認すべき患者さんについて、保険者が受領委任を止めて償還払いに切り替えられる仕組みも導入されています。

    返戻になりやすい記載

    保険者や国保連合会は申請書を事前に点検し、不備があれば施術管理者に返戻します。 提出前に、次の項目を見直しておきましょう。

    • 患者さん本人の自筆署名・委任年月日が抜けていない
    • 被保険者の記号・番号など資格情報が最新のものになっている
    • 同じ月の施術を1枚の申請書にまとめている
    • 3か月を超える打撲・捻挫に長期施術継続理由書を添付している
    • 施術日と施術録の記録が一致している

    資格情報の誤りを防ぐため、受領委任を取り扱う施術所では令和6年12月2日からオンライン資格確認の導入が原則義務化されています。 月初めに資格を確認する習慣をつけると、資格情報の誤りによる返戻を減らせます。

    負傷原因の記載

    負傷の原因は、施術録に「いつ・どこで・どうして」負傷したかを必ず記載しなければなりません。 申請書の「負傷の原因」欄では、業務災害・通勤災害・第三者行為(交通事故など)に当たるかどうかも区分して記載します。

    3部位目を所定料金の100分の60で算定する場合は、すべての負傷名について具体的な負傷の原因を申請書に書くことが求められます。

    あいまいな例
    「運動中に右足首を痛めた」
    日時・場所・受傷の仕方が分からず、外傷性を判断できない
    具体的な例
    • いつ9月10日 午後6時ごろ
    • どこで自宅近くの公園でランニング中
    • どうして段差につまずき、右足首を内側にひねった

    業務中や通勤中のケガは労災保険、交通事故は加害者側への請求が関わるため、健康保険で請求できないことがあります。 原因の聞き取りがあいまいなまま請求すると、あとから保険者の照会で食い違いが見つかる原因になります。

    償還払いに変更される場合

    令和4年6月から、保険者は施術の必要性を個々に確認する必要があると合理的に認めた患者さんについて、その患者さんの施術だけを受領委任から償還払いに変更できるようになりました。

    対象になるのは、保険者の照会に繰り返し回答しない患者さん、複数の施術所で同じ部位の施術を重複して受けている患者さん、長期かつ頻回な施術を続けている患者さんなどです。

    令和8年6月の通知改正では、令和9年1月以降、直近12か月のうち通算8か月以上かつ9部位以上の施術を受けている患者さんも対象に加わりました。 異なる負傷が重なって結果的に施術期間が長く、部位数が多くなった患者さんも含まれるため、一人ひとりの施術計画と記録がより大切になります。

    1
    対象となる患者類型の周知
    保険者が加入者にあらかじめ知らせる
    2
    償還払い注意喚起通知
    該当しそうな患者さんに送付
    患者さん・施術管理者へ
    3
    患者さんへの確認
    翌月以降も続く場合、施術内容や回数、外傷によるものかを文書・電話・面会で確認
    4
    償還払い変更通知
    施術の必要性を個別に確認すべきと判断された場合
    患者さん・施術管理者へ
    5
    償還払いに変更
    通知が届いた月の翌月以降の施術は、全額を窓口で受け取る

    注意喚起通知が届いたら、施術の必要性や回数を患者さんと一緒に見直し、その経過を施術録に残しておきましょう。 施術管理者が不在の状態で請求を続けた場合の影響は、以下の記事で紹介しています。

    長く通う患者さんほど、記録と説明を丁寧にしておくと安心だよ!

    参考:厚生労働省「『柔道整復師の施術に係る療養費について』の一部改正について(令和4年3月22日 保発0322第4号)」 / 厚生労働省「『柔道整復師の施術に係る療養費について』の一部改正について(令和8年6月1日 保発0601第5号)」

    まとめ

    柔道整復師の保険請求は、療養費を受領委任という例外的な方法で請求する仕組みです。 対象になる負傷の範囲、施術管理者の要件、申請書の作り方と提出期限を押さえておけば、開業後の請求で慌てずに済みます。

    この記事のポイント


    • 療養費は現金給付で、受領委任は例外として認められた請求方法
    • 対象は外傷性が明らかな骨折・脱臼・打撲・捻挫(肉ばなれを含む)
    • 施術管理者には3年以上の実務経験と研修修了が必要
    • 申請書は月単位で作成し、原則毎月10日までに送付
    • 請求ルートは個人・社団・代行の3つから選べる
    • 長期・多部位の患者さんは償還払いに変わることがある

    保険請求の判断に迷ったときは、管轄の地方厚生(支)局や保険者に確認するのが確実です。 将来の開業を見据えて、まずは保険請求の実務まで経験できる整骨院・接骨院で働きたい場合は、転職エージェントに相談すると、求人票だけでは分からない職場の業務範囲まで確認してもらえます。

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